表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
ミスト村編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/42

第5話 『レベル1の勇者』

前回の投票結果です!


① 勇者になることを決意する


② もう一度村長の話を聞く


投票の結果、


【① 勇者になることを決意する】


に決定しました!


レベル1のユーマ。


初めて味わった無力さ。


そしてアリスの言葉。


彼が出した答えとは――。


それでは第5話をお楽しみください。

夕日が沈む。


空が赤く染まる。


俺は一人、村の外れに座っていた。


目の前には草原。


遠くには森。


そして。


数時間前にゴブリンが現れた場所。


「……。」


静かだった。


風の音だけが聞こえる。



レベル3。


たったレベル3。


その事実が頭から離れなかった。


ゲームなら雑魚だ。


経験値稼ぎの相手だ。


チュートリアルで倒すような敵だ。


でも現実は違った。


何もできなかった。


子供を助けようとして。


吹き飛ばされて。


終わった。


もしアリスが来なかったら。


たぶん死んでいた。



「まだ落ち込んでるんですか?」


セフィが隣に浮かぶ。


「うるさい。」


「勇者らしくありませんね。」


「だから勇者じゃない。」


「では何です?」


俺は答えられなかった。


ただの高校生。


ただのゲームオタク。


それだけだ。



「でも。」


セフィが珍しく真面目な声を出した。


「逃げませんでしたよね。」


「え?」


「普通は逃げます。」


「……。」


「怖かったでしょう?」


怖かった。


今でも思い出すだけで手が震える。


「それでも飛び出した。」


セフィは肩をすくめた。


「私なら嫌です。」


「お前妖精だろ。」


「だからです。」


少しだけ笑ってしまった。



その時だった。


「見つけた。」


アリスが歩いてきた。


両手を後ろで組んでいる。


「村中探したんだから。」


「ごめん。」


「本当に。」


怒っているようで。


少し安心したようにも見えた。



アリスは俺の隣に座る。


しばらく沈黙。


風だけが二人の間を通り抜ける。


そして俺はふと思った。


「なあ。」


「ん?」


「なんでそんなに俺を応援するんだ?」


アリスがきょとんとした顔をする。


「なんでって?」


「俺、今日会ったばっかりだぞ。」


レベル1。


戦えない。


モンスターにも勝てない。


勇者なんて呼ばれているけど実力はゼロ。


それなのにアリスは最初から俺を信じている。


少し不思議だった。



アリスは夕日を見つめた。


しばらく黙る。


そして静かに話し始めた。


「実はね。」


「うん。」


「今までにも勇者はいたの。」


「え?」


俺は驚いた。


勇者って俺が初めてじゃないのか。


「何人も。」


アリスは頷く。


「この村にも来た。」


「へぇ。」


「みんな強かったよ。」


剣が上手い人。


魔法が得意な人。


レベルが高い人。


たくさんいたらしい。


「村のみんなも期待した。」


アリスは少し寂しそうに笑う。


「今度こそ魔王を倒してくれるって。」



風が吹いた。


長い金髪が揺れる。


「でも。」


アリスは小さく呟いた。


「誰も倒せなかった。」


その言葉に重みがあった。


俺は何も言えない。



「なのに。」


アリスが俺を見る。


「ユーマは違う気がする。」


「俺が?」


「うん。」


「どこが。」


即答だった。


本当に分からない。


今日はボコボコにされているのに。



アリスは少し困った顔をした。


「うーん。」


「うん。」


「なんて言えばいいんだろ。」


「そこ大事なところだぞ。」


「特別というか。」


「うん。」


「なんか違うというか。」


「うん。」


「なんというか。」


「うん。」


「……。」


「……。」



「分からない!」


アリスが両手を上げた。


「おい!」


思わずツッコむ。


「そこまで言っといて!?」


「だって本当にそうなんだもん!」


アリスは少し頬を膨らませた。


そして笑う。


「村娘の勘かな!」


「なんだそれ。」


「結構当たるんだから。」


「信用していいのか?」


「たぶん!」


