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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移十四日目っ! ~ 青でも赤でもなんでもいい、大暴れしてやるっ!

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120/150

120.スプラッシュマウンテーン!

「聖約は成立した。皆の者、刮目して観るがよい! 本当のオラクルの大聖女とはどのようであるべきか、その目に焼き付けるがよい! アポロニア・ブレス!」

 縦ロール姫が、両手を掲げて叫ぶ。

 みーよも、同時に杖を掲げて叫んだ。

「光の女神アーリューシャインよ、あなたの信徒に勇気と祝福をお与えください。シャイン・ブレス!」

 あたしの身体を、白い光が包み込んだ。身体から、力が湧き上がってくる!

 縦ロールの側に仕える侍女二人にも、赤い光が包み込んでいる。

 でも、向こうの光の方が、なんか強そうなんですけど。

「加護の光が全て失われると、聖域から弾かれて負けるの。なるべく、相手の攻撃を貰わないでいて」

 おっけー!

「本気でいいのね?」

「殺すつもりでいいよ。武器は全部使っていいし、持てる力は全部出し切っていい。聖域では、加護が消えたら退場するだけだから、命は消えない」

 あらん、随分とヌルいのね。

 お相手はあの侍女二人。命令だからしょうがないんだろうけど、よくもアリとシュランを攫ってくれたわね。しかも、ゴミみたいに地面に落としてたわね。

 思い知らせてやる。

 自分たちが何をやったのかを。

 触れてはいけないものに触ったのだということを。

 徹底的に、絶対的に、身体と精神に叩き込んでやる。

 あたしの髪が逆立つのが、自分でも分かる。

 全身の筋肉が膨れ上がり、熱を帯びるのを感じる。

 横で、カンタとリコットが怯えるのが分かる。ゴメンネ。

「聖戦は成立した! 聖なる領域よ、顕われ示せ!」

「聖戦は成立した! 聖なる領域よ、顕われ示せ!」

 縦ロールとみーよの声が合わさり、大通りに不可視の透明な空間が現れた。

 縦横20m位。高さも同じだと思う。多分、透明な壁は固定されてるんだろうね。押し付けると、場外に持って行けそうな気もするけど、壁に固定技を掛けれた方が戦いやすそうだね。うん、どっちでもいいや。


挿絵(By みてみん)


 左手に石を3つ。右手にスリング。

 掴んだまま、領域内に入る。

 向こうの侍女二人も、静々といった風に、入ってきた。

 戦闘開始のゴングって、あるの?

 あるんだ。

 鐘の音(カーン)と共に、あたしはスリングに石を仕込み、先制攻撃を掛ける。

 この距離はもう外さない。精度100%で狙った所に当てられる。

 殺す気で放った石は、右の侍女の1m手前位で何か硬いものにでも当たったように、粉々に砕けた。

 バリア、らしい。

 お返しとばかりに、二人が腕を伸ばし、あたしに指を差した。

 来る。レーザーっぽい。

 右下に飛び込んで地面を前転。

 上方に、なにか掠めていった感覚。

 さっき、アリとシュランを攫ったナニカだ。

 思ったより口径がデカい。ロックオンされてからの回避が、けっこう微妙かな。ピストルじゃなく、散弾銃な感覚だからね。

 転がりながらスリングに次弾の準備。

 左に飛び跳ねながらセット完了、即射出。

 バリアに防がれるのは承知の上。

 接近戦の間合い迄、あと10m。向こうの飛び道具を考えると、近づかないと勝機はないわね。

 案の上、石がバリアで砕かれちゃった。

 左の侍女が、腕を振り上げる。手の形が手刀。そのまま振り下ろしてくる。

 距離関係なしの、斬撃だ!

 直前まで見て、半身回して避ける。

 刀身が見えないのが厄介すぎるけど、圧力はスゴク伝わる。

 てか、地面の石畳が裂けてるんですけど! どんだけの威力よ!

 1、2、3歩走りつつ、次弾装填。突っ込むとみせて急に止まる。

 その勢いに任せて、スリングに容れたままの石を叩きつける。

 侍女の周囲1mで弾かれた。でも、砕けない。

 手放したものは砕けるけど、掴んでいるものは大丈夫なのね?

