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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
ミスト村編

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第7話 『死ぬほど楽な修行』

前回の投票結果です!


① 死ぬほど過酷な剣術修行


② 死ぬほど楽な森の修行


投票の結果、


【② 死ぬほど楽な森の修行】


に決定しました!


楽な修行を選んだユーマ。


しかしガルドが用意した「楽」は、どうやら普通の人間が思う楽ではないようです――。


それでは第7話をお楽しみください。

「じゃあ始めるか。」


ガルドが立ち止まった。


気付けば村の外れまで来ている。


目の前には深い森。


昨日ゴブリンが現れた場所よりもさらに奥だ。


「で、何するんだ?」


俺は辺りを見回す。


訓練場らしきものは見当たらない。


木。


草。


森。


以上。


「簡単だ。」


ガルドは笑った。


嫌な予感しかしない。


「ここで一晩過ごせ。」


「へ?」


「縄で縛られてな。」


「待て。」


「ん?」


「待て。」



十分後。


俺は木に縛り付けられていた。


「なんでだよ!!」


「楽だろ?」


ガルドが真顔で言う。


「剣振らなくていいぞ。」


「そういう問題じゃねぇ!」


アリスが笑いを堪えている。


セフィはもう隠そうともしていない。


「ちなみに。」


ガルドが森の奥を見る。


「この辺りはゴブリンが出る。」


「え?」


「結構出る。」


「え?」


「たまに群れもいる。」


「えぇ!?」



その時だった。


ガサガサ。


茂みが揺れる。


何かがいる。


俺は反射的に身構えた。


現れたのは三匹のゴブリンだった。


「出たぁ!!」


俺は叫ぶ。


しかしガルドは動かない。


ゴブリンたちは棍棒を構えて近づいてくる。


まずい。


普通にまずい。




ガルドがため息をついた。


「見てろ。」


次の瞬間だった。


姿が消えた。


そう見えた。


一歩。


それだけだった。


ザッ。


ゴブリンの首が飛ぶ。


もう一歩。


二匹目が倒れる。


三匹目が逃げ出そうとした瞬間。


ガルドの剣が振られた。


終了。


三秒もかかっていない。




俺は口を開けたまま固まった。


「え?」


「レベル3程度だ。」


ガルドが剣をしまう。


「雑魚だな。」


いやいやいや。


昨日俺をボコボコにしたんだけど?




セフィが肩の上で説明する。


「ちなみにガルドさん。」


「うん。」


「レベル42です。」


「先に言えよ!!」


俺は全力でツッコんだ。




ガルドは何事もなかったように歩き出す。


「じゃあ明日の朝な。」


「待て待て待て!」


「なんだ。」


「本当に置いていくの!?」


「修行だからな。」


「死ぬぞ!?」


「死なない。」


「根拠は!?」


「死んだら回収してやる。」


「根拠になってねぇ!」




アリスが近付いてくる。


少し申し訳なさそうな顔をしていた。


「頑張って。」


「助けて。」


「無理。」


即答だった。


「なんで!?」


「ガルドさんが決めたことだから。」


「裏切り者!」


「頑張ってね。」


アリスは笑った。


その笑顔が少しだけ憎かった。




そして。


本当に全員帰った。


残されたのは俺だけ。


縄で縛られたまま。


森のど真ん中に。


「嘘だろ……。」



昼。


まだ余裕だった。


風が気持ちいい。


鳥の鳴き声も聞こえる。


なんだ。


意外と楽じゃないか。


そう思った。




夕方。


少し後悔し始めた。


森が静かになった。


鳥の声が減る。


代わりに聞いたことのない鳴き声が増える。


なんか怖い。


普通に怖い。



夜。


地獄だった。


真っ暗。


何も見えない。


本当に何も見えない。


木々の隙間から月明かりが少し見えるだけ。


風が吹く。


葉が揺れる。


何かが動く。


音がする。


でも見えない。




ガサッ。


「ひっ!」


音がする。


ガサガサ。


「セフィ?」


「はい。」


「いるよな?」


「いますよ。」


「帰るなよ?」


「帰りません。」


少し安心した。




遠くで遠吠えが聞こえた。


「今の何?」


「狼です。」


「魔物?」


「たぶん。」


「たぶん!?」


「大丈夫です。」


「本当か!?」


「ここまでは来ません。」


「本当か!?」


「たぶん。」


「お前その言葉好きだな!」




夜は長かった。


眠れない。


眠ろうとすると音がする。


音がすると目が覚める。


それの繰り返しだった。


何度も朝が来てほしいと思った。


何度も家に帰りたいと思った。


何度も日本が恋しくなった。



そして。


ようやく朝が来た。


「おはよう。」


ガルドだった。


俺は泣きそうになった。


「遅ぇよ!」


「まだ一日だぞ。」


「一生に感じたわ!」




ガルドは縄を切る。


俺はその場に座り込んだ。


足が震えている。


体中が痛い。


最悪だ。


本当に最悪だ。


「どうだった?」


ガルドが聞く。


「地獄だった。」


「そうか。」


「二度とやりたくない。」


「そうか。」


「意味あったのか?」




ガルドは少しだけ笑った。


「生きてるだろ。」


「え?」


「それで十分だ。」




俺は首を傾げる。


ガルドは続けた。


「剣術は後から覚えられる。」


「うん。」


「魔法も覚えられる。」


「うん。」


「だが死んだら終わりだ。」




ガルドは森を見る。


「まず覚えろ。」


「?」


「生き残ることを。」




その言葉は妙に胸に響いた。


確かにそうだ。


強くなる前に。


戦う前に。


生き残らなきゃ意味がない。




ふとステータスを開く。


名前:ユーマ・カミサキ


レベル:2


「え?」


思わず声が漏れた。


「なんで上がってる?」




ガルドは笑った。


「経験したからだ。」


「戦ってないぞ?」


「生きることも経験だ。」




俺は少しだけ嬉しくなった。


たった1レベル。


それでも。


確実に前へ進んでいる。




ガルドが訓練場へ向かって歩き出す。


「じゃあ次だな。」


「次?」


「ああ。」


振り返る。


その顔は少しだけ楽しそうだった。


「次は剣術だ。」



【投票】


剣術修行で使う最初の武器は?


① 棍棒


② 枝


③ 竹刀


あなたならどれを選びますか?

第7話を読んでいただきありがとうございます!


ユーマはなんとか森での一夜を生き延び、レベル2になりました!


次回からいよいよ本格的な剣術修行が始まります。


① 棍棒


② 枝


③ 竹刀


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