↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移十四日目っ! ~ 青でも赤でもなんでもいい、大暴れしてやるっ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/150

116.うん、さすが、プロの仕事ぶりだね

 

「よし、イーシュ、一からやり直すよ。最初は肩慣らしだね」

 アオイは、この中で一番状態の軽い娘を選んだみたいね。

 娘というより、田舎娘の方がしっくりくる。

 日に焼けた肌。顔にたくさんのそばかす。まぶたと鼻が大きい。顔の面積も丸くて大きい。結構筋肉質。ちょっと小柄。

 かなり濃いブラウンの髪はバッサバサだ。ロクにお手入れはしていないみたいだね。

「お父さん、準備はいい?」

「いいぞ」

「では、行きます。目覚めなさい(ウエイク)!」

感情浄化(クリーナー)!」

 アオイとお父さんの、杖や手からの光に反応して、田舎娘が目を開けた。

 ぼやっとした様子で、周囲を、あたしたちを見回す。

 その目に、急に、邪悪な光が宿った!

 来る!


挿絵(By みてみん)


「イーシュ!」

「はい!」

 弟君の両手から、青い光が溢れ出す。

 そのまま両手で、田舎娘のお腹を抑え込んだ。

 ン、正確には、青い光を当てて、お腹を抑え込んだ感じ。

 お父さんが比較的遠くから光を当てるのとは違う。

 直近に、当てにいってる感じだね。

 田舎娘が、弟君の方をじっと見つめる。

 でも、抵抗らしい抵抗はしない。

 ただ、じっと見つめているだけだ。

 弟君、なぜか汗を、額に、顔に、汗をかき始めている。

 なんか、苦しそうだ。

「イーシュ!」

「まだまだ!」

 青い光が輝きを増した。

 でも、汗が止まらない。

「扉が開かないと、アオイの杖は入らない。付き人がこじ開けるのは、胸じゃなく、腹なんだよ」

 おっかさんが、あたしに聞かせるように言う。

 あ、そうなの?

 あたしの時は?

「あんたは腹を抱えて無理やり吐かせようとしてただろ? 苦しいのを我慢させる意味もあって、杖が胸に(ささ)るのさ。ま、一度開けば、どこでも受け容れ(ささ)るんだけどね」

 そうなのね。よく分かんないけど、なんとなく分かる気はする。

「青の付き人がああやって腹をこじ開ければ、聖女は楽に杖を入れられる。誰も負担にならないだろ?」

 まーそりゃそうだけどさ。だからあたしシロウトなんだってば。

「でも、まだイーシュは本調子じゃなさそうだね」

 あたしの出番?

「ミヨ、やれる範囲でいい。浄化してやんな」

「は、はい。光の女神アーリュー……」

 みーよが(ひざまず)いて、祈りの姿勢を取る。

 杖が白く輝き始め、田舎娘を照らす。

 お父さんの手の光、アオイの杖の光に加わって、みーよの杖の光が田舎娘を輝かせていく。

 彼女がピクリと反応し、みーよの方に目を向ける。

 なんか、言ってる。

 オークの言葉らしい、でも、女性の声なので違和感があるね。

 何言ってるかは分からない。でも、なんか、分かる。

 オマエガ イチバン ヨワイ

 ……へえ、ザコの分際で。

 祈るみーよの前にスッとたち、睨み返す。

 絶 対 に 殺 す

 彼女の表情に、怯えが走る。

「あ、なんか、イケル」

 イーシュが叫び、手の光の強さがさらに増した。

 彼の手が、田舎娘のお腹の中に入っていく⁈

 人の手が患者の中にめり込んでいく感じは、何回見ても不思議でしかないよ。

「上出来よ!」

 アオイも叫び、田舎娘の胸の中に、自分の杖をめり込ませていく。

「青き清浄の調べよ、彼女の中で青き調べよ、彼女の中で奏で、響け、打ち鳴らせ! 精神浄化(カタルシス)!」

 田舎娘のおなかが、青く光って全身に巡る。まるで人間行灯?

