第52話 『交流会』
前回――
交流会当日。
リリムは純白のドレスを着せられ、王城の注目を集めることになりました。
一方ユーマ達は、お化け作戦を成功させ交流会への潜入に成功。
さらにアリス、ガルドとも再会します。
果たして王城にはどんな秘密が隠されているのか。
それでは第52話をお楽しみください!
王城の門の前。
ユーマ達は立ち止まっていた。
ここから先はプリンセスと執事しか入れない。
ジャックも。
ガルドも。
ここまでだ。
ジャックは少し緊張した顔で城を見上げていた。
ユーマが肩を叩く。
「じゃあ行ってくる。」
ジャックは頷いた。
そして小さく言う。
「頼んだ。」
「おう。」
少しの沈黙。
ジャックは続けた。
「エマを見つけてくれ。」
ユーマは笑う。
「当たり前だろ。」
ロキも横から言う。
「必ず連れて帰る。」
ジャックは少しだけ笑った。
「ああ。」
それだけだった。
だが十分だった。
⸻
門を抜ける。
その途中。
ユーマは隣を歩くアリスへ声を掛けた。
「そういや。」
「何?」
「何でお前ここにいるんだ?」
アリスは首を傾げた。
「交流会だから。」
「いやそうじゃなくて。」
ユーマは言う。
「毎年来てるのか?」
「来てるわよ。」
即答だった。
ユーマは驚く。
「毎年!?」
「毎年。」
「マジかよ。」
アリスは少しだけ胸を張った。
「失礼ね。」
「一応ミスト村代表のプリンセスよ。」
ユーマは固まる。
「は?」
「だから。」
「ミスト村代表のプリンセス。」
ユーマは思わず叫んだ。
「村娘じゃなかったのかよ!」
アリスは呆れた顔をした。
「村娘でもあるわ。」
「村に住んでるもの。」
「そういう問題か?」
「そういう問題よ。」
ユーマは頭を抱えた。
ロキは興味なさそうだった。
「どうでもいい。」
「よくねぇよ!」
そんな話をしているうちに。
王城の中へ入る。
豪華だった。
とにかく豪華だった。
赤い絨毯。
巨大なシャンデリア。
美しい絵画。
宝石。
花。
そして。
眩しいほどの美女達。
男街とは別世界だった。
ユーマは思わず呟く。
「すげぇ・・・。」
アリスは笑う。
「でしょ?」
その時だった。
廊下の向こうから慌ただしい声が聞こえる。
「急いで!」
「料理落とさないで!」
ユーマが振り返る。
そして。
固まった。
「・・・あれ?」
銀の皿を抱えて走る少女。
床を磨く少女。
見覚えしかない。
「リンリン?」
「ランラン?」
二人もこちらを見る。
数秒。
沈黙。
そして。
リンリンが言った。
「何その格好。」
ランランも言った。
「キモい。」
ユーマはショックを受けた。
「初手それ!?」
リンリンは指を差す。
「ひどい。」
ランランも頷く。
「ひどい。」
「お前ら双子で追撃するな!」
アリスが吹き出した。
ロキは無表情だった。
味方がいない。
「ていうか何してんだよ。」
リンリンは皿を持ち上げる。
「仕事。」
ランランはモップを持ち上げる。
「労働。」
「何で?」
二人は顔を見合わせた。
そして同時に言う。
「捕まった。」
「捕まった。」
どうやら武器庫へ向かったところを見つかったらしい。
勝手に城へ侵入。
当然怒られる。
そして現在。
召使として働かされている。
「馬鹿だろ。」
「知ってる。」
「知ってる。」
全く反省していなかった。
やがて。
大広間へ到着する。
ユーマは目を見開いた。
広い。
とにかく広い。
長いテーブル。
山のような料理。
肉。
魚。
果物。
ケーキ。
見たこともない料理。
そして。
大勢の女性達。
豪華なドレス。
笑顔。
笑い声。
