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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移十五日目っ! ~ 青の教会で大暴れっ!

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128.アンタはアンタの仕事をしな。あたしはあたしの仕事をするよ

 

 恒例のコーヒーブレイク。

 ダナンが、酒は出ないのかと言ってるけど、出るわけないでしょ!

 でも、コーヒーのいい香りに、なんじゃこれは、と興味津々なのね。

 興味津々なのは、黄色いのとミドリちゃんも同じ。

 他のメンバーは昨日、味も香りも経験済み。

 アオイもイーシュも、すっかりコーヒーの虜ね。

「これ、とっても美味しいですわー」

「ホント、美味しすぎるなのー」

 黄色ちゃんはブラック派。

 ミドリちゃんはちょっとミルクを足したい派なのね。

 今日のおやつはミニドーナツ。売れ行きがスゴイね。でも、お代わりはまだまだあるのね?

「侵喰が強い奴らは、まだイーシュじゃ無理みたいだね」

 そんな中でも、おっかさんはお仕事を忘れないのね。

「行けそうな気もしたんだけど」

「イーシュ、あんたは気合が足りてないね」

「師匠、根性論ですか?」

「当然だね。最後は気合と根性だよ」

 そ、結局、最後は勝ちたいって気持ちが大事。

 結局、気合と根性なんだよね。

「あたしもあの娘の中にいたナニカにどうこう言われたけど、ザコに言われたってねぇ」

「ザコ、ですか……」

 イーシュが何か考えてる。

 自分にとっては、強敵(つよすぎ)だったんだけど、とかかな?

「ミヨのおかげで一緒に行動出来るようになったんだから、これから地道にレベル上げしていけばいいんだけどー」

 ポンポンと肩を叩いて、アオイが慰めてる。

「そーですわー付き人うらやましーですわー」

「そうなの。うらやましーなのー」

 慰めとは別の方向で、他の野良聖女が声を掛けている。

「イーシュは、冒険者ギルドに登録してるの?」

 あたしも、別方向から話を逸らすつもりで聞いてみた。

 こういうのは、考え込まない方がいいからね。

「いえ、してたんですけど、聖戦に負けたので、退会しました」

 へえ。付き人じゃなくなると、戦えなくなるってことなのね?

 だから、しばらく引きこもってたのね?

「でも、師匠のおかげで、冒険者として復帰出来そうです」

 お、気を取り直してきたみたいね。

「戦い方というか、依頼はどんなのを受けてたの?」

「普通に魔物退治とか、探索とかですね。別のパーティーと組んだりもしましたよ」

 ん-、武器を振り回すとかじゃないんだよね?

「俺は姉ちゃんに近寄る魔物とかを防いだり、戦ったりしてました。大抵、姉ちゃんが睡眠や鎮静や突然の死とかを使ってくれるので、それまでの時間稼ぎですね」

「武器は?」

「あ、素手ですよ。青き清浄の調べを纏いますので」

 ふむ。格闘家(バトラー)なのね?

「足にも、青いのは纏えるの?」

「足……やったことは無いですね」

 そうなんだ。

「そんなんで大丈夫なの?」

「はい、普通の相手なら」

 ふうん。昨日の真っ赤の付き人みたいに、光を飛ばしたり斬ったりする感じかしらん。

「打撃の技とか、必要?」

「前は、イラナイと思ってました、けど」

 あ、挫折して、反省したのね。

「うん、そっち方面も教えとくよ」

「はい、お願いします」

 ん、大分、気分がほぐれてきたみたいね。


     ~ ・ ~

 

 侵喰度の高い患者2人は、外で治療を行う事にしたらしい。

 ほぼ確実に建物の中で暴れ出すので、他の患者への危害が懸念されるという理由みたい。

 その辺は、あたしはシロウトなんでよく分かんない。

 専用の設備でも作れば解決すると思うんだけどね。

 と、思ってた。

 外の庭に、専用の施設というか、地面がそうなっているのね。

 アオイが祈りの姿勢を取り、杖を地面にかざすと。

 直径5メートル位の円形のステージのようなものがせり上がってきた。高さは30センチ位かな。ただの石畳だと思ってたのに、何よこの仕組み。

 円の縁には、魔法陣のようなものが青い光で浮き上がる。


挿絵(By みてみん)


 円の中央に、おっかさんが患者を抱えて横たえる。

 何か祈り、呟いた。

「なに?」

 そっと、みーよに尋ねる。

「葬還。もう助からないので、最後に人としての意識を取り戻させて、人として弔うのよ」

 そんな、助からないだなんて、決めつけなくても?

