第53話 『地下への扉』
前回――
交流会へ潜入したユーマ達。
豪華な王城。
そして喜の番人による交流会。
一見すると何の問題もないように見える王城でしたが、
ユーマ達はジャックの恋人を探すため調査を開始します。
それでは第53話をお楽しみください!
交流会の喧騒から離れた廊下。
ユーマ達は周囲を警戒しながら歩いていた。
リンリンとランランも合流している。
もちろん仕事は放り出してきた。
「いいのかよ。」
ユーマが聞く。
リンリンは即答した。
「よくない。」
ランランも頷く。
「怒られる。」
「じゃあ戻れよ。」
「嫌。」
「嫌。」
全く反省していなかった。
その時。
リンリンが一枚の紙を取り出した。
「はい。」
ユーマが受け取る。
そこには王城の見取り図が描かれていた。
かなり細かい。
部屋。
廊下。
階段。
倉庫。
全部書いてある。
ユーマは目を丸くした。
「すげぇ。」
ランランが胸を張る。
「武器庫探すため。」
リンリンも胸を張る。
「三日かかった。」
「有能じゃねぇか。」
「もっと褒めて。」
「もっと。」
ユーマは素直に感心した。
ロキも少しだけ驚いている。
アリスは呆れていた。
「その情熱を別に使いなさいよ。」
⸻
探索は順調だった。
客室。
綺麗。
図書室。
綺麗。
庭園。
綺麗。
倉庫。
綺麗。
何もない。
怪しいものもない。
ユーマは腕を組んだ。
「おかしいな。」
アリスが言う。
「やっぱり勘違いなんじゃない?」
ロキも頷く。
「かもしれんな。」
リンリンは肩を落とす。
「武器もない。」
ランランも肩を落とす。
「がっかり。」
その時だった。
ユーマが足を止める。
壁。
巨大な絵画。
王の肖像画。
やたら大きい。
やたら目立つ。
ユーマはじっと見つめた。
「いや。」
「ある。」
全員が振り返る。
アリスが首を傾げた。
「何が?」
ユーマはニヤリと笑う。
「RPGなめんな。」
「こういう城はな。」
絵を指差す。
「だいたい大きな絵の裏に隠し通路がある。」
ロキが即答した。
「ある訳ないだろ。」
アリスも頷く。
「ないわよ。」
リンリン。
「ない。」
ランラン。
「ない。」
全員否定だった。
ユーマは自信満々だった。
「いや、ある。」
そう言って絵の額縁を押す。
ゴゴゴゴゴ・・・
沈黙。
全員固まる。
壁が動いた。
その奥に。
暗い通路。
隠し階段。
本当にあった。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
ユーマは得意げだった。
「ほらな。」
ロキが呟く。
「あるのかよ。」
アリスも引いていた。
「何なのよその知識・・・。」
ユーマは胸を張る。
「経験だ。」
セフィがふわりと現れる。
「ゲームの経験だけどね。」
「細かいことは気にするな。」
セフィはため息を吐いた。
「気になるよ。」
⸻
一行は地下へ降りる。
空気が変わった。
冷たい。
暗い。
今までの華やかな王城とは別世界。
アリスが身震いする。
「何か嫌な感じ・・・。」
ロキも周囲を見る。
「確かにな。」
ユーマは剣に手を掛けた。
そして。
通路の奥。
赤い光。
ゴゴゴ・・・
重い音が響く。
巨大な影が立ち上がる。
ゴーレム。
一体。
二体。
三体。
四体。
五体。
セフィが顔をしかめた。
「レベル15・・・。」
「五体もいる。」
アリスが息を呑む。
「何でこんな場所に・・・。」
ユーマは剣を抜いた。
ロキも斧を構える。
その時だった。
リンリンが笑う。
「やっと出番。」
ランランも笑う。
「長かった。」
二人は巻物を取り出した。
バサッ。
巻物が広がる。
そこには。
大量の武器。
短剣。
槍。
大剣。
鎖。
斧。
見たこともない武器まで並んでいる。
ユーマが驚く。
「何それ!?」
リンリンが答える。
「武器収納巻物。」
ランランが答える。
「宝物。」
二人は武器を眺める。
そして。
ニヤリと笑った。
「さぁ。」
「何で料理してやろっか。」
ゴーレム達が迫る。
アリスも剣へ手を伸ばした。
だが。
ユーマが前へ出る。
「見てろ。」
アリスが止まる。
「え?」
ユーマは振り返らない。
「危ねぇから。」
その言葉に。
アリスは目を見開いた。
昔を思い出す。
レベル3のモンスター。
震えていたユーマ。
自分が前に立った。
守った。
あの日。
だけど今は違う。
目の前の背中は大きかった。
頼もしかった。
迷いがなかった。
アリスは小さく呟く。
「変わったわね・・・。」
セフィも微笑む。
「うん。」
「本当に強くなった。」
⸻
戦闘は一瞬だった。
ユーマが飛び出す。
風切り。
ゴーレムの腕が飛ぶ。
ロキの斧が雷を纏う。
一撃。
胴体が砕ける。
リンリンは鎖鎌。
ランランは双剣。
二人も軽やかに敵を切り裂く。
連携。
圧倒。
レベル15のゴーレム五体は。
数分も持たなかった。
最後の一体が崩れ落ちる。
ドォン。
静寂。
アリスは呆然としていた。
強い。
本当に強い。
ユーマ達はもう。
昔の冒険者ではない。
⸻
そして。
ゴーレム達が守っていた扉。
その奥。
重い鉄の扉があった。
ユーマがゆっくり開く。
ギィィ・・・
暗い部屋。
そこにあったものを見て。
全員の顔色が変わった。
「・・・何だよ。」
ユーマが呟く。
そこには。
交流会の華やかさとは正反対の光景が広がっていた。
第53話を読んでいただきありがとうございました!
今回はついに潜入開始!
リンリンとランランの謎の有能さや、ユーマのゲーム知識が炸裂しました。
そして久しぶりのセフィも登場。
(意識しないと忘れがちになっちゃう)
さらにアリスから見たユーマの成長も描かれました。
昔は守られる側だったユーマ。
今は前に立つ側へ。
少しずつですが成長しています。
そしてラスト。
王城の地下で見つけたものとは――。
次回から物語が大きく動き始めます。




