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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
ミスト村編

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第10話 『レベル3 風の魔法』

前回、ついにユーマの属性が判明しました!


風属性。


そしてガルドから告げられた言葉。


「明日から本当の修行だ。」


どうやらまだまだ楽はできそうにありません。


それでは第10話をお楽しみください。

宿へ戻った頃には、すっかり日が暮れていた。


疲れた。


本当に疲れた。


ゴブリンに殴られ。


ガルドに説教され。


挙げ句の果てに手のひらまで切れた。


異世界ってもっとこう。


チートとか。


無双とか。


そういうものじゃないのか。


「甘いですねぇ。」


セフィが空中で寝転びながら言う。


「うるさい。」


「レベル3ですから。」


「うるさい。」


「雑魚ですから。」


「うるさい!」


そんなやり取りをしていると。


コンコン。


扉が鳴った。


「ん?」


開ける。


そこにいたのはアリスだった。


「あ。」


「こんばんは。」


いつもの笑顔だった。


なんだろう。


それだけで少し安心した。


「どうした?」


「別に。」


「別に?」


「なんとなく。」


なんとなくで来たらしい。


そんなことある?


「入る?」


「うん。」


アリスは部屋へ入ってきた。


椅子に腰掛ける。


俺はベッドへ座る。


少しだけ沈黙。


不思議と気まずくはなかった。


「手のひら・・」


アリスは手のひらの傷を見る。



「あぁ、これ?さっき修行でできた。」


「風だったんだね。」


アリスが言った。


「ああ。」


「すごいじゃない。」


「そうか?」


「うん。」


アリスは頷く。


「なんか主人公っぽい。」


「主人公っぽい?」


「剣士で風属性。」


「確かに。」


少しだけ嬉しかった。


主人公っぽい。


ゲーム好きとしては悪くない響きだ。


「アリスは?」


「ん?」


「属性。」


「ああ。」


アリスは微笑んだ。


「私は水。」


「水か。」


「うん。」


「なんかアリスっぽいな。」


「どういう意味?」


「優しそう。」


アリスは少しだけ照れたように笑った。


「変なの。」


「傷は痛む?」


「ああ、これか。」


「見せて。」


「大丈夫だぞ?」


「見せて。」


「いや、本当に。」


「見せて。」


「……はい。」


負けた。


俺は手を差し出す。


アリスはそっと俺の手を取った。


柔らかかった。


女の子の手だった。


近い。


思ったより近い。


心臓が少しうるさい。


「どうしたの?」


「いや。」


「顔赤いよ?」


「気のせいだ。」


「そう?」


絶対気付いてる。


こいつ。


絶対分かってる。


アリスは少しだけ笑った。


そして。


俺の手を両手で包む。


「治れ。」


小さく呟いた。


次の瞬間。


淡い水色の光が溢れる。


温かい。


痛みが消えていく。


まるでお湯に浸かっているみたいだった。


「おお……。」


思わず声が漏れる。


数秒後。


傷は綺麗になくなっていた。


「すげぇ。」


俺は何度も手を見る。


傷がない。


本当にない。


「治った。」


「よかった。」


アリスは嬉しそうだった。


まるで自分のことみたいに。


「今のが水魔法?」


「うん。」


「すげぇな。」


「回復系しか得意じゃないけどね。」


「いや十分すごいだろ。」


俺なら切ることしかできない。


アリスは治せる。


どっちが便利かなんて考えるまでもない。


「ユーマ。」


「ん?」


アリスは少し真面目な顔になった。


「頑張ってるね。」


「え?」


「最初会った時より。」


アリスは笑った。


「強くなったと思う。」


俺は少しだけ驚いた。


ガルドには毎日雑魚だと言われている。


セフィには馬鹿にされる。


だから。


そんなことを言われるとは思わなかった。


「そうかな。」


「うん。」


アリスは頷く。


「ちゃんと前に進んでる。」


その言葉は。


なぜかガルドの言葉より嬉しかった。


「ありがとう。」


俺はそう言った。


アリスは少し照れたように笑う。


「どういたしまして。」


しばらく話をして。


アリスは帰っていった。


部屋には静けさが戻る。


でも。


不思議とさっきまでより元気になっていた。


「単純ですねぇ。」


セフィが呆れたように言う。


「うるさい。セーブしろ。」


「分かりやすいですねぇ。」


「うるさい。セーブしろってば」


「恋ですか?」


「違う!セーブしろって!!」


セフィはニヤニヤしながら


「はいはい、ではセーブします」


「告白の前もセーブしておくことをオススメします。」


緑のオーラが舞った。


「うるせぇ」


腹立つ。



翌朝。


俺は訓練場へ向かった。


ガルドは既に待っていた。


相変わらず枝を持っている。


もう誰も突っ込まない。


「じゃあ始めるぞ。」


「魔法か?」


「ああ。」


ついにだ。


俺は思わず身を乗り出した。


ガルドは枝を肩に担ぐ。


「覚えとけ。」


「うん。」


「魔法だけ強くても意味はない。」


「うん。」


「武器だけ強くても意味はない。」


「うん。」


ガルドは頷く。


「強い奴はな。」


「?」


「魔法と武器を組み合わせる。」


俺は目を瞬かせた。


「組み合わせる?」


「ああ。」


ガルドは枝を振る。


その瞬間。


枝の先から風が生まれた。


訓練場の砂が舞う。


「おお!」


思わず声が出る。


「今のは?」


「風魔法だ。」


「すげぇ!」


「お前もできるようになる。」


ガルドは指を三本立てた。


「まずは基本だ。」


「風切り。」


「風の刃を飛ばす攻撃技。」


一本目。


「風歩。」


「風を使った移動技。」


二本目。


「風防。」


「風で攻撃を逸らす防御技。」


三本目。


「この三つを覚えろ。」


俺は頷いた。


どれも欲しい。


全部欲しい。


だが。


ガルドは首を振る。


「最初は一つだ。」


「えぇー。」


「全部は無理だ。」


それもそうか。


なら。


最初に覚えるべき技は――。



【投票】


ユーマが最初に習得する風魔法は?


① 風切り


② 風歩


③ 風防

第10話を読んでいただきありがとうございます!


今回は少しだけアリス回でした。


そしていよいよ魔法修行がスタート!


ユーマが最初に覚える風魔法を選んでください!


① 風切り


② 風歩


③ 風防


ぜひコメントで投票お願いします!

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