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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移十四日目っ! ~ 青でも赤でもなんでもいい、大暴れしてやるっ!

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119/147

119.なんか、いたのう。脆弱でツマランのが

 お店の人にお礼を言って。

 あたしたちは帰路に付く。

 あーもーこの子達ったら可愛すぎるんですけどっ!

 街ですれ違う人たちも立ち止まって振り向かせる位、決まってるわね。

 お一人様金貨1枚。でも、これなら安いわっ!

 いいお店だね。御用達決定だね。服のバリエーション増やしたいね。稼がないとね。


 上機嫌で大通りをみんなで歩いていると。

 向こうから、また、ド派手で高級そうな馬車が。

「あれ、だよね」

「まちがいない」

「どーする?」

「逃げの一択で」

 子供たちを促して、路地の中に入る。

 え? なに?

 説明は後。さ、走るよ。

 後ろから、甲高い声。行動が速いなぁ。

「どこにいくのかぇぇ?」

 スゴク響く声。

 あーヤダヤダ。こっちは気分よくおウチに帰るつもりなの。

 アンタみたいな真っ赤っ赤に関わるつもりなんかないの。

 ん? 殺気ぃ!

 とっさにみーよをかばい、身体をかぶせて身を低くする。

 アカイナニカが、こんな狭い路地の上を凄い速さで通り抜けていった。

 周囲を確認。カンタとリコットは無事。

 アリとシュランが、いない。

 いない。

 赤いのがいる路地の向こうに、馬車が止まっている。

 赤いお嬢様が、堂々と立ちはだかってこっちを見ている。

 左右に侍女二人。その手を伸ばした先に、アリとシュランが、それぞれぶら下げられている。

 まるで、重さなんて無いみたいに。

 落ち着け、あたし。

 二人とも、息はある。意識は無いみたい。


挿絵(By みてみん)


 で、なにされた?