 そのまま右に振り、弾かれた反動で左にも振り回す。

 バチバチと、見えない障壁が音を立てて火花を散らしている。

 みーよの光の障壁(プロテクション)と同じ種類か。

 って事は、攻撃を加え続けると壊れるのね?

 で、身体を直接覆う赤い光(エフェクト)というか、身体(ボディ)を直接攻撃出来れば、退場させられるのね?

 分かってきたわ。

 で、攻撃を連続で仕掛けている間は、こっちの侍女は動けないのか。反撃も出来ない感じかもしれない。バリアの維持で精一杯かな?

 でも、もう一人いるんだよね。回り込んで、腕を伸ばし、あたしに指を刺し(をねらっ)ている。

 来る!

 地面にゴロンと転がって、回避する。

 あたしの攻撃が止んだことで、いままで守勢だった侍女も、見えない斬撃を加えてくる。

 おっと、ヤバイヤバイ!

 地面ごと薙ぎ払うように振るってきたので、空中に逃げざるを得ない。

 となると、もう一人が、狙い撃ちだよねっ!

 空中ヒップボンバーで移動してかわす。

 もう一人が斬撃であたしを狙ってきてるのが分かるんで、今まで散々振り回してきたスリングを射出して牽制する。

 バリアで石が粉々になったけど、その間は攻撃できないっと。

 着地したあたしと、侍女二人が、再び向かい合う。

 ふーん、お前たちの攻撃方法(ヤリクチ)、大体分かった。

 腕を伸ばし、指を差して、狙って、構えて、打つ。

 “散弾銃”(ショットガン)だね。

 で、他の手段として、手刀でどこまでも届く“斬撃(レーザーサーベル)”攻撃だね。

 しかも、視線が届きさえすれば、遠距離でも(ゆうこうしゃてい)効果はそのまま(ひろすぎでしょ)ってとこだね。

 で、ペアなので、お互いにカバーできるから。

 一人が牽制、一人が本命の攻撃でいるとか。

 一人が攻撃、一人が防御兼牽制を担うとか。

 バリエーションが豊富。変幻自在。まさに無敵のペア。

 そういうことなんだよね?

 無敵かぁ。

 あはん、ゴメンね。

 あたし、正真正銘の“絶対無敵”なんだわ。

 アンタら程度の相手なら、マッチメーカー(ドーリング)で散々蹴散らしてきたの。

 そもそも、アンタらの武装も防御もスゴい上級なモンだけど。

 肝心の“パイロットレベル(たたかいのけいけん)”がまるでなってない。

 はっきり言って、少々出来のいい“CPU(コンピューター)”程度でしか、無いね。

 あたしの前には、オモチャ同然。壊してもいいんでしょ、コレ。

 フン、本物の(ガン)じゃなくて、良かったわね。

 もしそうなら、もうとっくに殺してたけどね。

 だってそうでしょ?

 そっちが躊躇(ためら)い無く撃つつもりなら、自分も躊躇い(ようしゃ)なく殺されても文句無いんでしょ?

 あたし、そうできる、力があるよ?

 ま、お貴族様のお付きの方々、ということなので、それなりに遊んで差し上げましょうか。

 二度と逆らう気を起こ(てってい)さない、程度( て き )にね。

 ちっとも当たらない自分らの力場レーザー(ん-もうちょい観察したいかな。多分フィールドを絞ってレーザー化してるんだと思う)の連発を止めて、あたしの様子見を始めたらしい、侍女二人。

 二人並んで、左右を分担して警戒(マルチ・アラート)

 右側の侍女が右手。左側の侍女が左手。

 揃って伸ばされた左右の手が、まっすぐな気持ちを込めてあたしに狙いを付けている。

 ん-力を溜めて、しかもペアで放つような必殺技? な雰囲気でもないんだよね。

 そういうの、当たらないって学習したと思うんだよね。

 したよね? 所詮CPUみたいなもんでしょ?

