拳銃
避けれたのは奇跡に近かった。たまたまドアと距離を空けていたことで、ゾンビの噛みつきが届かなかったのだ。もう後10cm近かったら鼻をやられていた。
「ーーーッッッッ!?危ねぇな!!?」
躱したはいいが不安定な体勢になってしまった。だがそれはお互いのようで、勢いよく噛みにきたゾンビはそのまま壁に激突する。その隙に体勢を整えてバットを構える。
(どうする逃げるか?いやここにアレがあるかもしれないのならこの交番は見ておきたい。)
そのまま動かなければ好都合だったが、ゆっくりと起き上がってくる。衝撃で歯が何本か折れたみたいだが、依然ヤル気のようだ。
後退りしながら距離を取ったが、先ほどと同じように突進してきた。どうもゾンビは突進攻撃がメインの攻撃手段のようだ。流石に喰らうわけには行かないので慌てて走って外に出る。そのまま直角に逃げてみると、追いかけてきたゾンビは曲がりきれずこけてしまった。
(走ることはできても急な方向転換はできない.....バランス感覚か膝でも悪いのか?ゾンビものだと死後硬直で関節が固いのが多いと聞くが。)
頭から血を流そうが歯が何本折れようがお構いなしに、再度立ち上がってくる。流石はゾンビといったところか。やはり頭を潰すしか方法は無さそうだが......。
(ゾンビ抜きにするとこっちが100%悪いしなあ。警察官のゾンビだから、死してなお職務に準じてた?と考えると殴れねえよ!!)
思考が行動を鈍らせている間に三度の突進が襲いかかる。だが明らかに遅くなっている。そのため引きつけながら走っても余裕が生まれる。その間に考えを巡らしていると有るものが目に飛び込んできた。
「いいものみっけ!」
ぎりぎりまで引きつけるとそれ、電柱の影に隠れる。
グチャメキバチャンンン
勢い付いたゾンビはそのまま激突した。今回は見事頭が潰れたようで、そのままずるっと地面に倒れた。今回も何とかなった。
さてここからが本題だ。ここまで交番に固執してゾンビと格闘したのは理由がある。恐る恐るゾンビの腰を触ると硬いものがある。シャツの裾を捲ると黒いケースを身につけていた。中を開けると一つの金属の塊が入っている。これこそがここにきた理由であり探していたもの
拳銃
この日本で銃の入手は不可能に近い。当たり前だが一般人の銃の所持は違法だ。所持しているのは特別な仕事についている人かおっかない人たちだけだ。だからこそここに来てこれが有るかを確かめたかった。もしも他の人が、もしも人へ危害を加えることに躊躇いのない人がこれを持ってしまったらどうなるか。自分へ向けられかと思うとゾッとする。
だから自分が持つというのはあまりにも発想が飛躍しすぎというのは理解している。今まではお金を払ったり正当防衛だったりと、何とか理由はつけられたかこれは何も言い訳ができない。
あまりにも身勝手で自己中心的な考え方だ。
(分かってる!けどこれしか無い。武術も刃物の心得も交渉術もない俺には、最後の砦になる力はこれしか無い!)




