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破壊の魔王  作者: Karionette
外界編 第六章 吸血鬼
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飛び込んできたのは広大な黒が醜く笑った姿。


届いたのは静かな音と脈打つ鼓動。


絶えず走る激痛と矛盾して消えていく感覚。


鼓動ばかりがうるさくて、絞り出そうとも声はでない。


背後が湿り、徐々に体が冷えていく。


おぼつかない呼吸に、確かに死のにおいを感じた。


だが、そんなことはどうでもよかった。


映る光が、届く音が、触れたソレが。


そして自分が、何かがわからない。


探るように液体まみれの掌を頭に置いても、記憶のすべてがそこにはなかった。


わかるのは本能的に、今、死ぬ寸前であるということだけ。


俺は誰だ。


俺の名は、この音の名は、この場所は何だ。


答えのない問いは続き、それに対して沸き立つ感情の名前もわからない。


今、生まれた感覚だった。そして死ぬ感覚を既に味わっている。


何の意味があるのか。

ただ苦しみ死ぬなら、なぜ生まれてきたのか。

惑わせて、迷わせて、痛みに呻くことが何のためになるのか。


誰が、俺をこうしたのか。



「………お前か?」



脳裏にかすめた白い髪の少女。


それの名前もわからない、顔も知らない。それでも唯一残った記憶の片鱗、手がかりだった。


脳裏を探ったところで何もわからない。

手がかりがあっても答えはでない。


そんな中で、ただ確かなことがあった。


俺を殺そうとした奴がいる。

俺をこうして、記憶を奪った奴がいる。


それが誰なのか、何なのかは知らない。知らないのに俺は終わろうとしている。


無理だ。始まりもないのに、終われるわけがない。俺はこの状態に納得できるモノを持っていない。


たとえ世界を破壊することになったとしても、抗うことをやめることができない。



「あ"あ"あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」



俺の叫びは闇を生み、そして光は消えた。


これが俺の始まり。 誕生の夜だった。





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