 してくれないと、メンドクサイんだけどね。

 一応、確認しとくか。

 CPU(バカ)には分からない、不可思議なダンスをしてみる。

 パラパラ(ちょうはつ)でいいや。

 これに反応(レスポンス)して撃ってくるようなら、弱い人間(ザコ)

 バカ(CPU)は撃たない。だって、なにやってんのか分かんないんだもん。

 強い人間(ガチ)は、トークとかで様子見。

 もっと強いと、ん-分かんない。コッチが様子見をさせられる。(か、恥ずかしくなる)

 ホレホレ、スキだらけだぞ。撃ってコイコイ。

 あたしのパラパラ(おどり)に、反応しない。

 トークもなし。ってか、元々、バトルが始まってからは一言も無いもんね。

 “お嬢様”には口うるさくマナーがどうこう言ってんのにね。

 あたしも一応“お嬢様”なんだけどなー

 ま、初心者だけど、成り立てだけど、さ。

 うん、反応ないなら、バカ(CPU)100%だね。

 スゴク強いの可能性は、無いわ。もしそうなら、最初っから、もうちょっと考えた戦い方をするはず。

 もちろん、この世界では強い方一択なんだろうけど、アンタらはあたしと戦ったことは無い。

 ハメ技を持ってるあたしに初見の対戦なら、アンタらの勝ち目は0%だね。

 そういうことで、ごめんネ、様子見とかもう十分だ(あきた)わ。

 さっさと叩き潰す!

 真正面から、低く一気に駆け出す。

 侍女たちが狙いを付けて、構えて、撃つ!

 ん、手の形が刀。これ、散弾銃じゃない、十文字槍(ながいざんげき)だ!

 撃つ、じゃない、突きだね!

 でも、タイミングもコースもバレバレなので、ギリギリまで引き付けてから、右にローリングしてかわす。

 追尾してくるのは承知。1回、2回転後に上に跳ねる。

 十文字槍(ついび)レーザーが追ってくるけど、大丈夫、もうかなり減衰してる。

 ついでに二人が同時の動きなので、左側の侍女の腕の追尾がお仲間に隠れて追い付かない。

 足を振って自分の回転の軌道を変えつつ、お尻を突き出して、さっきやったみたいに空のヒップアップボンバーを一発。

 当たらなくていい。空中で起動と推進力を得るためだけの技。

 でも、空中突進かとビクついてくれちゃった。もうけもうけ。

 んじゃもういっちょ、空撃ちの後ろ廻し蹴り(ソバット)で空中での移動を確保。

 こっちも蹴られるとビクついては、くれないか。

 まあいいや、空を渡って、はい、右側の侍女の目の前に着地っと。

 左の侍女は右のお仲間が邪魔で、攻撃に参加できないね。

 回り込む方向と同じようにあたしも身体を廻しながら、右側の侍女が張り巡らす力場障壁(フィールドバリヤー)へパンチの連打(ラッシュ)を加えていく。

 効かないのも届かないのも分かってる。

 そう、思ってるんでしょ?

 ただ、こうやって攻撃されている間は、力場を全部防御に廻さなきゃ(オールディフェンス)ならないから、自分から攻撃ができない。

 相方(ペア)の侍女は、回り込まなきゃならないけど、あたしも同じ方向に回り込んでるから、届かない。

 だから、一度離れないとダメなんだよね。

 知ってる。

 一方的な攻撃なので、反撃は出来ない。反撃は相方(ペア)任せ。

 で、そこにスキができるんだよ、ね。

 なんにも、分かって無いんだよ、ね。

 格闘家(バトラー)には、防御貫通の技があるって事を。

 そのわずかなスキの間に。

 パンチの連打(ラッシュ)の動作に組み込んで。

 左脚起動、右脚も練り込んで添えて。

 腰を回し、背中の筋肉から滑らかに力場を伝え。

 肩、腕、肘、手首、指の先まで。

 体重をうねらせて、貯めて、溜めて、諸手突きで一気に放出。

「“螺鈿!”」

 あたしの力場を相手の放出する力場の斜めに、相手の身体ではなく、翼をはためかせるかのように。

 羽ばたきで風を起こすかのように。

 揚力を発生させ、その方向は、お相手自身に向けられている。

 発生した力場を重ね合わせて、超濃厚な力場を瞬間作り出すのが、螺鈿。

 アンタの力場バリアー、あたしの力場も加えて、そのまま返してあげる!

「アっ!」

 なんか、悲鳴みたいなものが聞こえた。

 そのまま目に見えない力にモロにぶつかって、すごい勢いで吹っ飛ばされた。ざまぁ。

 ただ、コッチもすぐには動けない。コレ、反動がキツいんだよね。

 撃ち放ったままの両手を身体に引き寄せ、深く息を吸い込む。

 “息吹”

 空手の技の一つ、ま、回復手段ね。

 回り込んだはずの、もう一人の侍女に向けて、一気に息を放つ。

「せいっ!」

 まだヤんの?

