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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
氷戦の街 グラディア編

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第99話 『準優勝』

氷闘祭の登録を終えたユーマ達は、レイの案内でさらに街の奥へ進んでいた。


相変わらず。


どこを見ても戦いだった。


広場では決闘。


道場では試合。


酒場では腕相撲。


武器屋では武器を巡って口論。


そしてその口論も気付けば殴り合いになっている。


ユーマは呆れた顔をした。


「本当に戦ってばっかりだな。」


レイは前を歩きながら答える。


「そうしないと生きられないからな。」


ユーマ。


「まだ言うか。」


レイ。


「事実だ。」


グラディアでは強さが全て。


それは昨日聞いた。


だが。


実際に街を歩いてみると、その異常さがよく分かる。


そこにあるのは活気ではない。


生存競争だった。


ユーマ達は市場へ入る。


食料を売る店。


防具を売る店。


武器を売る店。


どの店も繁盛している。


その中で。


一人の老人が店主と揉めていた。


「金が足りねぇ。」


「じゃあ買えねぇ。」


「明日払う!」


「明日まで生きてたらな。」


店主は笑った。


周囲も笑う。


誰も驚かない。


それが当たり前だからだ。


ユーマは眉をひそめた。


「ずいぶん冷たい街だな。」


レイは首を横に振る。


「違う。」


「みんな余裕が無いんだ。」


「余裕?」


レイは歩きながら続けた。


「負ければ奪われる。」


「武器。」


「金。」


「家。」


「時には命。」


「だから誰もが強くなろうとする。」


ユーマは黙る。


レイの声には感情が無かった。


いや。


感情を押し殺していた。


「みんな生きるために戦う。」


「戦ってる奴らが恨み合ってるわけじゃない。」


「でも。」


「戦わなきゃ生きられない。」


それがグラディアだった。


しばらく歩く。


今度は巨大な広場へ出た。


そこには大きな掲示板があった。


多くの住民が集まっている。


ユーマは近付く。


「なんだこれ。」


レイも立ち止まった。


「氷闘祭の記録だ。」


ユーマは掲示板を見る。


歴代大会。


勝敗。


対戦表。


無数の名前。


そして。


あることに気付く。


「ん?」


「優勝者は?」


レイは少しだけ沈黙した。


「いない。」


ユーマ。


「は?」


「いない。」


レイは同じ言葉を繰り返した。


「優勝者は怒の番人へ挑戦する。」


「そして死ぬ。」


風が吹く。


掲示板が揺れる。


「だから優勝者の名前は残らない。」


「残るのは準優勝者だけだ。」


ユーマはもう一度掲示板を見る。


そこには確かに。


準優勝者の名前ばかりが並んでいた。


そして。


その中に。


何度も現れる名前。


レイ。


レイ。


レイ。


レイ。


ユーマは目を丸くした。


「お前。」


「何回出てんだよ。」


レイ。


「何回だろうな。」


リリムも少し驚いていた。


「毎回準優勝?」


「ああ。」


ロキは掲示板を見る。


「相当強いんだな。」


レイは肩をすくめるだけだった。


その反応が逆に不自然だった。


だが。


誰もそれ以上は聞かなかった。


やがて。


四人は再び歩き出す。


街の中心部。


氷闘祭会場の近く。


そこには大勢の戦士達が集まっていた。


その時だった。


「おぉ。」


聞こえてきた声。


どこか嫌な笑い方だった。


レイの足が止まる。


ユーマも振り返る。


数人の男達がこちらへ歩いてくる。


先頭には大柄な男。


顔には無数の傷。


目付きも悪い。


明らかに面倒なタイプだった。


男はニヤニヤ笑う。


そして。


レイを見る。


「誰かと思えば。」


「親友殺しのレイ君じゃねぇか。」


その瞬間。


周囲の空気が変わった。


レイの表情が固まる。


ユーマ達は男を見る。


男は楽しそうだった。


まるで。


相手が傷付くのを待っていたかのように。


そして。


再び口を開く。


「久しぶりだなぁ。」


「レイ。」

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