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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
女と男の街 ローゼンベルク編

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第69話 「奪われたもの」

前回――

ユーマ達は結婚式へ乱入。

リリムを救うため、喜の番人との最終決戦が始まりました。

一方、男街の男達も大切な人を守るために立ち上がります。

果たしてユーマ達はリリムを取り戻せるのでしょうか。

それでは第69話をお楽しみください!

「行くぞ!!」


ユーマが駆け出す。


ロキが続く。


ナディアも飛び出した。


喜の番人を中心に。


三方向からの同時攻撃。


「風斬り!!」


巨大な風の刃が放たれる。


触手を切り裂きながら一直線。


喜の番人へ迫る。


「トール!!」


ロキの斧が振り下ろされる。


轟音。


石畳が砕けた。


ナディアも剣を振るう。


「はぁぁぁ!!」


三人の連携。


前回とは明らかに違う。


喜の番人は触手で防ぐ。


だが。


少しずつ押されていた。


「ほう。」


喜の番人が微笑む。


「成長したね。」


「褒められても嬉しくねぇ!」


ユーマが叫ぶ。


「リリムを返せ!」


「嫌だよ。」


喜の番人は即答した。


「彼女は僕の妻だからね。」


「だから違うっつってんだろ!」


再び激突。


触手が飛び交う。


剣がぶつかる。


大聖堂は戦場と化していた。


その頃。


会場の反対側。


男達は必死に女性達を避難させていた。


「急げ!」


「こっちだ!」


だが。


女達は抵抗する。


「離しなさい!」


「穢らわしい!」


「触らないで!」


「男のくせに!」


男達の表情が曇る。


それでも。


誰も手を離さなかった。


「いいから逃げろ!」


「危ないんだ!」


「嫌よ!」


叩かれる。


引っ掻かれる。


蹴られる。


それでも。


前へ進む。


娘を抱える男。


妻を背負う男。


幼馴染の手を引く男。


誰も諦めない。


その時だった。


「聞けぇぇぇぇ!!」


ジャックが叫んだ。


会場中に響く。


「信じろ!!」


静まり返る。


「今まで俺達は何もしなかった!」


「怖かったからだ!」


拳を握る。


「でも今日は違う!」


「殴られてもいい!」


「蹴られてもいい!」


「嫌われてもいい!」


涙を浮かべながら。


それでも叫ぶ。


「這いつくばってでも!!」


「何が何でも助ける!!」


女達が言葉を失う。


男達も顔を上げた。


ジャックは続ける。


「お前ら男だろ!!」


「今が一番の働き時だ!!」


「大切な人を守れぇぇぇ!!」


男達の目が変わった。


「おう!!」


再び動き出す。


誰一人止まらない。


避難は着実に進んでいった。


そして。


再び祭壇前。


「ロキ!」


「おう!」


ロキが飛び出す。


斧を振り上げる。


「グングニル!」


轟音。


喜の番人の触手が弾け飛ぶ。


「ナディア!」


「任せろ!」


ナディアが飛び込む。


鋭い連撃。


喜の番人が防御に回る。


その一瞬。


触手の檻が開いた。


ユーマの目が光る。


「今だ!!」


「風歩!」


地面を蹴る。


一直線。


誰よりも速く。


触手の隙間を駆け抜けた。


「なっ!?」


喜の番人の顔が変わる。


初めてだった。


動揺したのは。


ユーマは迷わない。


眠るリリムを抱き上げる。


「返してもらうぜ!」


そして。


そのまま飛び退いた。


喜の番人が叫ぶ。


「リリム!!」


その声と同時だった。


リリムの瞼が揺れる。


ゆっくり。


ゆっくりと目が開いた。


ぼやけた視界。


最初に映ったのは。


ユーマだった。


「・・・ユーマ?」


「おう。」


リリムは状況を理解する。


ドレス。


大聖堂。


戦闘。


そして。


自分を抱えているユーマ。


小さく笑った。


「遅かったわね。」


ユーマも笑う。


「うるせぇ。」


「間に合っただろ。」


「まぁね。」


リリムは安心したような表情を見せた。


喜の番人は見ていた。


動かない。


何も言わない。


ただ。


じっと見ている。


やがて。


ゆっくり周囲を見渡した。


会場。


空席。


誰もいない。


女達は避難した。


街の住人も。


女街の女性達も。


地下牢の女性達も。


いない。


リリムも。


奪われた。


沈黙。


喜の番人が呟く。


「私の帝国を・・・。」


空気が重くなる。


「私の街を・・・。」


床が軋む。


「私の女達を・・・。」


触手が震える。


そして。


リリムを見る。


「リリムを・・・。」


その声は震えていた。


怒りか。


悲しみか。


分からない。


だが。


一つだけ確かだった。


「また・・・。」


ユーマが眉をひそめる。


喜の番人は俯く。


「また奪うのか。」


大聖堂が揺れた。


「また私から。」


ゴゴゴゴゴ・・・


床が割れる。


壁が砕ける。


「幸せを・・・。」


次の瞬間だった。


ドォォォォォォン!!


喜の番人の身体が膨張する。


天井を突き破る。


背中が裂ける。


無数の触手。


巨大な腕。


剣のような爪。


斧のような爪。


鎌のような爪。


無数の刃が生まれる。


身体はさらに巨大化する。


顔が崩れる。


目が消える。


鼻が消える。


残ったのは。


巨大な口だけだった。


「な・・・。」


ロキが絶句する。


ナディアも震える。


「王様・・・。」


巨大な怪物。


それはもう王ではなかった。


純粋な化け物だった。


巨大な口が開く。


咆哮。


衝撃波が大聖堂を吹き飛ばす。


ソフィが叫んだ。


『下がって!!』


『まだ終わってない!!』


ユーマが叫ぶ。


「何なんだよあれ!!」


ソフィの顔は青ざめていた。


『あれが・・・!』


『喜の番人の本当の姿よ!!』


巨大な怪物が咆哮する。


王城が揺れる。


街が揺れる。


ローゼンベルク全体が震えてい

第69話を読んでいただきありがとうございました!


ついにリリム奪還成功!


「遅かったわね。」


この一言はリリムらしくて個人的にも好きなシーンです。


そして喜の番人は全てを失いました。


帝国。


街。


女達。


そしてリリム。


その結果、ついに本当の姿を現します。


次回は怪物となった喜の番人との総力戦。


ローゼンベルク編もいよいよクライマックスです

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