 お父さんも力強い声で、かざす手の光を強めていった。

「青き調べよ、彼女を人族の元に導き給え、感情洗浄(クリーナー)!」

 田舎娘に浮かんだ邪悪な顔が、元の人間の顔に戻っていく。

「よぉしよし。そのまま、ゆっくり抜きな」

 おっかさんの声で、アオイとイーシュが杖を、手を、ゆっくりと抜いていく。

「ミヨ、も少し浄化を強めな。ルブラン、少し力を抑えて」

 二人が頷き、指示通りにする。

 田舎娘の容態は、安定しているようだね。

「マイアミ、もう出番はなさそうだ。下がっていいよ」

「承知した」

 おっかさんが例のガラス製の水飲み器をもって、彼女の頭を少し持ち上げて中身を飲ませている。

「うん、いいね。ルブラン」

「青の調べよ。彼女にひと時の安らぎを、瞑想(メディケーション)!」

 お父さんの光が、田舎娘を鎮静化さ(ねむら)せた。

 みんな、一息ついて、互いを見合わせ。

 自然に笑みがこぼれた。

「あとは任せな。自然に、楽に、オークどもの痕跡を残らず排出()させてやるよ」

 楽に、か。尿おしっことかでって事かな?

 確かに、これなら、大立ち回りはいらないよね。

 うん、さすが、プロの仕事ぶりだね。


     ~ ・ ~


「イクミ、勘違いするんじゃないよ。アレは弱いから、比較的簡単だったんだ。アンタの出番がないわけじゃないんだよ」

 再びみーよが出してくれたコーヒーセットで、みんなブレイクタイムを楽しんでいる。この奇跡は、ストックが結構あるらしい、とみーよが言ってた。よく分かんないけど。

「そういうもんなの?」

「上位の、もっと強いヤツは、全然歯が立たないんだ。迂闊に起こすと、さっきのヤツみたいに怪我人や死人が出かねないからね。

 よくアオイがアレをやる気になったと思ったんだけどね。あたしゃ感心したよ、そういう事なんだねぇ」

「イクミさんならイケルと思っただけなんですけどーコーヒーお代わりっ!」

 チョコを摘まみながら自慢げにしゃべりながらコーヒーのお代わりを頼んでいるアオイ。出来ることは全部一度にヤリたいんだね。うん、カンタレベルだね。

「こら、言葉遣い!……いや、他の宗派の方に頼むべきことでは無いのですが」

 お父さんが、申し訳なさそう。

 うん、できれば自分たちだけでヤリたいのも、分かる。

「使えるものはなんでも使うんですけどーそう教わってきたんですけどー」

 こらこら、フフンみたいな顔するんじゃない。

 あらら、お父さん、娘の増長を大目に見るんですか?

「調子に乗るんじゃないよアオイ。お前はマダマダなんだからね」

「わ、分かってるんですけど……」

 おっかさんには、頭が上がらないのね?

「イーシュ、調子はどうだい?」

「ヤバイと思ったんだけど、急に容れるようになったんだ。さっきの、何?」

 おっかさんが、あたしを見る。説明してやんな、ってこと?

「みーよにガン飛ばして(にらんで)きたんで、ガンを飛ばし返し(にらみかえし)ただけだよ。勝手にブタ(オーク)共がビビったんだと思うよ」

(にら)んできた? 俺にじゃなくて?」

 お、そういうのは分かるんだ? 一対一(サシ)の感覚があるのね?

「そ。この中で一番弱いのはみーよだ、って聞こえたよ。

 だから、ザコのくせに何言ってんの、と睨み返しただけだよ」

「ザコって……」

「ザコじゃん」

 ふふんと威張るような話でもない。ザコはザコ。そんだけ。

「やっぱり、凄いんだな。師匠と呼ばせてください」

 改めて頭を下げるイーシュ。へえ、殊勝じゃん。

 素直さは大切。シュランのいい刺激になりそうだね。

「期間限定ね。青の教会(ソッチ)の事は、あたしはシロウトだからね」

「分かってる。でも、師匠はすごいよ。何も知らないのに、あんな事……」

 ま、自分でも少し感心するわ。よく出来たとは思う。ほぼカンなんだけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。