 なんか赤いのが飛んできた、と思う。

 あとは、ん、分かんない。

 これはヤバイやつだ。迂闊に突っ込めない。

 しかも、こっちにはまだカンタもリコットも、そしてみーよがいる。

 うん、落ち着け、あたし。

 みーよをみて、頷き返してくれたので。

 赤いお嬢のいる馬車まで、みんなで戻る。

 こらカンタ、泣きそうな顔しない。舐められるよ。

 リコット、あたしのスカート掴むのは止めて。とっさに動けない。

「リコット、カンタの手を掴んでな。カンタ、リコットを守ってやんな」

 低い声でそういうと、二人の動揺が止まった。

 大通りまで、戻る。ご丁寧に馬車を下げて、スペースを空けてくれるなんて、随分親切だね。馬車って、バックできるんだ。

 ま、なんでもありみたいだもんね。

 周囲の人々が、通りすがりの馬車も含めて、緊急避難している。

 幅20メートルはありそうな大通りに、人影がないのは、違和感しかないね。

 物陰や建物に人の気配がたくさん。スゴク注目されている。

「その子たちを返して欲しいんだけど」

「返すと、お前たち、また逃げるじゃろう?」

 縦ロールの真っ赤姫、尊大な態度で扇子を口元にあてて、ニヤリと笑ってる。

「今、けっこう忙しいんだけど」

「それが(わらわ)に何か関係あるのかえ?」

 そりゃそうだね。 アンタには何の関係もないだろうね。

「後にしてくんない? ってのは?」

「平民風情が、過ぎた口を利くものよの」

 だそうです。

 みーよ、覚悟決めよう。

 こりゃ、何言ってもダメだわ。

「子供たちをお返しください。人質がいないと勝てませんでしたと言い訳なさるおつもりでなければ、ですが」

「無粋な口を利くものよの。逃げたら、次はもうその子らは、お前たちとは逢えぬ身体にしてやるでの」

 二人の侍女が、ばさりと、アリとシュランを地面に落とした。

 突っ込みたいところを、女優魂(アクトレススピリッツ)炸裂させて、なんとか堪える。

「シュラン、起きろ。アリを連れてこっちに来い」

「兄ちゃん!」

 あたしよりも、カンタの声に反応して、シュランが頭を抱えながら、なんとか起き直る。

 ぐるっと周囲をみて、真っ赤なのが睨んでいるのをみて、ビクッと硬直する。

「シュラン」

「は、はい」

 フラフラしてるみたいだけど、気を失ったままのアリを抱えて、こっちに歩き出す。

 よーしよし、根性見せてるね。

 シュランの背中を撃ち抜いたりしないか、気が気でなかったけど、それなら最初から殺してるよね。だから大丈夫。

 くそう、街中でいきなり襲撃かーあたしのカンも、随分鈍ったなぁ。

 こっち側に来たシュランを褒めると、その場でへたり込んだ。

「これで良かろう。では、始めようぞ」

 ホント、こっちの心の準備も何も、なんにもないんだけど。

 こういうの、ホント止めて欲しいんだけど。

 いや、予感はあったか。いつ来てもいいようにしておかないとダメだったか。

「みーよ、何すればいい?」

「聖女同士の同意があれば、付き人同士を戦わせることが出来る、聖戦の流儀(セイント・デュエル)よ。

 勝者は敗者になにか一つ、要求を突きつけられる。要求は相手のそれに見合ったものが必要。

 お互いの聖域(サンクチュアリ)を繋ぎ合わせるから、その中では可能な限り何でもありよ。

 相手を打ち負かすと、聖域から退場させられて、はっきりと決着がつくわ」

 なにそれ。コロシアムでドーリング?

 あたしに有利過ぎない?

「郁ちゃんに聞かせると、張り切っちゃうだろうから、今までは言わなかったの」

「なんで?」

「わたしと、現オラクルの大聖女の彼女では、神格が違い過ぎる。郁ちゃん、瞬殺されるわ。郁ちゃんのせいじゃ無く、わたしの力不足で」

 悔しそうな、とても悔しそうな、みーよの顔。

 へえ。

 へえへえへえ。

 そうだね。みーよにはあたしの裏の戦いの事は、伝えてなかったかもね。

 みーよの父ちゃんとあたしの母ちゃんが再婚してからの、Sweet Bombでの闘いしか、観てないんだよね。

 以前は、あたしのパパと一緒に、裏闘技場で借金返すためにクソ安っすい機体(グランザール)でドーリングしてたんだけどね。

 だから、こういうの、燃えるんだわ。すっごく燃えるんだわ。

 だってあたし“絶対無敵”だから。

「話し合いは、すんだかえ?」

 退屈そうな、縦ロールの真っ赤姫。

「はい。聖戦(デュエル)、お受け致します」

「ほーほぉっほっほ。ようやくその気になったかえ。

 (わらわ)の要求は、其方(そなた)らの付き人の誓いの解消じゃ」

「では、わたしは、青き清浄の調べの教会員である、アオイとイーシュの付き人の誓いを、再び御認め頂きとう御座います」

 縦ロール、しばらく考えた。

「なんか、いたのう。脆弱でツマランのが」

「本来は、他の聖女と付き人の関係は、他者の入る余地は無いもの。彼の者らがあなた様に出逢ってしまえば、聖戦の盟約故に、再び離れねばならなくなりましょう。有能で有用なものたちですので、ぜひオラクルの守護のために、お役立て頂きたいので御座います」

「フン、そのような口約束など、信用ならん。(わらわ)の地位を脅かしたいだけであろう」

「滅相も御座いません。是非に、慈悲の御心を」

「良かろう。其方(そなた)たちが勝てば、その願い、認めようではないか」

「有難きお言葉。ゆめゆめ、お忘れなきよう」

 そうか、アオイとイーシュって聖戦で負けたんで、コンビ解消だったのね。

 でも、この闘い(けっとう)にそんな拘束力なんか無いよね?

「ううん、あるよ。次に出会った時には聖戦の約束を守って無いってことで、無条件で隷属されちゃうの」

 なるほどねぇ。そりゃヒドイね。

 アオイたちも、随分とアブナイ橋を渡ってるんだね。

 つまり、コイツに会わなければ、問題無いんだから、と判断したんだね。

 毎日コソコソ生きるのは、辛いね。でも、自分たちで決めたのか。

 あたしらに、その決断をどうこういう資格は無いし、言う気も無い。

 でも、勝手に何かをしてあげる分には、文句ないでしょ?

 ま、考えるのはみーよ、動くのはあたしだしね。

 さ、かかってきなさい!

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