↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移十五日目っ! ~ 青の教会で大暴れっ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/147

129.そんなに欲しいなら、くれてやる!

「光の女神アーリューシャインよ、我が付き人に勇気と闘気を備えたまえ、シャイン・ブレス!」

「青き清浄の調べよ、勇者に奏で、響き、打ち鳴らす力を与えたまえ、闘気注入(ディープブルー)!」

 二人の聖女から力を注がれて、あたしは円形のステージの中に入っていく。

 中央で眠る患者の女性が、むくりと起き上がる。

 相当な美人、お貴族様かもしれない。歳の頃15歳前後。白く瑞々しいお肌が、つやつやと輝いてる。

 その肌が。

 濃緑色に変化し、しかも膨らんでいく。

 白いポンチョがビリビリと裂けて、中からでっぷりと太った腹と筋肉質の胸筋が現れる。

 股間も、隠すつもりはないらしい。人間サイズとは比べ物にならない立派なものがぶら下がっている。イヤン。

 手も足も膨れ上がり、爪がナイフのように尖り、伸びている。

 髪の毛がバサリと落ちて行き、顔も膨らみ、異形の豚顔に変化する。

 全長2メートル半、かな。あたしと比べて3回りは大きな体つき。

 直径5メートルの円形の結構な面積を、その身体が占めている。

 ん-旧時代の大相撲の土俵位の大きさに、角界最大のオスモーサンが対峙してる感じかしらん。


挿絵(By みてみん)


「お前が、贄か」

 お、流暢な共通語(コモン)じゃん。しゃべれるんだ。

「贄? お肉のくせに、難しい言葉知ってるだね」

「お肉、とは?」

「豚肉でしょ、アンタ」

 目線は外さない。

 挑発には丁寧に切り返す。

 一対一(タイマン)の心得だね。

「私は、肉ではない」

「今はね。これからキレイに捌いてあげるよ。そうしたら肉になるでしょ?」

 アギト・ナイフを、抜く。

「悪鬼を食するナイフ。分かる?」

「この人族の女の中の記憶に、それらしきものがあるな」

 へえ、記憶、ね。

「一応、聞いておく。彼女の身体を返して貰えないかな?」

「無駄だな。この女は、もう、存分に喰らった。だが」

 裸のオーク・ジェネラルが、あたしを旨そうだとばかりにニヤ付きながら言った。

「お前の身体も喰らい、この街も占領地として飲み干してやろうぞ」

 なにそれ意味が通じないよ。

 とぉ、モーション無し、いきなり殴りかかってきた!

 頭を揺らして避けたけど、直撃だと終わってたね。

 勢いあまってよろけて来たけど、円形の魔法陣が光って、不可視の壁が発生した。そのまま激突する。

 ノーモーションなのに、その破壊力か。

 デカいのに速いのね。

 でも、小回りは効かなそうね。

 伸びきった腕の下から、アギト・ナイフで切りつける。

 ガシっという手ごたえ。刃が刺さらない。

 力不足? 相手が頑丈?

 こっちを見ると同時に、腕が真横に振るわれる。

 身体を逸らしてかわすと同時に、突き出た顎目がけて下から上に蹴り上げてみる。

 ヒット、したけど、手ごたえなし。

 脳を揺らすとか、そういう感じでもない。

 岩を蹴っ飛ばした感触だね。

 そのままジェネラルが、身体ごと突進してくるので、横転してかわす。

 向こうの壁に再び激突。青い光の壁に、ビリビリと焼かれるけど、全く平気みたいだね。

 そのまま、再び向かい合う。

 ん-どうしよう。向こうの攻撃は当たらないけど、こっちの攻撃は、今のところ通じないね。

 当てるだけじゃダメで、強い攻撃が必要。でも、そうするとスキが出来ちゃうから、向こうの攻撃を受けるリスクが生じるね。

 ザコは、アギト・ナイフで切りつけるだけでキャーキャーワーワー言ってたんだけどね。さすが、ジェネラルってとこか。

 ん? 壁の向こうで、アオイやイーシュが叫んでる。

 聞こえないや。

 手? 手をかざせ?

 試しにジェネラルに向かってかざしてみると。

 お、なんか青く光った。

 でも、そんなに強い光じゃないね。

「人族の弱き理など、通用はしない」

 あら、ジェネラル、あざ笑ってきたよ。

「そうかもね」

 そうなんだけど、これってさ、アギト・ナイフに付着できそうな気がするんだよね。

 光った手を、ナイフにかざして滑らせると。

 ほら、ナイフが青く光ってる。

「これなら、いけそうじゃない?」

「無駄だ。おとなしく喰われろ」

 再び突進するジェネラル。

 こっちもナイフを突き出して、突進してみる。

 突き出た肩に突き刺すと、今度はぐっさり刺さった!

 でも、勢い止まらず、あたしも撥ねられる!