「たぶんかよ!」



二人で笑った。


理由なんて分からない。


でも。


アリスがそう言ってくれるなら。


もう少しだけ頑張ってみよう。


そんな気がした。



「決めた?」


アリスが聞く。


「何を?」


「勇者になるかどうか。」


真っ直ぐな目だった。


逃げられない。



俺は空を見る。


異世界。


レベル。


モンスター。


魔王。


全部ゲームみたいだ。


でも。


痛みだけは本物だった。


恐怖も本物だった。


だからこそ。


「なるよ。」


自然と口から出た。


「勇者になる。」


アリスが驚く。


俺は続けた。


「正直怖い。」


「うん。」


「魔王なんて無理だと思う。」


「うん。」


「でも。」


拳を握る。


「今日みたいなことがまた起きた時。」


「……。」


「何もできないのは嫌だ。」



アリスは少し黙る。


そして。


「そっか。」


笑った。


優しい笑顔だった。


「じゃあ応援する。」


「ありがとう。」


「でも。」


アリスは立ち上がる。


「まずはレベル1を卒業しようね。」


「ぐっ。」


痛いところを突かれた。



そのまま二人で村へ戻る。


気付けば夜になっていた。


村長の家にはまだ灯りがついている。


「行くか。」


俺は深呼吸した。


そして扉を叩く。


「村長。」


「おお!」


中から声が響いた。


「ユーマ君か!」



部屋へ入る。


村長は嬉しそうだった。


「答えは決まったかの?」


「ああ。」


俺は頷く。


「魔王を倒す。」


村長の目が見開かれる。


「おお……!」


「ただし。」


俺は指を立てた。


「今じゃない。」


「うむ。」


「レベル1だから。」


「うむ。」


「まず強くなる。」


「うむ。」


話が早い人で助かる。



村長は机の下から一本の巻物を取り出した。


古びた羊皮紙。


そこには地図が描かれていた。


「これは?」


「世界地図じゃ。」


広げる。


ミスト村。


第一の街。


第二の街。


第三の街。


第四の街。


王都。


そして魔王城。


一直線に並んでいた。



「魔王城へ向かうには。」


村長が言う。


「五つの関門を越えねばならん。」


「関門?」


「そうじゃ、各街には魔王が配置した番人がいるんじゃ。」


「そいつらを倒していけばいいんだな。」


「そうじゃ。ただし強敵ぞ?」



セフィが肩の上で頷く。


「いわゆるジムリーダーてきな感じです。」


「便利な説明だな。」


「でしょ?」


「褒めてない。」



村長は続ける。


「各地には強力な番人。」


「うん。」


「さらに魔王軍四天王。」


「うん。」


「最後に魔王。」


「うん。」


「世界最強の存在じゃ。」


「うん。」


「今のお主では勝てん。」


「知ってる。」



村長は笑った。


「だが。」


「?」


「レベル1だからこそ可能性がある。」


俺は少し驚いた。


「どういう意味だ?」


「レベルとは経験じゃ。」


「経験。」


「誰も最初から強くはない。」


村長は頷く。


「積み重ねるのじゃ。」



その言葉は妙に響いた。


ゲームと同じだった。


スライムを倒す。


レベルが上がる。


強くなる。


また進む。


その繰り返しだ。


魔王だって最初から倒せるわけじゃない。


一歩ずつ。


前に進むしかない。



「よし。」


俺は立ち上がった。


「まずはレベル上げだ。」


セフィが笑う。


アリスも笑う。


村長も笑う。


そして俺は思った。


異世界最初の目標は決まった。


魔王討伐。


その前に――


レベル1卒業だ。



【投票】


冒険の準備を始めるユーマ。


次回、最初に向かう場所は?


① 武器屋


② 冒険者ギルド


あなたならどちらを選びますか?

第5話を読んでいただきありがとうございました!


ついにユーマが勇者になることを決意しました。


そしてアリスがユーマを信じる理由も少しだけ明らかになりました。


次回は冒険者としての第一歩です!


① 武器屋


② 冒険者ギルド


ぜひコメントで投票してください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
②ギルドいくのか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