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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
修行編

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第87話 『一年後』

月日は流れ。




ユーマ達が修羅の迷路へ入ってから。


一年の時が流れた。


ミスト村。


朝。


澄んだ空気の中。


一人の少女が村人の前に立っていた。


「ヒール。」


優しい水色の光が広がる。


怪我をしていた男の腕が光に包まれた。


数秒後。


傷は綺麗に消えていた。


男は目を見開く。


「おぉ・・・!」


「すげぇ・・・!」


腕を動かす。


痛みはない。


傷跡もない。


男は何度も頷いた。


「助かった!」


「ありがとう!」


少女は微笑む。


「無理しないでくださいね。」


男は照れくさそうに笑いながら去っていった。


その様子を見ていた村長が頷く。


「立派になったの。」


少女。


アリスは少し照れた。


「まだまだです。」


「そんなことはない。」


村長は笑う。


一年。


たった一年。


だが。


アリスは確実に成長していた。


回復魔法。


魔力量。


判断力。


どれも大きく向上している。


今では村の治療役として欠かせない存在だった。


村長が空を見る。


「早いもんじゃな。」


「もう一年か。」


アリスも空を見上げる。


一年。


長かった。


本当に長かった。


ユーマ。


リリム。


ロキ。


ガルド。


みんな今頃どうしているだろう。


元気だろうか。


ちゃんとご飯を食べているだろうか。


怪我はしていないだろうか。


そんなことばかり考えていた。


その時だった。


ふと。


アリスが立ち上がる。


「村長。」


「なんじゃ?」


「温泉村に行ってきてもいいですか?」


村長が首を傾げる。


「急じゃの。」


アリスは少し考える。


そして。


小さく笑った。


「もうすぐ一年なんです。」


「ユーマ達が修行へ行ってから。」


「ちょうど。」


村長は納得したように頷く。


確かにそうだった。


あの日。


ユーマ達は温泉村から旅立った。


あれから一年。


修行が終わる頃だ。


「会えるかもしれんの。」


「はい。」


アリスは頷く。


「まだ帰ってきてなくても。」


「待とうかなって。」


その言葉に。


村長は優しく笑った。


「行ってくるといい。」


アリスも笑う。


「ありがとうございます。」


翌朝。


旅支度を整える。


杖。


荷物。


薬草。


準備は万全だった。


村人達が見送りに来る。


「気を付けてなー!」


「アリスちゃん頑張れ!」


「迷うなよー!」


最後の一言に。


アリスは少しだけムッとした。


「迷いません!」


元気よく言い返す。


村人達は笑っていた。


そして。


アリスは歩き出す。


ミスト村を背に。


雪の見える北へ。


温泉村へ向かって。


一年ぶりの再会を信じて。


風が吹く。


アリスは小さく呟いた。


「ユーマ。」


そして微笑む。


「ちゃんと強くなった?」


その問いに答える者はまだいない。


だが。


再会の日は確実に近付いていた。

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