第70話 『反撃開始』
前回――
ユーマ達は喜の番人との戦いの中、ついにリリムの奪還に成功します。
しかし全てを失った喜の番人は、本来の姿へと変貌。
巨大な怪物となり、ローゼンベルク全体を揺るがし始めました。
それでは第70話をお楽しみください!
怪物と化した喜の番人が咆哮する。
ゴォォォォォォォォッ!!
衝撃波。
大聖堂の壁が吹き飛ぶ。
柱が折れる。
瓦礫が宙を舞う。
ユーマ達は必死に耐えた。
「ぐっ・・・!」
「なんだよこの化け物・・・!」
ロキが歯を食いしばる。
巨大な触手が振り下ろされる。
ドォォォン!!
床が吹き飛んだ。
ユーマは横へ飛ぶ。
ナディアも避ける。
リリムも転がるように回避した。
だが。
攻撃が止まらない。
一本。
二本。
十本。
百本。
背中から生えた無数の触手。
さらに巨大な刃の腕。
振るわれる度に建物が壊れる。
「近付けねぇ!」
ロキが叫ぶ。
「近付いたらミンチだぞ!」
その通りだった。
ユーマ達は攻撃どころではない。
避けるので精一杯。
怪物は咆哮する。
巨大な口が開く。
「返せ・・・。」
地面が揺れる。
「私の幸せを・・・。」
触手が襲う。
ユーマは剣を構えた。
「来いよ!」
ドォォォン!!
巨大な触手。
正面衝突。
ユーマは受け止める。
歯を食いしばる。
押される。
押される。
押される。
「ぐぅぅぅぅ!!」
腕が悲鳴を上げる。
そして。
パキッ。
嫌な音が響いた。
ユーマの顔が固まる。
「え・・・?」
パキンッ!!
剣が折れた。
真っ二つだった。
「しまっ――」
触手が迫る。
避けられない。
死ぬ。
誰もがそう思った。
その瞬間だった。
ヒューーーーーン!!
何かが空を切る。
ドスッ!!
ユーマの目の前。
地面に一本の刀が突き刺さった。
風が吹く。
不思議な風だった。
「・・・なんだ?」
ユーマが顔を上げる。
聞き慣れた声が響いた。
「見つけたーーー!!」
「武器庫あったよーーー!!」
ユーマ達が振り返る。
そこにいたのは。
リンリン。
ランラン。
二人だった。
「お前ら!!」
ロキが叫ぶ。
リンリンは胸を張る。
「間に合ったー!」
ランランも笑う。
「ギリギリー!」
セフィが目を見開いた。
「それ・・・!」
ユーマの前に刺さる刀を見る。
「名剣・風魔・・・!」
風が集まる。
太刀のような長い刀身が青白く輝いていた。
「風属性の力を最大限引き出す超レア級の武器よ!」
ユーマが刀を握る。
軽い。
だが。
力が溢れてくる。
まるで。
最初から自分の武器だったみたいに。
ユーマは笑った。
「もっと早く持ってこいよ。」
リンリン。
「ごめーん!」
ランラン。
「遠かったー!」
その時だった。
もう一本。
何かが飛んだ。
ヒューーーン!!
リリムの前に落ちる。
ガシッ。
リリムは反射的に受け取った。
そして固まる。
「・・・。」
沈黙。
その手にあったのは。
黒い銃。
見覚えがある。
忘れるはずがない。
「AK1010・・・。」
リンリンが笑う。
「武器庫にあったよ!」
ランランも頷く。
「保管されてた!」
リリムは銃を見つめる。
ゆっくり撫でる。
そして。
ニヤッと笑った。
「やっと帰ってきたわね。」
銃を抱える。
「相棒。」
ユーマが笑う。
ロキも笑う。
ソフィも安心した顔をした。
花嫁衣装。
純白のドレス。
その手には銃。
とんでもなく似合っていなかった。
だが。
とんでもなくリリムらしかった。
リンリンが巻物を広げる。
ボンッ!!
煙。
そこから大量の武器が現れる。
剣。
槍。
斧。
ナイフ。
爆弾。
弓。
ありとあらゆる武器。
「私達も戦うよ!」
「完全武装ー!」
リンリンとランランが武器を構える。
怪物は咆哮した。
巨大な口が開く。
無数の触手が空を覆う。
だが。
もう誰も怯えていなかった。
ユーマは風魔を構える。
風が集まる。
ロキは斧を肩に担ぐ。
リリムはAK1010を構える。
ナディアは剣を握る。
リンリン。
ランラン。
完全武装。
全員が並ぶ。
怪物と対峙する。
ユーマは笑った。
「待たせたな。」
風が吹く。
名剣・風魔が輝く。
「反撃開始だ。」
怪物が咆哮した。
そして。
最終決戦が幕を開けた。
第70話を読んでいただきありがとうございました!
今回は絶望から希望へ変わる回でした。
剣が折れたユーマ。
そこへ駆け付けるリンリンとランラン。
そして名剣・風魔とAK1010の帰還。
特に花嫁姿のリリムとAK1010は、この章でもかなり印象的なシーンになったと思います。
ついに全員が揃いました。
次回はいよいよ総力戦。
ローゼンベルク編もクライマックスです。