誰もが楽しそうだった。
その時。
大広間の奥。
階段の上に一人の男が現れる。
喜の番人。
歓声が上がる。
女性達は目を輝かせる。
喜の番人は両手を広げた。
「皆さん!」
静まり返る会場。
「よくぞお越しくださいました!」
拍手。
歓声。
「今日は一日楽しんでください。」
「私達が精一杯もてなします。」
さらに拍手。
「美しい女性達の素晴らしい交流の日になることを願っています。」
会場は大盛り上がりだった。
ユーマは複雑な顔をする。
本当に人気なのだ。
この男は。
交流会が始まる。
音楽。
料理。
会話。
笑い声。
華やかな空間。
数分後。
ユーマは美女達に囲まれていた。
「どちらの村から?」
「素敵なドレスですね。」
「お名前は?」
次々に話しかけられる。
ユーマは調子に乗った。
「いやぁ。」
「昔からモテる方で――」
そこへ。
アリスが割り込んできた。
「この姫は喋れないの。」
ユーマは吹き出した。
「喋れるわ!」
周囲の女性達が驚く。
アリスは平然としていた。
「人見知りなの。」
「今めっちゃ喋っただろ!」
アリスは無視した。
ユーマは悔しかった。
ふと。
ロキの姿を探す。
そして見つけた。
料理コーナー。
肉。
食う。
肉。
食う。
肉。
食う。
完全に満喫していた。
ユーマは駆け寄る。
「お前何してんだ!」
ロキは肉を飲み込む。
「潜入だ。」
「違うだろ!」
「美味い。」
「聞いてねぇ!」
ロキはさらに皿を積み上げる。
全く反省していなかった。
踊り。
歌。
演奏。
劇。
様々な催しが続く。
どれも豪華だった。
どれも楽しかった。
ユーマですら少し楽しくなってしまうほどに。
そんな時だった。
アリスが呆れた顔で言う。
「で?」
「何が?」
「何しに来たのよ。」
ユーマは首を傾げた。
「交流会。」
アリスは額を押さえる。
「楽しみに来たの?」
沈黙。
数秒。
ユーマは固まった。
そして。
思い出す。
ジャック。
エマ。
潜入。
調査。
「そうだった!!」
アリスはため息を吐いた。
「大丈夫なの?」
「大丈夫。」
全然説得力がなかった。
ユーマはニヤリと笑う。
「こういう潜入は得意なんだ。」
「そうなの?」
「当然。」
胸を張る。
「俺はメダルギアメソッドを全クリした男だぜ。」
アリスは首を傾げた。
「何それ。」
「潜入の達人ってことだ。」
ロキが肉を食べながら言う。
「初めて聞いた。」
「細かいことは気にするな。」
ユーマは会場を見渡した。
長い廊下。
閉ざされた扉。
怪しい階段。
奥へ続く通路。
怪しい場所はいくらでもある。
ユーマは笑う。
「まずはジャックの恋人探しだ。」
アリスも頷く。
「行きましょう。」
ロキは皿を持ち上げた。
「肉は持っていく。」
「何でだよ。」
そして三人は人混みの中へ消えていく。
王城の秘密を暴くために。
ジャックの恋人を探すために。
そして。
喜の番人の真実へ近付くために。
潜入開始――。
第52話を読んでいただきありがとうございました!
今回は交流会スタート回でした!
最近投票がなかなかできてないですね、、、
すみません。あまりの反応のなさに
ストーリーを進めること重視になってました。
一旦このまま進めて
大事な時は投票しますので!!
リンリンとランランは予想通り捕まり、
ロキは予想通りご飯を食べ、
ユーマは予想通り調子に乗っていました。
そしてついに潜入開始です。
ジャックの恋人エマは見つかるのか。
王城にはどんな秘密があるのか。
次回から少しずつ核心へ近付いていきます。
それではまた次回!