 とは思うけど、あたしが口出していい事じゃないね。

「お母さん、どうしても、ダメ?」

「だめだろね」

 アオイが、あたしと同じことを考えてるみたいね。

「変に苦しませるよりは、きちんと人族として弔った方がいい。分かってるんだろ?」

「それはそうなんだけどー」

 自分に力があれば。そんな顔をしている。

 おっかさんは、それを分かって、あえてそう言っているみたいだ。

 あ、アオイがあたしの方に来る。

「出来るなら、全部助けたい」

「何すればいい?」

「彼女の中には、オーク・ジェネラルが螺旋(ネジ)()められてる。もしも討ち倒せれば、人族に戻せる可能性はゼロじゃない」

「アオイ」

「お母さんは黙ってて」

 おっかさんの声に、振り返って睨み返す。

 母娘の間に、火花(アイコンタクト)が生じた。

 そして、おっかさんが意外に簡単に折れた。

「分かったよ。好きにしな」

「ありがとう」

 そして、あたしをもう一度、見つめ直す。

「お願い、オーク・キラーとしてのイクミさんの力を借りたいの」

 ん、分かったとは、言えないかな。

 みーよを見ると、頷き返してくれた。

 いいの?

「基本は聖戦と同じ。相手のオーク・ジェネラルの生命力をすべて奪えば、討ち倒せると思う。ただ、郁ちゃんは普通に怪我をするし、普通に死ぬよ」

 少し考えて、みーよが言葉を続ける。

「倒せても、名誉も報酬も無い。ただ単に、命の危険を冒すだけだよ」

 考えたのは、そう言えばあたしが止めると思うから、じゃないよね。

 みーよ自身に、自分自身に、問いかけてるん、だね。

 そんな事に、あたしを使っていいのだろうか、とね。

「お前さんが負けても逃げても、奴が清浄陣から出てこられる。街にオーク・ジェネラルを解き放つことになるんじゃ」

 ダナン?

「ま、そのときはわしが打ち倒してやるわい」

 そっぽを向いて、ボソッという。

 何よ、背中でも押してるつもり?

「アンタみたいなヘタレに任せられないでしょ」

「な、なにおぅ! 一対一ならわしは負けんぞ!」

 あーハイハイそうですかそうですか。

「大地母神の聖女として、その時は足止め致しますわ」

「緑の安らぎも、協力致します」

 野良聖女たちが、あたしを後押しし始める。

「師匠、お、俺も一緒に……」

「いや、イイ。まだアンタは足手まといだわ」

 イーシュ、そこはションボリするところじゃない。

 弟子なら、師匠の闘いぶりを黙って見て学びな。

「デン、あたしが失敗したら、後は頼むよ」

 デンがいるなら、ま、なんとかなるでしょ。黙って頷いてくれたし。

「そ、そこは、わしにだろ!」

「ダナン、アンタは止めを刺してくれればイイよ。アンタは追い足が無いでしょ?」

 ぐぬう、と黙り込むダナン。別に、当てにしてない訳じゃ無いよ。

 アンタはアンタの仕事をしな。

 あたしはあたしの仕事をするよ。

「アオイ、その依頼、受けるよ」

「ありがとう……あれをもし倒せれば、2番目に状態の悪い患者も普通に平伏できると思う。討ち取った首を見せれば、多分大丈夫だから」

 そりゃ、手間が省けていいね。

「わたしとミヨで、それぞれ祝福(ブレス)を掛けるから、結構闘えると、思いたい」

「あたしに任せときな」

 そこは弱気になる所じゃない。

 ニヤリと笑うと、そうだね、と笑顔で返してくれた。

 

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