 自分で回転していなして、なんとか直撃は避けた。

 代わりに、ナイフが刺さったままなので、手放すことになったけどね。

「なるほど、人族も、なかなかやりおるな」

 ジェネラルが肩からナイフを抜いて、滴る血を自分で舐めた。

「だが、これでお前は武器無しだな」

「別に、そこまでこだわってないよ」

 再び、青い光を掌に現れさせた。

 今度は、両の拳に光を纏わせる。

「攻撃さえ入れば、どうでもいいよ」

 今度はこっちから突っ込む。鈍重なジェネラルがアギト・ナイフを振りかぶってきたけど、まるで遅い。

 でぷっと太った腹にボディーブローを突き刺し、返すモーションで顎にアッパー。顔が沈んだところに右フックを叩き込んだ。

 入っている、刺さっている、けど。

 タフだねぇ、コイツ。

 あたしを抱えようとしたんで、左側面に回り、背中から腰に手を回す。

 うへえ、腐った肉だ。気持ち悪い。

 投げようかと思ったけど、重すぎて無理。足を引っこ抜くのも無理だね。

 背中をよじ登り、首に腕を回してみる。

 ぎりぎり、一周できた。

「チョーク・スリーパー!」

 ま、ただの背中側からの首絞めなんだけどね。

 うわぁ、首の筋肉を膨らませて対抗してきたよコイツ。

 身体をゆすって振り落としにかかるし。

 ん-どうしよ。効いてないね。

 ロックを外して、距離を置く。

 向きなおったオーク・ジェネラルと再び対峙。

「もう終わりか?」

 流暢な共通語が、ホント気持ち悪い。

 何をしても通用しなさそうなのが、ホントにムカつく。

「とりあえず、ナイフ返してくれる?」

「嫌だと言ったら?」

「力ずくで、取り返す!」

 もう一回ダッシュ。

 まっすぐ突き刺そうとする腕をわずかにかわし、掴んでいる指に向かって正拳。

 お、ちょっとひるんだかな? でも、手放してはくれない。

 でも効いてるなら、連打だね。

 1、2発当てると、伸ばした腕を引っ込ませた。

 代わりにもう一方の手があたしを掴みに来る。

 逆に抱えて、背負い投げ、が、重い!

 うわぁ、そのまま体重を預けに来る!

 無理無理! 手放して地面を転がって回避する。

 お互い、地面をはいずる。スモーなら自滅だね。

 起き直ったジェネラルに、睨まれる。

「潰し損なった」

 はいはい、そりゃどーも。

 さて、本格的に困ったね。

 アギト・ナイフは、この際どうでもいい。一応刺さるけど、致命傷には出来ない。

 素手は、ほぼ効果なし。蹴りも同じ。

 締め技も効かない。極め技も、ダメだろうね。

 そもそも体重差(パウンド)体格差(クラス)が違いすぎて、あたし得意の密着(からみ)技が使えないんだよね。

 あとは、アソコにぶら下がってる急所攻撃(クリティカル)が効くかどうかだけど、なんかワナな気しかしないんだよね。

 だってさ、これ見よがしに蹴ってこいって感じでぶら下がってるでしょ?

 怪しさしか、感じないわ。

 最悪なら、試してみるけど、出来れば避けたい。汚いしね。

 となると、現状、手が無いじゃないのさ。

 デカい武器をぶん回すのが大正解なんだけど、コイツ素手なんで、武器の入手手段がないね。

 武器の入手?

 ダナンが、イイもん持ってたね。

 あの戦斧、借りられないかな?

 ジェネラルを睨みながら、壁際に寄る。

 手を入れてみると、お、突き抜けるじゃん。

「尻尾を巻いて、逃げるのか」

 だからその流暢な共通語(コモン)、気持ち悪いってば。

 んと、コイツは出られないけど、あたしは出ようと思えば出られるのね?

 で、あたしが自分から出ると、バリアが解けちゃうって事かしらん。

 手だけ出して、コイコイっと振ってみる。

 分かるかな? 

 あたし、ヤツから目を逸らせないんで、通じないと困るんだけど。

 お、手にズシッと重み。

 使い込まれた、柄の長い戦斧。

 全部金属製。分厚い片刃で直径1メートルはある。半分が柄だね。

 振ってみると、バランスがイイね。

 いけそうだ。

「お待たせ。これならアンタを切り刻めそうだ」

 青い光を掌にだして、戦斧に滑らせる。

「普段使わない得物で、私に立ち向かうのか」

「大丈夫よ。あたし天才だし」

 アギト・ナイフを中段に構えるジェネラルに、あたしも戦斧を下段に構える。

 すごい迫力で突っ込んできた!

 カウンターで戦斧をぶん回すと、くそぉ、ナイフの刃の方で受けてきやがった!

 ええいしゃーない、吹っ飛べ!

 ガシン、という金属音。

 あたしの振り回しが、ヤツのナイフで受け止められちゃってる。

 なんか、斧の方が負けて、欠けてる気がする。

 上下にゆすると、さすがに重いこっちの武器で、ナイフがヤツの手から抜け落ちる。ってか、斧に刺さったままだわ。

 ヤツが構わず、掴みかかってくる!

