リナの甘やかし大作戦!
私の名前はリナ、十六歳。
今目の前にノアがいる!しかも私と二人っきり!これは大チャンス!ここで思いっきりノアを甘やかしまくって、ノアのお姉ちゃんの中で一番好きなのはリナ姉ってことにするぞ!
「ミア姉、レナ姉に箒を渡しに行っちゃったね」
ノアが何だか寂しそうにしている。ここはお姉ちゃんを見せつけるチャンス!
「大丈夫、またすぐ戻ってくるよ!それよりほら、お菓子とジュースがあるよ、食べて食べて!」
私はクッキーを手に取り、ノアの口へ運ぶ。
「うん!おいしい!」
「でしょでしょ!朝早く作った甲斐があったよ!たくさん食べて!」
「あ!チョコもある!これも好きなんだ!」
ふっふっふ、それは昨日街に出かけた際に見つけた高級チョコレート、ちょっと奮発して買っちゃったんだー。
「わぁ!いつものより甘くておいしい!」
ノアがこんなに喜んでくれてお姉ちゃん嬉しいよ。
「たくさん食べたけど、喉乾いてない?ジュースもあるよ!ほら!ノアが大好きなオレンジジュース!」
私はジュースを手に取り、ストローをノアの口へ運ぶ。
「んー!甘ーい!」
ノアの笑顔が眩しすぎる!
「ふんふふん♪」
「どうしたんだ?鼻歌なんかしてー」
私はノアの体に抱きついた。
「えへへ〜」
その反応が余りにも可愛すぎて、そのままくすぐった。
「アハハハ!くすぐったいよぉー!」
ノアが笑えば笑うほど、もっとくすぐりたくなってしまう。
あ、そう言えば大事な事を聞くのを忘れてた。
「ノアはなんで魔法学校に行きたいと思うの?」
私はノアに抱きついたまま聞いた。
「えっとね、それは、お姉ちゃんたちみたいになりたいからかなー」
「というと?」
私はノアの顔を覗き込む。
「レナ姉はいろんな魔法が使えて、とても強くてカッコイイお姉ちゃん!ミア姉は魔物を使役できて、魔導具もたくさん作れる頭が良いお姉ちゃん!リナ姉は特異体質で料理も上手で、いっぱい甘えさせてくれる優しいお姉ちゃん!私はお姉ちゃんたちみたいに、強く!頭が良く!優しい人になりたいの!!」
「そうか。強くなるには魔法学校でいろんな魔法を学んで、頭が良くなるにはいろんな知識を得る。そして優しい人になるにはたくさん友達を作っていろんな人を知り、自分の心を成長させるってことだな」
「もーそんなに具体的に言わないでよー、何だか恥ずかしいー」
ノアは顔を赤くしながら笑っている。可愛いやつめ。
「そうだ、そろそろ家の中に入ろう、もう少しでミア姉帰ってくるだろうし、一緒に読書でもして時間を潰そうか、帰ってきたら三人で一緒にケーキでも作ろうな!」
私は空のお菓子の皿とコップを手に取り、立ち上がった。
家の中に入り、お皿とコップを台所に置き、ノアと家の中にある図書室に向かった。
「あ、これノアが小さい頃大好きな絵本でよく私が読み聞かせてたやつじゃないか?」
この絵本は『勇者物語』といって勇者が四人の仲間と共に魔王を倒すというお話だ。
「ほんとだ!懐かしいねー」
「また私が読み聞かせてあげようか?」
「もう!私はもう子供じゃないんだよ!」
「そう?」
気恥しさや照れ隠しから言ったのだろう、私はそれが微笑ましかった。
一冊目の本を読み終わる前に家の扉が開いた。
「ただいまー!」
この声はレナ姉だ。
私とノアは図書室から出て、迎えに行った。
「レナ姉、今日の森の巡回はもう良いの?」
ノアが心配そうに聞く。てっきり私はレナ姉は昼過ぎまで帰ってこないと思っていた。
「今日は巡回をミアの使い魔に任せて帰ってきたぜ!ノアが初めて魔法を使った記念日だからな!」
レナ姉はなぜか自慢げにドヤ顔をしながらグッドポーズをする。
「やった!これなら四人で一緒にケーキ作れるね!」
「そうだレナ姉!見て!」
ノアがゴーグルと杖を見せる。
「これがミア姉が一年かけて作ってくれた魔導具!」
「おぉ……!これがそうか!」
レナ姉は少し驚いていた。
「ノア専用なんだ」
とミア姉が少し照れながら言った。
「よくやったな、ミア!」
レナ姉に褒められたのが余程嬉しかったのか、ミア姉はさらに照れていた。
「ノア、魔法見せてくれ!」
ノアは嬉しそうに頷き、外へ出た。
ゴーグルを掛け、杖を構える。
「ファイアーボール!」
杖の先が赤く輝き、炎の球が的へ向かって飛んでいく。
「すげぇ!よかったな!ノア!」
「うん!」
レナ姉がノアの頭を優しくなでる。
「あ、そう言えばノアに大切な事を言い忘れてた」
ミア姉が話を切り出す。
「今年の魔法学校の入学試験は約3ヶ月後。今年も年齢制限はないから、ノアも受験できるよ」
「三ヶ月……」
ノアが何だか不安そうな表情を浮かべた。それを見たミア姉が「あ、しまった!」という顔になる。
「大丈夫!ノアが合格できるように座学も魔法も全部教える!」
「本当に!?」
「もちろん!」
「魔法なら私も教えられるぞ!」
レナ姉はかなり自信があるようだ。
私はお姉ちゃんたちには座学も魔法も敵わない。だから!
「私はいつも美味しいご飯で応援するよ!」
今の私にできるのはこのくらいかな。
「みんな……ありがとう!」
「私、頑張る!」




