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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移十七日目っ! ~ 危険そうなおっさんに遭遇っ!

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132/150

132.うん、先生が教えてくれた。先生大好き!

 人の話し声で、目が覚めた。

 んと、オークジェネラルの憑依体と戦って、意識が飛んで、一回起きて、また寝て。

 あ、教会の病院、ってか、なんか変な言い方だなぁ。

 んー入院、そう入院。あたしは患者、みたいなもんか。

 寝たままで首を巡らすと、ご家族かな? に囲まれて、にぎやかにお話している患者さんがいるねぇ。

「起きましたか?」

 その声は、ミドリちゃんですね?

「あたし、どれ位寝てた?」

「オーク・ジェネラルの憑依体と闘われてから、2日経ちますね」

 うわ、そんなに?

「元々、この教会は鎮静や平静を主体とする施設ですから、傷ついた身体を休めるためには最適な施設なんですよ」

 まーそりゃそうだけどさ。

 こっちにも予定ってもんがあるのよね。

「みーよは?」

「ご自身の教会に、戻られました」

 まーそーだろうね。

「患者さんたちは?」

「私は詳しくはないのですが、症状の軽い方々は、人族として還ってこられました。重症の方は、まだ予断を許しません」

 そうなんだ。

「イクミさんが起きられたら、お礼をしたいという()がいますが、会われますか?」

 へえ、誰だろ。

 と、向こうから歩いてくる子がいるね。

 一番最後に抱えて助けた、一番最初にここで癒した子だった。

「イクミ、さん……」

 大きな亜麻色の瞳と、同じ色のストレートな髪を肩まで伸ばした、可愛い感じの子だね。10歳位かな。リコットより少し上、だと思う。

「命がけで助けてくれて、ありがとう……」

「いいよ。仕事だからね」

 頭をなぜると、くすぐったそうにしている。

 人としての仕草、表情が戻ってるね。うん、良かったよ。


挿絵(By みてみん)


 そういえば、この子、ゲロゲロ吐いたあとで、あたしが抱きしめて慰めたんだっけ。ンで、制服ベットベトになっちゃったんだよね。

 あの状態で、あたしのこと、覚えてんのかな?

「あの後、調子はどうなの?」

「うん、先生は、私が一番容態が軽いんだよって言ってた」

 先生。ああ、おっかさんね?

「まだ、怖いことを時々思い出しちゃうんだけど……」

 そうだね。そうだと思うよ。こんな小さい子に、ヒドいことする奴らだね。

「イクミさんに抱きしめて貰ったから、多分、大丈夫」

 なんか、きっぱりと、言い切ったね。

「そうか」

 もう一度、こんどはちゃんと抱きしめてあげると、身体を預けて気持ちよさそうにしている。

「これからどうするの? ご家族は?」

「家族はみんな、オークに殺されちゃったの。私、へき地の開拓民の生まれだから……」

 うわぁ、そっかぁ。

「でも大丈夫。死んじゃったお父さんやお母さんやお兄ちゃんの分まで、ちゃんと生きるよ。こうして人族として還って来られただから」

「難しい言葉、知ってるんだね」

「うん、先生が教えてくれた。先生大好き!」

「そっか……」

 ん、なんか、そっかとしか、言えないや。

 あたしに出来る事と出来ないことがあるのは、知ってる。

 気持ちは残っても、出来ない事は、やっぱり出来ないんだよね。

 あとは、出来る人に、専門の人に、任せるしかないもんね。

 お礼を言えて良かった、本当にありがとう、そういって彼女は元のベットに戻っていった。どうやら、明日には退院らしい。


 後ろから、そっとアオイがやってきた。

 ミドリちゃんと目くばせして、彼女が席を外す。

「今回は本当にありがとう。ホントに、なんてお礼を言ったらいいか……」

 随分と殊勝、というか、しおれてるね。なんかあった?

「ミヨと、ちょっとモメタ。でも、私、間違ってないとは、思う。けど」

 けど。

「他の宗派の付き人にさせることじゃ、ないと思う、けど」

 うん、けど。

「でも、あれがベストだったと、思うんです、けど、けど……」

 うん、ちゃんと、けどーけどーしてるね。

「下手すれば死んでたよね、と言われると、そうなんだけど、としか、言えない、けど」

 だから?

「だから、なんか、本当にありがとう。そして、ごめんなさい」

「ん、みーよはそういう意味で言ってるんじゃないと思うよ」

「え、だ、けど」

「ん-本心じゃないけど、言わなきゃならない、位だと思うよ」

「だ、だって、けど、けど……」

 だってなの? けどなの?

「あたし、オーク集団討伐の時、オーク・ジェネラルの本隊とぶつからなかったんだよね。だから、一回闘ってみたかったのよ」

「……は?」

「うん、思った以上に強かったね。手こずったというか、舐めてたかなぁ」

「ん?」

「だから、あたし、闘いたくて闘ったんだよね。理由があれば嬉しいな、が半分かな。そういう訳で、アオイが気にすることでも無いよ」

「けどぉ」

「みーよには、そう言っておく。嘘じゃなくて本心だし。あの子も、あたしがそういえば納得するから、大丈夫だよ」

 アオイも、半分納得、半分は理解出来ない、って感じだね。

 みーよも、そういう感じなんだろうね。

 ま、お互い、モヤモヤするよね。

「患者さんの状況はどうなの?」

 モヤモヤした話を続けてもしょうがない。話題を変えましょ。

「ん-症状の軽い患者は、明日には退院者を出せるね。イクミさんが倒してくれたオーク・ジェネラルに憑依された女性と、二番目のオーク・プリーストに憑かれた女性は、まだ命の境目を彷徨ってる。でも、死ぬときは人族として弔えるよ」

「二番目のは、普通に平伏できたの?」

「うん、イーシュが頑張ってくれた。王が破れたのなら、とどまる理由はない、とか言ってたらしいね」

 あれが王? せいぜい将軍でしょ?

「三番、四番の方たちも、あれだけの重症度だったのに、順調に回復してきてる。生きる希望があるって、大切なんだね」

 そういうもんか。うん、そういうもんだね。

「イクミさんがいなかったら、全員を人族に還すことなんて出来なかった。イーシュを付き人に無理に戻しても、一人か、二人位しか助けられなかったと思う。

 ホントに信じられない結果だよ。ホントに、アリガトウ……」

 あらら、なんか最後の方は言葉にならなくなってるよ。

 なによ、泣くとこなの? あーもーよしよし。

 グスングスンと、あたしの胸の中で泣いちゃってるよ。そうか、この娘、意外に泣き虫なのか。

 頭をなぜてやりながら、ああ、あたしがおっかさんに似てるから、甘えやすい、頼りやすいんだと、気が付いた。

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