 あんもう、武器に拘りなさいよ、それはあたしの十八番(おはこ)なのに!

 しょーがないなー

 こっちも折角の戦斧を手放して、右脚起動、左脚を添えて、腰、肩、腕、手首連動。

 お願いだから、効いてよね。

 諸手突きの要領で、溜めた力場をタイミングよく解き放つ!

「“発勁!”」

 カウンターでモロに入った手ごたえ!

 でも、あたしも反動で吹っ飛ばされた。

 不可視の壁に当たって、跳ね返ってうつぶせに倒れる。イッタイんだけど。

 でも倒れてる場合じゃない、起きなきゃ!

 顔をあげると、あんなに重たかったジェネラルが、向こうも不可視の壁に打ち付けられて転がっている。

 気絶し(ピヨッ)てる?

 気絶し(ピヨッ)てる!

 よっしゃー!

 速攻起き上がろうとしたら、んと、こっちもフラついてるわ。

 こういう時は気合と根性!

 なんか視界が急に揺れ始めたけど、気にしない気にしない。

 あたしは絶対無敵、無敵なの。

 地面に刺さったままの斧と、ついでに斧に刺さったままのアギト・ナイフをふんぬと抜き取る。鉄の斧に刺さっちゃうって、どんだけスゴイのよアンタ。

 ナイフは収納、斧は両手持ち。

 距離は後3歩。起きるなよー

 と、近寄ったら、もう目を開けてるよコイツ。

 ああもうイイや、お願い死んで。

 戦斧を振りかぶって叩きつけようとしたら、両手で防いできた!

 片腕に半分刺さって、止められちゃったよ。

 うわ、すごい出血。汚いなぁ。

 ブワッとか言って、あたしを凄い形相で睨みつける。

 コッチもそんな余裕は無いので、戦斧を引き抜き、もう一度振りかぶる。

「そぉおらぁあ!」

 横殴りに振り回すと、こっちも腕で止めにきた。

 また半分ほど刺さって、止められちゃう。

 どうも、あたしの戦斧を止めて奪いたいらしいんだけど、うまく行かないみたいね。

 ゴメン、これ借り物なんで、あげられないんだわ。

「貴様、人間の分際で……」

「はん、ブタが人の言葉をしゃべるな。さっきから気持ち悪いのよ!」

 もう一度戦斧を振り上げる。今度こそ、とどめ!

 と、ジェネラルが根性みせて、立ち上がってきた!

「いいから寝てろ!」

 一歩踏み出し、上段からあたしの体重を乗っけた一撃を振り降ろす!

 けど、立ち上がられたんで、頭には届かず、胸から腹に掛けて、浅く掠めたにとどまった。

「貸せ」

 地面に刺さった戦斧を、奪いに来られる!

 その半分もげた腕で、振り回せるもんか!

 そんなに欲しいなら、くれてやる!

 刺さった戦斧の柄に足を掛け、戦斧を掴みに来た腕を、力を振り絞って駆けあがる。

 ヤツの首に腕を回し、背中にしがみついた。

「首締めなど、無駄だ……」

 何か忘れてない?

 あたしの腰には、再びアギト・ナイフがあるって事を!

 今度は、ぐっさりと首に刺さった。

「……」

 声にならない声を聞きながら、力いっぱい引き裂いてやった。

 飛び降りる気力もなく、汚い血の噴水が噴き出すのを眺めながら、ヤツの顔を睨みつける。

「あ、が、おの、ぐうぅ……」

 言葉に、張りがない。

 喉を裂かれたので、もう言葉にならないんだ。

 あたしを睨み返す視線にも、すでに力が無い。

「アンタが喰ったっていう人族の女性、還して貰うよ」

 根性根性!

 しがみついた背中から落ちるように地面に降りて。

 盛大に血を吹き出しながら、それでも立っているオーク・ジェネラルの前に回り込んで。

 多分、この辺だと思う。アンタを形作るナニカは。

 裸のヤツの身体に密着して。

 血のシャワーを浴びながら、あたしの身体、持つかなぁ、今度は左脚起動、右脚を添えて、腰、肩、腕、手首と溜めて。

 連発か。

 終わったらあたし、倒れるね。

「“寸勁!”」

 ヤツの心臓目がけ、溜めた力場を放出する。

 手ごたえあり。

 裸なんで、より力場がダイレクトに伝わったわ。

 血の噴水が止まり、ヤツがそのまま仰向けに、樹木が倒れるように横たわった。

 あたしも、ヤツの身体を、まるでベット代わりのようにして、その上に倒れ込んだ。

 あ、やばい、意識が、飛ぶ……

 薄れゆく視線の先で、汚いオークの身体が白い光に包まれて浄化されていくのが分かる。

 その中に、女性の小さな体が、見えた、気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。