第9話 『勝てるようになれ』
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① 再戦する
② 逃げる
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投稿テンポが早いから感想入れずらいか。
でもここはテンポよくいきたい!
ということで
【① 再戦する】ということにします。
一週間の修行を終えたユーマ。
目の前には、かつて何もできずに敗れたゴブリン。
果たして今のユーマは――。
それでは第9話をお楽しみください。
ゴブリンはこちらを見ていた。
俺もゴブリンを見る。
一週間前なら。
迷わず逃げていた。
いや。
逃げることすらできなかったかもしれない。
でも今は違う。
少しだけ。
本当に少しだけ。
強くなった。
俺は竹刀を握る。
ガルドは何も言わない。
腕を組んで見ているだけだ。
試されている。
そんな気がした。
「やる。」
俺は呟いた。
そして走り出す。
ゴブリンが叫ぶ。
棍棒を振り上げる。
俺は飛び込んだ。
ガルドとの修行を思い出す。
遅い。
何度も言われた。
だから。
今までより速く。
今までより低く。
竹刀を振る。
パシッ!
初めて当たった。
ゴブリンがよろける。
「当たった!」
思わず叫んだ。
嬉しかった。
本当に嬉しかった。
一週間の修行は無駄じゃなかった。
そう思った。
だが。
次の瞬間だった。
ゴブリンの目が変わる。
怒っている。
明らかに怒っている。
「やば。」
ゴブリンが突っ込んでくる。
速い。
思ったよりずっと速い。
棍棒が振り下ろされる。
避けた。
でも。
二撃目。
三撃目。
四撃目。
速い。
追いつかない。
ドゴッ!
腹に入った。
息が止まる。
「がっ!」
吹き飛ばされる。
地面を転がる。
竹刀が手から離れた。
痛い。
苦しい。
立てない。
ゴブリンが近付いてくる。
棍棒を振り上げる。
終わる。
そう思った。
「馬鹿か。」
声が聞こえた。
次の瞬間。
ゴブリンの体が吹き飛んだ。
十メートル以上。
木に激突する。
そして動かなくなった。
ガルドだった。
相変わらず枝を持っている。
相変わらず意味が分からない。
「大丈夫か。」
「全然大丈夫じゃない。」
「そうか。」
「そうかじゃねぇ。」
ガルドはため息をついた。
「なんで負けたか分かるか?」
「弱いからだろ。」
「違う。」
「え?」
「弱いのは当たり前だ。」
ガルドは俺の額を軽く小突いた。
「お前。」
「?」
「勝てると思ってただろ。」
俺は黙った。
図星だった。
修行した。
レベルも上がった。
だから。
少しくらいは勝てると思っていた。
ガルドは言う。
「勝てると思うな。」
「……。」
「勝てるようになれ。」
その言葉は重かった。
妙に胸に刺さった。
ガルドは枝を肩に担ぐ。
「焦るな。」
「うん。」
「一週間で英雄になれるなら苦労せん。」
「それもそうか。」
俺は立ち上がる。
悔しかった。
でも。
前とは違う。
今度は何もできなかったわけじゃない。
一発だけ。
本当に一発だけだけど。
当てることはできた。
「じゃあどうやって強くなるんだよ。」
俺は聞いた。
ガルドは首を傾げた。
「言ってなかったか?」
「何を?」
「魔法だ。」
俺は固まった。
「え?」
「魔法だ。」
「魔法!?」
異世界だ。
そうだ。
異世界なんだ。
今までレベルとか剣とかで忘れていた。
一番大事なものを。
「使えるのか!?」
「使える。」
「俺も!?」
「使える。」
「マジか!!」
思わず飛び上がった。
テンションが上がる。
めちゃくちゃ上がる。
やっと来た。
異世界と言えば魔法だ。
「ただし。」
ガルドが言う。
「得意不得意はある。」
「適性みたいな?」
「そんなもんだ。」
ガルドは地面に複雑な模様を描いた。
魔法陣だ。
「その中に立て。」
俺は言われるまま立った。
「手を出せ。」
出した。
「手のひらに『魔』の字を書く。」
書いた。
「念じろ。」
「何を?」
「強くなりたいと。」
俺は目を閉じた。
強くなりたい。
魔王を倒したい。
もっと強くなりたい。
その瞬間だった。
ピリッ。
手のひらに違和感が走る。
そして。
スパッ。
「いてぇぇぇぇ!!」
思わず叫んだ。
手のひらから小さく血が滲んでいる。
「なんだこれ!?」
「風だな。」
ガルドが言った。
「風?」
「お前の得意属性だ。」
俺は手のひらを見る。
傷は浅い。
でも確かに切れている。
「先に言えよ!」
「大した傷じゃない。」
「そういう問題じゃねぇ!」
ガルドは珍しく笑った。
本当に少しだけ。
「おめでとう。」
「え?」
「これでお前の属性が決まった。」
風。
俺の属性。
なんだか少しだけ嬉しかった。
異世界の主人公っぽい。
「で?」
俺は聞く。
「風って何ができるんだ?」
「色々だ。」
「雑だな。」
「明日教える。」
「え?」
「魔法も剣と同じだ。」
ガルドは立ち上がった。
「一日で覚えられるもんじゃねぇ。」
「それはそうか。」
「だから明日だ。」
ガルドは背を向ける。
そして歩きながら言った。
「明日から本当の修行だ。」
「今までは?」
「準備運動。」
「嘘だろ。」
「本当だ。」
全然嬉しくなかった。
ガルドは豪快に笑いながら去っていく。
俺はため息を吐いた。
風属性。
レベル3。
まだまだ弱い。
でも。
確実に前へ進んでいる。
そんな気がした。
第9話を読んでいただきありがとうございました!
ついにユーマの得意属性が判明しました!
その属性は風!
しかしガルド曰く、今までの修行はまだ準備運動。
本当の修行は明日から始まるようです。
次回、ユーマは初めての魔法を習得します!




