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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
修行編

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第82話 『戦友と戦友』

光が消えた。


リリムはゆっくり目を開く。


「・・・ここ。」


見覚えのある景色だった。


石畳。


噴水。


街並み。


そして大きな城。


ローゼンベルク。


だが。


違う。


静かすぎた。


誰もいない。


風の音だけが響いている。


「ローゼンベルク・・・?」


ナディアも周囲を見回す。


表情が曇った。


「そう見えるな。」


リリムは思い出す。


ウィザードの言葉。


――関連する試練や世界になる。


「なるほどね。」


「私達はローゼンベルクか。」


二人は街を歩き始めた。


すると。


突然。


鐘の音が響く。


カーン。


カーン。


カーン。


その瞬間。


景色が変わった。


目の前に線路が現れる。


遠くから列車が迫ってくる。


ゴォォォォォォ!!


「なんだ!?」


ナディアが身構える。


その時だった。


線路の先。


小さな子供が一人。


縛られている。


反対側の線路。


女性が五人。


同じく縛られている。


リリムが顔をしかめた。


「は?」


列車は止まらない。


迫る。


迫る。


迫る。


そして。


目の前にレバー。


ナディアが理解する。


「そういうことか。」


レバーを倒せば。


片方は助かる。


片方は死ぬ。


「ふざけんな。」


リリムが吐き捨てる。


列車は迫る。


残り数秒。


ナディアが聞く。


「どうする?」


リリムは即答した。


「決まってる。」


走る。


レバーには触れない。


「両方助ける!」


子供へ向かう。


ナディアは女性達へ向かう。


だが。


間に合わない。


ゴォォォォォォ!!


世界が真っ白になった。


―――


気付けば。


二人は元の場所に立っていた。


線路。


レバー。


子供。


女性達。


列車。


全て同じ。


リリムが舌打ちする。


「・・・やり直しか。」


二回目。


失敗。


三回目。


失敗。


十回目。


失敗。


二十回目。


失敗。


五十回目。


失敗。


百回目。


失敗。


リリムは地面に座り込んだ。


「なんなんだよこれ・・・。」


ナディアも疲れていた。


だが。


諦めていない。


「リリム。」


「なんだよ。」


「選べば終わるぞ。」


沈黙。


リリムは顔を上げる。


「選ばない。」


「だろうな。」


ナディアは苦笑した。


二人とも分かっていた。


一人を見捨てる。


五人を見捨てる。


そんな答えは選べない。


リリムらしくない。


ナディアらしくない。


そして。


再び鐘が鳴る。


カーン。


カーン。


カーン。


列車が動き出す。


リリムは目を閉じた。


考える。


今までと何が違う。


何が足りない。


そして。


目を開いた。


「・・・そうか。」


ナディアが見る。


リリムが笑った。


「問題が間違ってる。」


「なに?」


「なんで助ける人数を選ばなきゃいけない。」


列車が迫る。


リリムは走った。


線路へ。


「おい!?」


ナディアが叫ぶ。


だが。


リリムは止まらない。


「私はリリムだぞ!!」


炎が噴き出す。


全身から。


「選ぶのは嫌いなんだよ!!」


炎が巨大な壁となる。


列車へぶつかる。


ドォォォォォォン!!


衝撃。


轟音。


世界が揺れる。


そして。


列車が止まった。


沈黙。


子供も生きている。


女性達も生きている。


ナディアが呆れた顔をした。


「無茶苦茶だな。」


リリムが笑う。


「知ってる。」


その瞬間。


景色が変わった。


線路が消える。


空が変わる。


試練終了。


二人の前に新たな道が現れた。


ナディアが歩き出す。


「なるほど。」


「なにが。」


ナディアは振り返った。


そして笑う。


「お前は優柔不断じゃない。」


リリムが首を傾げる。


「は?」


「諦めが悪いだけだ。」


沈黙。


リリムが眉をひそめる。


「悪口か?」


「褒め言葉だ。」


ナディアは即答した。


二人は笑う。


そして。


新たな道へ歩き出した。


試練はまだ始まったばかり。


だが。


リリムはもう迷っていなかった。


守る。


全部。


それが自分の答えだと。


そう決めていた。

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