第75話 『温泉村』
前回――
ローゼンベルク編がついに完結!
喜の番人との戦いを終えたユーマ達は、新たな旅へと出発しました。
次なる目的地は北の大地。
しかしその道中、ユーマ達はある重大なことに気付きます。
それでは第75話をお楽しみください!
ローゼンベルクを旅立ってから数日。
ユーマ達は森の中を歩いていた。
木々の間を風が抜ける。
鳥の鳴き声が聞こえる。
平和な道だった。
もちろん。
モンスターが出なかったわけではない。
「風切り。」
シュンッ。
モンスターが真っ二つになる。
「魔炎鳥。」
ドォォン。
別のモンスターが吹き飛ぶ。
「トール。」
バチィィィン!!
雷が落ちる。
そして。
モンスターが倒れる。
ユーマ達は歩き続けた。
以前なら苦戦した相手だ。
だが今は違う。
ローゼンベルクでの戦いを経て。
明らかに強くなっていた。
ユーマがふと思い出したように言う。
「そういやさ。」
リリムが振り返る。
「なんだ。」
「俺達レベルいくつになってんだ?」
全員が止まる。
確かに。
喜の番人を倒した後。
誰も確認していなかった。
セフィが飛び出す。
『あっ。』
『そういえば見てなかったわね。』
ユーマが笑う。
「見てくれよ。」
『はいはい。』
セフィが目を閉じる。
しばらくして。
驚いた顔になった。
『え?』
ユーマが首を傾げる。
「なんだよ。」
『いや・・・。』
『結構上がってる。』
「マジ?」
『ユーマ。』
『レベル25。』
「おぉ!!」
ユーマが拳を握る。
『リリムも25。』
リリムが目を見開く。
『ロキも25。』
ロキも少しだけ驚いていた。
「10も上がったのか。」
『喜の番人が相当強かったんでしょうね。』
ユーマは満足そうに笑った。
「そりゃそうだ。」
「死ぬかと思ったしな。」
リリムも苦笑する。
「何回もな。」
ロキが頷いた。
「生きてるのが不思議なくらいだ。」
全員が笑った。
だが。
その笑顔はすぐに消える。
風が吹いた。
冷たい風だった。
「・・・寒くないか?」
ユーマが肩をすくめる。
確かに寒い。
森の景色も変わり始めていた。
葉には霜。
地面には薄く雪。
空からは小さな雪が舞っている。
リリムが腕をさする。
「寒い。」
「めちゃくちゃ寒い。」
ロキも頷く。
「北に来すぎたな。」
セフィが周囲を見る。
『この先は雪原地帯よ。』
『もっと寒くなる。』
ユーマは自分の服を見る。
薄い。
非常に薄い。
リリムも同じ。
ロキも同じ。
誰一人。
防寒着など持っていなかった。
沈黙。
ユーマが言う。
「・・・俺達。」
「防寒着なくね?」
「なくね。」
「ないな。」
再び沈黙。
セフィがため息をついた。
『計画性って知ってる?』
「知らん。」
即答だった。
リリムが地図を広げる。
しばらく眺める。
そして。
指をさした。
「村がある。」
「近いのか?」
「ここから半日。」
「助かったぁ・・・。」
ユーマは本気で安堵した。
凍え死ぬかと思った。
「どんな村だ?」
リリムが地図を見る。
少し首を傾げた。
「温泉村。」
「温泉?」
「温泉。」
ユーマの目が輝く。
「最高じゃねぇか!」
「防寒着も買えるし。」
「温泉もある!」
「今日は勝ちだな!」
リリムが呆れる。
「何に勝ったんだ。」
「寒さに。」
「まだ負けてるだろ。」
ロキが珍しく笑った。
そして。
ユーマ達は再び歩き出した。
雪は少しずつ強くなる。
森を抜けた先。
白い湯気が空へ昇っていた。
温泉村。
それが次の目的地だった。
第75話を読んでいただきありがとうございました!
今回は久しぶりの平和回でした。
ローゼンベルク編がかなり重い内容だったので、少し肩の力を抜いたスタートです。
そしてついにレベル判明!
ユーマ、リリム、ロキの3人はレベル25になっていました。
ゆっくり行きましょう!




