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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
修行編

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第86話 『新しい街』

ローゼンベルク。


かつて。


男と女が分断されていた街。


そして。


喜の番人によって支配されていた街。


だが今は違う。


朝。


街は活気に溢れていた。


「そっち持ってくれ!」


「はいはい!」


男達が木材を運ぶ。


女性達が設計図を確認する。


市場には人が集まる。


子供達は走り回る。


笑顔も増えた。


平和だった。


「平和だなぁ・・・。」


ジャックは伸びをした。


そして次の瞬間。


ドォォォォン!!


爆発音。


「平和じゃねぇぇぇぇぇ!!」


ジャックが頭を抱える。


原因は分かっている。


走る。


向かう先は城だった。


かつて喜の番人が住んでいた城。


今は役場や会議室として利用されている。


そして。


城の地下。


武器庫。


「できたぁぁぁ!!」


「できてないよ!!」


聞き覚えのある声だった。


ジャックは扉を開く。


そこには。


リンリンとランラン。


そして。


煙。


「お前ら何した。」


リンリンが胸を張る。


「新武器開発!」


ランランも胸を張る。


「失敗!」


「どっちだよ!」


ジャックのツッコミが響く。


リンリンは笑う。


「大丈夫大丈夫。」


「大丈夫じゃない。」


「今回は武器庫吹き飛んでないし。」


「今回はって何だ。」


ジャックは深いため息を吐いた。


「というか。」


「まだいたのかお前ら。」


リンリンが眉をひそめる。


「失礼だな。」


ランランも頷く。


「住民です。」


「違う。」


即答だった。


二人はいつの間にか住み着いていた。


武器庫最高。


研究最高。


出て行く理由がない。


本人達はそう言っている。


ジャックは諦めた。


もう何を言っても無駄だ。


「ほどほどにしろよ。」


「はーい。」


絶対に守らない返事だった。


ジャックは武器庫を後にする。


城の廊下を歩く。


窓から街が見えた。


ふと。


足を止める。


かつて。


この城は恐怖の象徴だった。


結婚式。


洗脳。


支配。


様々なことがあった。


だが今は違う。


会議室。


役場。


学校。


訓練場。


街のために使われている。


ジャックは小さく笑った。


「変わったな。」


城も。


街も。


そして自分も。


その時。


下の広場から声が聞こえた。


「ジャックさーん!」


男だった。


「橋の修理終わりました!」


別の方向から声が飛ぶ。


「市場の増築も終わりましたー!」


女性だった。


ジャックは手を振る。


「おー!」


「ありがとなー!」


自然だった。


少し前なら考えられない光景。


男も。


女も。


一緒に街を作っている。


ジャックは空を見上げた。


青空だった。


「見てるか。」


誰に向けた言葉なのか。


自分でも分からなかった。


だが。


少しだけ。


喜の番人のことを思い出していた。


「あんたのやり方は間違ってた。」


風が吹く。


「でも。」


ジャックは笑う。


「街は残してやるよ。」


その時だった。


後ろから足音。


振り返る。


リンリンとランランだった。


「ねぇ。」


「ん?」


「ユーマ達まだかな。」


ジャックは少し驚く。


ランランも頷いた。


「遅いよね。」


確かに。


遅い。


だが。


ジャックは笑った。


「あいつらなら大丈夫だろ。」


リンリンも笑う。


「だね。」


ランランも笑う。


「うん。」


ジャックは街を見る。


活気に満ちたローゼンベルク。


みんなが守った街。


みんなで作る街。


そして。


「どうせ帰ってきたら。」


ジャックは苦笑した。


「また面倒事持ってくるさ。」


リンリンが笑う。


「それはある。」


ランランも頷く。


「絶対ある。」


三人の笑い声が響いた。


遠く。


遥か遠く。


修羅の迷路で修行を続ける仲間達へ届くことはない。


だが。


帰る場所はちゃんと残っていた。


いつでも帰って来られるように。

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