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破壊の魔王  作者: Karionette
外界編 第六章 吸血鬼
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夜が明けてゼロさんとルナは日の当たらないところで寝て、二日酔いに頭を抱えながら海賊たちが船を操る。わたしも眠るべきなんだろうけど、なんだか眠れずあのまま船首でぶらぶらしていた。


頭を悩ましているのは、ゼロさんが記憶を失っているということ。


わたしもティナに詳しいわけじゃないけど、ティナを宿す人は何か力を求めたり、やりたいことがあるとか、そんなときに宿すと聞く。わたしの上司?だったティナ持ちの人も、復讐心で燃えてたとかなんとかで宿したと言っていた。



「ゼロさんは…それもわからないのか…」



ぽつりと一人でつぶやいた。


なんだろう。この悲しいような、悔しいような、何とも言えない気持ちは。


記憶がなくて、ティナの力だけ持って、目的もわからなくて、味方さえいなくて、体は死のうとしていて。


それはどんな始まりだったんだろう。



「どうしたんだ、ありんこ。そんなとこでボーっとしてっと海にさらわれちまうぞ?」



野太い声とともに、丸太のような腕がひょいとわたしを抱え、気づけば熊おじさんに肩車されていた。



「ゼロさんのこと考えてたの」


「好きだなあ、あいつのこと」


「熊おじさんはゼロさんのこと知ってるの?」



熊おじさんはわたしを肩にのせたまま首をふる。体がぐわんぐわんと揺れた。



「正直、ワシとゼロとは付き合いが短い。航海をともにした仲ではあっても、あの時のあいつは暴走状態の獣同然じゃった。

何も話をせんし、近寄る者すべて皆殺しとでも言いそうな危ないやつでの」


「そっか…」


「何を聞いたか知らんが、ありんこが気にすることでもないじゃろう」


「わかってるよ」



気にしたってしょうがない。


わたしが悩んだところで、ゼロさんの記憶が戻るわけじゃない。


それに…ゼロさんは言わなかったけど、記憶がない原因はたぶんティナのせいだ。ティナは人の何かを代償とするもの。

ゼロさんの場合は記憶を持っていかれた。


それなら、元通り戻すのは不可能。知識として昔のことを知ることはできても、思い出すことはない。



「うーーー…」


「なんじゃ、お前さんらしくもない。ありんこが頭をひねっても、ゼロの頭の良さに届くはずもない。あきらめぃあきらめぃ」


「わかってるよ!もう!」



悩んだってしょうがないさ!答えもでないさ!


それでも勝手に頭が考えちゃうんだもん。どうにかできないかと思って、できないよなって考えるんだもん。



「よし!そんな頭ばっかり働かせとるなら、もっと有益な仕事をやろう!ついてこい!」


「え」



ついてこいというか、今わたしは肩車されているわけで。


身長2メートル近くある熊おじさんの上で、がっくんがっくんとシェイクされながら、わたしはどこかへ連れて行かれた。




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