十五 スナーの役目
〈スナーおじちゃん、またあのお話、してえ!〉
小さい子から言われたら、断ることはできない。
何とか命からがら逃げて、身分を隠してオオカミの族のところまでやってきた。彼女と会えて、本当に良かった。でも、これだけはしなきゃいけないと使命感から、自分がこれまでやってきたことを洗いざらい話した。親殺して、奴隷商とも手を染めたこと。当然、振られてしまった。でも、良いとは思う。
生活費は、たまたま村に通りがかったラクラオ叔父さんから貰った。ビックリした。何でも、茶ワインしかないアイマイモコで葡萄酒を売っているそうだ。泣きついたら、
〈これは、仕送りじゃない! 投資だ!〉
と、ぶっきら棒にかなり分けてくれた。本当に、面倒見のいい人だ。足を向けて寝られない。
それから贖罪も込めて、各地を回ってオークの子供に細々昔話をしているのだ。
〈むかーしむかーしねえ、三年くらい前なんだけど〉
〈昔じゃない! アハハハ〉
〈ブライトっていう、カッコいい人がテンイムホウ王国にいてねえ〉
ストーリーは決まってる。悪い王が居た。親殺しの悪い王。でも、ブライトという英雄がとっちめてくれるんだ。でも、優しくて、王様を見逃してあげた。それだけ。
〈で、その悪い王がおじさんなんだけど……〉
今日は、オチを変えてみることにした。本当のことを、言ってみた。
ポカンとする顔。また睨まれた。どこかに子供は行ってしまった。あちゃあ、もうこの村は商売あがったり。別のところに行くしかない。
でも、これが俺の仕事だと、今でも思っている。