 視線は外さず、構えは解かない。

 ま、いきなり急には動けないんで、多分にハッタリなんだけどね。

 反応は、警戒(アラート)っと。案の上、知らないんだよね、こんなの。

 お、吹っ飛んだ方の侍女が、起き直ろうとして藻掻(もが)いている。タフだなぁ。

 そちらにダッシュを仕掛けると、もう一人の侍女が、援護(かばう)行動を取った。

 だよね、知ってる。

 でも、あたしの本命(ねらい)はアンタ自身って事は知らないんでしょ?

 だって、お仲間からの援護は、倒れている今なら来ないんだもんね!

 バリアに構わず、侍女の身体に抱き付く。

 バリバリいわれたけど、無視して突っ込んだら、あっけなく砕け散った。

 やっぱり、直接だと、バリアは効かないんだ。

「おのれ無礼な!」

 お、しゃべった。

 手を拳に握って、殴りに来ようとする侍女。

 多分、攻撃方法が変わるんだろうけど。

 もういいや、密着すれば関係無いもんねっ!

 左ジャブにプラス、目元に指先(フラッシュ)を3回叩き込む。

 加護の赤い光(エフェクト)が弾けてる。効いてるね。

 右ボディブローを叩き込んで動きを止め、肩と腰を掴んでピッチャーが投げるような動作で、不可視の壁を目がけてぶん投げる!

 赤いエフェクトがキラキラと(まぶ)しい。効いてる効いてる。

 軽い、よく飛ぶ、で、壁にぶつかって弾んだ。

 当然、スーパーダッシュで近づき、畳みかける(ショルダータックル)

 おっしふらつい(ピヨっ)た!

 頭を鷲掴みにして不可視の壁に叩きつけ、腹に膝蹴りをぶち込み、もう一度腰を掴んで不可視の壁に叩きつけた。

 まだ生きてる? 生きてるのかー!

 頭が下になったんで、不可視の壁を目がけて蹴り飛ばす!

 こんだけやっても、ドレスとか破けないのね。変な仕組みだなぁ。

 その代わりに真っ赤なエフェクトが盛大(ハデ)に光り輝いてるけどね。

 彼女の両足を掴んで高く跳ね、全体重乗っけて、本気で殺す気であたしの両足の間に挟み込んで地面に叩きつける。

 スプラッシュマウンテーン!

 ぐしゃ、という手ごたえ。

 同時に、侍女の身体が赤い光と共に全て消えていく。

 ふう、よーやく一匹仕留めたね。


挿絵(By みてみん)


 起き直り、向き直ると。

 あらん、もう一匹の侍女、ガタガタ震えてるわ。

 だからって、許してなんかやんないもんね。

 お前らが可愛いアリちゃんと愛弟子のシュランにしでかした罪は、万死に値するんだもんね。

 ひい、とか言いながらだと思う、不可視の大砲をぶっ放したんだろうね。

 お手手がパーの形だったから。しかも両手で。

 そんなのあるなら最初から使いなさいよ。

 でも、大体の仕組みは分かった。

 ここ、ホント何でもありなんだね。

 大きく息を吸い込み「わあああああぁああっ!」と叫んでやると。

 不可視の大砲と相殺されたよ。

 なにそれって怯えた顔しても、ダメだよ。

 アンタの相方は、散々ぶん殴って散々投げ飛ばしたけど、かなり頑丈で壊れなかったねぇ。最高だねぇ。

 アンタは、そうだね、散々切り刻んで、ギッタギタにしてあげるよ。

 コイツで、ね。

 アギト・ナイフを引き抜き、刃先をペロリと舐めると。

 侍女が、ぺっしゃん、と地面に腰を落とした。

 なによ、なんて顔してんのよ。そんなに怯えなくてもイイじゃない。

 ま、まさか、降参するんじゃないでしょうね?

 こんな素敵なオモチャで遊べないなんて、許さないわよ?

 あ、消えそう、コラ待てぇ!

 あたしの願いもむなしく、彼女は光の中に消えていった。


 ~ Victory! ~


 空中に、勝利の表記が浮かび、不可視の壁が剥がれる感覚がした。

 何よ、もう終わり? しょぼいなー

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