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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
女と男の街 ローゼンベルク編

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第74話 『再建』

前回――


喜の番人は真実を知りました。


ナージャは自分を裏切ったのではなかった。


何十年にも及ぶすれ違いの果てに、喜の番人は自ら終わりを受け入れます。


そして最後に残されたのは、別れの言葉だけでした。


それでは第74話をお楽しみください!

喜の番人との戦いから数日後。


ローゼンベルクには平和が戻っていた。


崩れた城の修復。


街の復興。


男街と女街の統合。


街中では多くの人々が忙しそうに働いている。


そんな中。


一人の老婆が街を出ようとしていた。


ナージャだった。


「待って。」


声を掛けたのはリリムだった。


ナージャが振り返る。


リリムは首元のペンダントを外した。


小さなナイフのペンダント。


ずっと持ち歩いていた物だった。


「これ。」


「なんで私に渡したの?」


ナージャは懐かしそうにそれを見る。


そして笑った。


「あんたが私に似てたからさ。」


リリムが眉をひそめる。


「どこが。」


ナージャは笑う。


「誰にも媚びなくて。」


「強くて。」


「馬鹿みたいに真っ直ぐでね。」


リリムは顔をしかめた。


「褒めてんの、それ。」


「褒めてるさ。」


ナージャは優しく言う。


「あんたなら。」


「自分の物語を紡いでくれる気がしたんだよ。」


風が吹く。


リリムは少しだけ黙った。


そして。


ふと思い出したように口を開く。


「聞かせてくれた昔話。」


「もしかして。」


「あれっておばあちゃん達の話だったの?」


ナージャは目を丸くした。


そして。


わざとらしく首を傾げる。


「はて。」


「何のことだろうねぇ。」


リリムは呆れた顔になる。


「バレバレだ。」


ナージャは笑った。


楽しそうに。


本当に楽しそうに。


そしてペンダントを押し返した。


「それは持っておいき。」


「たくさんの魔力が込められている。」


「きっと役に立つ。」


リリムは静かに頷いた。


「分かった。」


ナージャは優しく微笑む。


そして。


少しだけ真面目な顔になった。


「リリム。」


「なに?」


ナージャはゆっくり言う。


「あんた。」


「絶対に離しちゃ駄目だよ。」


リリムが眉をひそめる。


「何を?」


ナージャは小さく笑った。


「自分が本当に大切だと思ったものをさ。」


風が吹く。


リリムは少し黙った。


ナージャは続ける。


「私みたいになるんじゃないよ。」


その言葉だけで十分だった。


リリムは何も答えない。


だが。


その意味は分かっていた。


ナージャは満足そうに頷く。


「じゃあね。」


「達者で。」


そして。


振り返ることなく歩き出した。


誰も引き止めない。


ナージャはゆっくりと街を去っていった。


その後。


ユーマ達は病院を訪れていた。


ベッドの上にはナディアがいる。


胸には包帯。


だが。


命に別状はないらしい。


「しぶといな。」


ユーマが言う。


ナディアは苦笑した。


「そう簡単には死なん。」


ロキが笑う。


「化け物だな。」


「貴様にだけは言われたくない。」


病室に笑いが広がった。


窓の外を見る。


そこには新しいローゼンベルクがあった。


男と女が一緒に働いている。


一緒に笑っている。


子供達も遊んでいた。


ジャックがその中心にいた。


喜の番人亡き今。


街の代表となったのはジャックだった。


男だからでもない。


女だからでもない。


皆が認めたからだ。


「いい街にするよ。」


ジャックが言った。


「必ずな。」


ユーマは頷く。


「頼んだ。」


「任せろ。」


そして。


さらに数日後。


全員の傷が癒えた頃。


ユーマ達は街の門の前にいた。


旅立ちの日だった。


ジャック。


ナディア。


そして多くの街の人達が見送りに来ている。


「もう行くのか。」


ナディアが言う。


「あぁ。」


ユーマは頷く。


「まだ旅の途中だからな。」


ナディアは真っ直ぐユーマを見る。


「この街は必ず守る。」


「男も。」


「女も。」


「皆で支え合える街にしてみせる。」


ユーマは笑った。


「期待してる。」


ジャックも前へ出る。


「また来いよ。」


「その時にはもっと良い街になってる。」


「するんだろ?」


「当然だ。」


二人は笑った。


その時だった。


「ユーマー!」


リンリンだった。


「私達残ることにした!」


ランランも頷く。


「武器庫最高!」


「まだ全然研究し尽くせてない!」


「帰らない!」


ユーマは呆れる。


「お前ららしいな。」


ロキが笑った。


「一生出てこなそうだな。」


二人は満面の笑みだった。


そして。


ナディアはリリムを見る。


少し照れ臭そうに。


「リリム。」


「なんだ。」


「君は本当に強い。」


リリムが眉をひそめる。


「急に気持ち悪いな。」


だが。


ナディアは真面目だった。


「私は。」


「君みたいな女性になりたかった。」


「ずっと憧れていたんだ。」


リリムは言葉を失う。


ナディアは笑った。


「何かあればいつでも来てくれ。」


「歓迎する。」


風が吹く。


しばらく沈黙。


そして。


リリムは小さく笑った。


「考えとく。」


ナディアが顔を上げる。


「その時はもっと強くなっとけ。」


ナディアも笑う。


「君もな。」


二人は握手を交わした。


そして。


ユーマ達は歩き出した。


門を抜ける。


振り返る。


そこには生まれ変わったローゼンベルクがあった。


男も女も。


一緒に笑っている。


ユーマは満足そうに頷いた。


「いい街になりそうだな。」


ジャックが大声で叫ぶ。


「なるんだよ!」


「絶対にな!」


ユーマは笑った。


そして前を向く。


まだ見ぬ世界へ。


まだ見ぬ冒険へ。


仲間達と共に。


新たな旅が始まる。


【ローゼンベルク編 完】

第74話を読んでいただきありがとうございました!


これにてローゼンベルク編完結です!


全然投票できなかった、、、

あまりに反応がなさすぎて、、、


次回の街までに読者様が増えることを祈ってます。


それではまた次回!

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