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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移十四日目っ! ~ 青でも赤でもなんでもいい、大暴れしてやるっ!

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118.んースゴク可愛く撮れてるんですけどっ!

 院長先生とちびちゃんたちにお留守番をお願いして、子供たち用に新調した洋服を受け取りに、街の中心部に向かう。

 途中で、今やっているお仕事の内容をアリちゃんに聞かれたけど、んー子供に言ってもいいもんかしらん?

「オークたちに捉われていた女性たちの心を、元に戻してあげるお仕事よ」

 代わりに、みーよが応えてくれた。

 あたしに任せると、危ないとでも思ったかもしんない。正解かもしんない。

「心?」

「そう。ひどい目に遭って、絶望している心を戻してあげるの」

「ひどい目……」

 アリちゃん、ちょっと考えて、あら、思い当たっちゃったのね。ゾクッと震えたわ。

 リコットはなにそれーなのね。アンタはまだそれでいいよ。

「わたしたちの信奉するアーリューシャイン様は、穢れたことが苦手だから、本来は向いてないお仕事なんだけどね」

 微妙に話を逸らすというか、柔らかくぼかす、みーよ。

「郁ちゃんが、気になるというか、気に入っちゃったんだよね」

 あれ、アリちゃんがジトッとあたしを睨む。

 余計なことしてぇ、ですよね。

 あれ? あたしってスゴイ人なんじゃなかったの?

 ま、それはそれ、これはこれ、か。

「ま、彼女たちを直接助け出したのは郁ちゃんたちだからね。気になると言えば、しょうがないよね」

 あ、そうか、みたいな顔になったね、アリちゃん。

 うん、そうだね、そういうことにしといてね。

「でも、アーリューシャイン様にも、良い影響があると思うよ。だから郁ちゃんは、間違ってはいないよ」

 そうそう。いいこと言うねぇ。

「もしも違う方向に行ったら、ちゃんと手綱を絞るから、安心してね」

 んげ、持ち上げてから落とすのやめてー!


     ~ ・ ~


 1週間前に来た洋品店は、相変わらず適度な込み具合だった。

 今日は荷車を持ってこなかったので、そのまま店内に入る。

 前回、相手をしてくれた、お金持ってると分かると紳士な対応をしてくれた店員さんが、あたしたちに気づいて応対してくれる。

 品物は出来ている。一度着て貰って、細かいサイズ調整をしてみたい。

 でも、何日か着てみて不具合があるようなら、対応します、だって。

 丁寧だねぇ。かなり丁寧だね。

 これは常連さんになって貰えそうだと、判断されたかな?

「凱旋パレード、拝見しておりました。素晴らしいお姿でした!」

 おっと、そっちか。

 でしょでしょ、自慢のお姉ちゃんたちなんです、と花開く笑顔の子供たち。

 あら、店員さんも分かる分かると、意気投合してるね。

「ささ、こちらへどうぞ。お二方にはお茶をご用意いたしますので、こちらに」

 子供たちを更衣室へ、あたしらはラウンジへ。

 お貴族様をおもてなしするような、品の良い調度品の応接室で、香りのよい紅茶を飲んでいると。

 次々に子供たちがやってくる。


 シュランはサックスブルーの長袖シャツに、濃いネイビーのベスト、同色同品質のスラックス。チャコールブラウンの革ベルトで締めて、同じ素材の濃茶の革靴。淡い赤の蝶ネクタイがいいセンス。ハンチング帽も、ベストやスラックスと同じ素材だね。

 正直、見違えた。どこのお店の若旦那でしょうか?

「ど、どう? 似合ってる?」

 そっか、洋品店なのに、鏡が無いのかー

 そういう世界だもんね。

「さすがの出来栄えだと思うよ。いいお店だね」

「ホントに?」

 疑わしそうなシュランに。

「自分で見てみたら?」

 みーよが杖を振るって。

 姿見用の鏡を出してくれた。

「えっ、えー!」

 なによそんなに驚くような事でも?

 あら、店員さんもビックリしてんの?

「付き人用の奇跡ですので」

 と、すました顔のみーよ。

 落ち着いたらしいシュランが、鏡に映る自分を見て、ゲッという顔から、あれ、俺ってかっこいい? から、ポーズまで取り始めちゃったね。


「ミヨ様、いかがでしょうか……?」

 今度はアリちゃん登場。

 白の長袖のワンピース。首元には控えめな花の刺繍。スカートのひだには、細やかな刺繍の小さな花が満開を思わせる仕方で咲いている。

 その上からシュランのワイシャツと同じ色の、サックスブルーのカーディガンを羽織って。

 こちらも相当なお嬢様。清楚なイメージのアリちゃんにスゴク似合ってるね。

 サンダルだけは、太い皮で編まれたゴツゴツタイプ。現代のポリマーコーティングされた舗装路なら、ハイヒールとか履けるんだけどね。お貴族様は、地面を歩いたりしないので、そういうのも履けるかもしれないね。

