第4話 『レベル1の現実』
前回の投票結果です!
① 全力で否定する
② とりあえず話を聞く
投票の結果、
【① 全力で否定する】
に決定しました!
勇者扱いされたユーマは、その状況を受け入れられるのでしょうか?
それでは第4話をお楽しみください。
「勇者様だあああああ!!」
「ついに現れた!」
「この村は救われるぞ!」
村人たちの歓声が広場に響き渡る。
俺はその中心で固まっていた。
いや。
待て。
本当に待て。
「違う違う違う違う!!」
俺は全力で叫んだ。
「勘違いだから!」
しかし村人たちは止まらない。
「謙虚なお方だ!」
「さすが勇者様!」
「人格者だ!」
「だから違うって!」
なんでそうなるんだ。
否定するほど勇者ポイントが上がっている気がする。
◇
「落ち着くのじゃ、ユーマ君。」
村長が穏やかな声で言う。
「落ち着いてるのはそっちだろ!」
俺は机を指差した。
「俺レベル1だぞ!?」
「そうじゃな。」
「武器もない!」
「そうじゃな。」
「戦ったこともない!」
「そうじゃな。」
「じゃあなんで魔王倒せる前提なんだよ!」
完全論破である。
俺の勝ちだ。
そう思った。
思ったのだが。
「しかし君は。」
村長が真顔で言う。
「魔王をぬるゲーと言った。」
「言ったけど!」
「普通の人間は言わん。」
「それはそうかもしれないけど!」
◇
十分後。
俺は村長の家を飛び出していた。
「無理無理無理無理!」
全力疾走。
村の道を駆け抜ける。
後ろからアリスの声が聞こえた。
「ユーマ!」
知らん!
勇者なんて知らん!
俺はただゲームが好きなだけだ!
魔王討伐なんて無理に決まってる!
◇
村の外れまで来たところで足を止める。
息が切れていた。
「はぁ……はぁ……。」
すると。
「逃げましたね。」
聞き慣れた声。
肩の上を見る。
小さな妖精が座っていた。
「セフィ。」
「勇者様なのに。」
「誰が勇者だ。」
「村長が。」
「そういう意味じゃない。」
セフィはくすくす笑う。
本当に性格が悪い。
◇
「そもそも。」
俺は近くの木にもたれかかった。
「なんで俺なんだよ。」
「知りません。」
「即答か。」
「私はセーブ係ですから。」
「セーブ係。」
「担当外です。」
役所か。
◇
その時だった。
遠くから子供たちの笑い声が聞こえた。
振り向く。
村の柵の近くで数人の子供が遊んでいた。
鬼ごっこだろうか。
平和そのものだ。
「あぶねぇな。」
俺は思わず呟く。
村の外じゃないか。
するとセフィの顔が少し曇った。
「ユーマ。」
「ん?」
「後ろ。」
嫌な予感がした。
振り向く。
そこにいた。
緑色の肌。
鋭い牙。
短い棍棒。
ゲームなら何度も見たことがある。
「……ゴブリン?」
そいつは柵の隙間を抜けて現れた。
そして。
子供たちの方を見た。
◇
「まずい!」
俺は反射的に走り出した。
子供たちも異変に気付く。
しかし一人だけ転んだ。
小さな女の子だった。
立ち上がれない。
ゴブリンが棍棒を振り上げる。
「やめろ!」
俺は飛び込んだ。
考えるより先に体が動いていた。
女の子を抱きかかえる。
その瞬間。
ゴッ!!
激痛。
視界が揺れた。
体が吹き飛ぶ。
地面を転がる。
息ができない。
痛い。
痛い痛い痛い。
ゲームじゃない。
本当に痛い。
◇
「ユーマ!」
アリスの声。
俺は顔を上げる。
ゴブリンが再び棍棒を構えていた。
近い。
近すぎる。
死ぬ。
そう思った。
次の瞬間。
銀色の光が走る。
ザンッ!!
ゴブリンの体が真っ二つになった。
血が飛ぶ。
ゴブリンはそのまま倒れた。
アリスだった。
片手に剣を持っている。
さっきまでの優しい少女じゃない。
戦士だった。
◇
「大丈夫!?」
アリスが駆け寄る。
「う、うん……。」
正直全然大丈夫じゃない。
足が震えている。
手も震えている。
心臓なんて爆発しそうだった。
「怪我は?」
「たぶん。」
アリスがほっと息を吐いた。
女の子も無事らしい。
よかった。
本当によかった。
◇
しばらくして。
ゴブリンの死体は回収された。
子供たちは家へ帰された。
俺は一人、村の外れに座っていた。
夕日が沈み始めている。
「……。」
情けなかった。
本当に情けなかった。
俺は何もできなかった。
助けるつもりだった。
でも現実は違う。
吹き飛ばされて終わりだった。
◇
「ちなみに。」
セフィが隣に浮かぶ。
「今のゴブリン。」
「うん。」
「レベル3です。」
「……は?」
「レベル3。」
俺は固まった。
「たった3?」
「たった3です。」
「俺は?」
「レベル1です。」
沈黙。
現実は厳しい。
◇
その時。
アリスが隣に座った。
「落ち込んでる?」
「まあ。」
俺は苦笑する。
「何もできなかったからな。」
アリスは少し考える。
そして言った。
「でも。」
「ん?」
「飛び出したじゃない。」
「え?」
「普通は怖くて動けないよ。」
アリスは夕日を見ながら続けた。
「私は強いから戦えた。」
「でもユーマは違う。」
「……。」
「それでも助けようとした。」
アリスは笑った。
「私はすごいと思う。」
◇
俺は空を見上げた。
レベル1。
戦闘経験なし。
武器なし。
仲間なし。
何もない。
でも。
何もできないままは嫌だった。
本当に嫌だった。
⸻
【投票】
何もできなかったユーマ。
次回どうする?
① 勇者になることを決意する
② もう一度村長の話を聞く
あなたならどちらを選びますか?
第4話を読んでいただきありがとうございます!
ついにユーマは「レベル1の現実」を知りました。
ゲームと違い、モンスターは怖く、戦いは命懸けです。
そしてアリスの強さも少しだけ見えてきました。
次回、ユーマはどんな答えを出すのでしょうか?
① 勇者になることを決意する
② もう一度村長の話を聞く
ぜひコメントで投票してください!