 なんか、領主の娘だとかいう自称聖女も、真っ赤なハイヒールだったと思う。馬車の前に真っ赤なカーペットが敷かれていたから履けるんだよね、アレ。

「スゴク似合ってるよ。その服なら、髪はアップにしようか」

 おいでして、椅子に座らせて。

 おさげを解いて櫛で髪を梳かし始めた。

 細い髪を頭の上にあげ(アップし)て、軽くまとめて細い革ひもで結わいつけると。

 ふんわりとしたポンパドール(髪上げスタイル)が出来上がった。

 うなじもおでこもキレイに映っている。細い顔立ちのアリちゃんが、よりシャープに見えるけど、髪の毛のふわふわで愛らしさが増している。

 フェミニンな衣装と相まって、ホントにどこかのお嬢様みたいだね。

 鏡に映った自分を見て、アリちゃんが見惚れている。

「こ、これ、本当に、私……?」

 うん、君だよ。

 最近、食生活も良くなってきたからね。肉付きも良く、お肌もツヤツヤだからね。

 後ろで、シュランがぼぉっと見惚れているのが分かる。


「ちょっと二人で並んでみて」

 え? 俺?

 そう、君だよ。

 写真撮りたい。とても撮りたい。

「え、ん、ちょっと待って、スゴく難し……なんとか……」

 ピンときたみーよが、少し、いや、結構、ん、相当、悩んでいる。

 もしかして、出来るの?

「郁ちゃん、わたしを“モニタぁ”だと思って、ん、違うね、“タブレっト”だと思えばいいか、で、郁ちゃんが観たものを写し出す感じで“撮って”みて」

 かなり正確な共通語理念翻訳(コモンさんがんばれ)。あたしとは年季が違う付き合い方だわ。

 でも、完全には訳しきれないんだね。

 んと、念写してみて、って感じ?

 全然やったことないんですけど。そもそもそんなこと出来ないんですけど。

 ただ、撮りたいという気持ちしかないんですけど。

「わたしと手を繋いで。うん、それで“撮って”みて」

 言われるままにみーよの手を掴み、シュランとアリちゃんを見つめる。 

 お互いの姿があまりに違うので、ハニカミまくってる二人。

 違うのそうじゃないの、そう、腕組んでみてほしい。

 スゴク照れてるんですけど。

 めちゃ可愛いんですけど。

 んもーもー絶対写真に撮りたいんですけど!

「えっと、腕組んでみて。そう、そう、それ。じゃ、撮るね」

 そ、そう、腕組んで、こっち見て、いいよ、いい、今!

 あたしの頭が、一瞬フラッシュし(ひかっ)た。

 みーよの杖が連動して光り、彼女の胸の上で、四角くくて平たい光が実体化し始める。

 みーよの手を放し、実体化が終わって落ち始める前に、手に取った。

 写真だ。B5サイズかな。紙じゃない、薄くて固い素材。

 スゴク色鮮やかな高解画像だね。

 はにかむ二人が、おめかしして、少し緊張して、嬉しそうに映っている。

 お似合いだね。スゴク似合っている。

 彼らに見せると、衝撃を受け、困惑し、やがて納得し、みーよを見つめて尊敬の念が生じている。

「す、すげぇ……」

「き、きれい……」

 うん、男の子と女の子で、感じ方は違うよね。

「わたしというより、郁ちゃんの願いが強かったんだよね。まあ、わたしのレベルが上がったから、出来るようになったみたいだけどね」

 話すというより、自分に納得させるために説明しているみたい。

 うん、そうらしい。


挿絵(By みてみん)


「着替え終わったー」

「わたしもー」

 お、カンタとリコットも来たね。

 カンタも、ワイシャツとベスト、スラックススタイル。ワイシャツのカラーはアッシュグレーだね。こっちの蝶ネクタイは淡い黄色。全体にモノトーン気味なので、髪の色ともマッチしてて、刺し色がとても鮮やかだね。

 ベストとスラックスは黒でキメてきたね。同色のベルトと革靴も、中々ステキ。 シュランとお揃いのハンチング帽も愛らしいアクセント。

 リコットもワンピとカーディガン。定番の服装で高級感となると、このお店はこういう仕立て方になるみたいね。

 カラーは薄いピンク。刺繍はバラのイメージかしらん。カーディガンはカンタのシャツと同じアッシュグレー。灰色とピンクは色合わせの相性がいいし、どっちも淡い感じなので、ちょっと大人っぽい組み合わせ。それを年少なお子様が着こなしているもんだから、そのギャップが萌え感を呼び起こすわー

 いやぁん、可愛すぎる!

 写真、写真撮らせてぇ!

「ハアハアいわない。子供たちが見てるでしょ。これ、結構疲れるんだけど、もう一枚位なら、なんとか……」

 差し出されたみーよの手を掴んで、心の中でゴメンと呟いて。

 でも、でも、どーしても撮りたいっ!

「こっち向いて、そう、手を繋いで、にっこり笑って、それ!」

 パシャ!

 あたしの頭がスパーク!

 みーよの杖も光って、B5版の写真が光の中から実体化してくる。

 んースゴク可愛く撮れてるんですけどっ!


挿絵(By みてみん)

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