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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
ミスト村編

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4/41

第4話 『レベル1の現実』

前回の投票結果です!


① 全力で否定する


② とりあえず話を聞く


投票の結果、


【① 全力で否定する】


に決定しました!


勇者扱いされたユーマは、その状況を受け入れられるのでしょうか?


それでは第4話をお楽しみください。

「勇者様だあああああ!!」


「ついに現れた!」


「この村は救われるぞ!」


村人たちの歓声が広場に響き渡る。


俺はその中心で固まっていた。


いや。


待て。


本当に待て。


「違う違う違う違う!!」


俺は全力で叫んだ。


「勘違いだから!」


しかし村人たちは止まらない。


「謙虚なお方だ!」


「さすが勇者様!」


「人格者だ!」


「だから違うって!」


なんでそうなるんだ。


否定するほど勇者ポイントが上がっている気がする。



「落ち着くのじゃ、ユーマ君。」


村長が穏やかな声で言う。


「落ち着いてるのはそっちだろ!」


俺は机を指差した。


「俺レベル1だぞ!?」


「そうじゃな。」


「武器もない!」


「そうじゃな。」


「戦ったこともない!」


「そうじゃな。」


「じゃあなんで魔王倒せる前提なんだよ!」


完全論破である。


俺の勝ちだ。


そう思った。


思ったのだが。


「しかし君は。」


村長が真顔で言う。


「魔王をぬるゲーと言った。」


「言ったけど!」


「普通の人間は言わん。」


「それはそうかもしれないけど!」



十分後。


俺は村長の家を飛び出していた。


「無理無理無理無理!」


全力疾走。


村の道を駆け抜ける。


後ろからアリスの声が聞こえた。


「ユーマ!」


知らん!


勇者なんて知らん!


俺はただゲームが好きなだけだ!


魔王討伐なんて無理に決まってる!



村の外れまで来たところで足を止める。


息が切れていた。


「はぁ……はぁ……。」


すると。


「逃げましたね。」


聞き慣れた声。


肩の上を見る。


小さな妖精が座っていた。


「セフィ。」


「勇者様なのに。」


「誰が勇者だ。」


「村長が。」


「そういう意味じゃない。」


セフィはくすくす笑う。


本当に性格が悪い。



「そもそも。」


俺は近くの木にもたれかかった。


「なんで俺なんだよ。」


「知りません。」


「即答か。」


「私はセーブ係ですから。」


「セーブ係。」


「担当外です。」


役所か。



その時だった。


遠くから子供たちの笑い声が聞こえた。


振り向く。


村の柵の近くで数人の子供が遊んでいた。


鬼ごっこだろうか。


平和そのものだ。


「あぶねぇな。」


俺は思わず呟く。


村の外じゃないか。


するとセフィの顔が少し曇った。


「ユーマ。」


「ん?」


「後ろ。」


嫌な予感がした。


振り向く。


そこにいた。


緑色の肌。


鋭い牙。


短い棍棒。


ゲームなら何度も見たことがある。


「……ゴブリン?」


そいつは柵の隙間を抜けて現れた。


そして。


子供たちの方を見た。



「まずい!」


俺は反射的に走り出した。


子供たちも異変に気付く。


しかし一人だけ転んだ。


小さな女の子だった。


立ち上がれない。


ゴブリンが棍棒を振り上げる。


「やめろ!」


俺は飛び込んだ。


考えるより先に体が動いていた。


女の子を抱きかかえる。


その瞬間。


ゴッ!!


激痛。


視界が揺れた。


体が吹き飛ぶ。


地面を転がる。


息ができない。


痛い。


痛い痛い痛い。


ゲームじゃない。


本当に痛い。



「ユーマ!」


アリスの声。


俺は顔を上げる。


ゴブリンが再び棍棒を構えていた。


近い。


近すぎる。


死ぬ。


そう思った。


次の瞬間。


銀色の光が走る。


ザンッ!!


ゴブリンの体が真っ二つになった。


血が飛ぶ。


ゴブリンはそのまま倒れた。


アリスだった。


片手に剣を持っている。


さっきまでの優しい少女じゃない。


戦士だった。



「大丈夫!?」


アリスが駆け寄る。


「う、うん……。」


正直全然大丈夫じゃない。


足が震えている。


手も震えている。


心臓なんて爆発しそうだった。


「怪我は?」


「たぶん。」


アリスがほっと息を吐いた。


女の子も無事らしい。


よかった。


本当によかった。



しばらくして。


ゴブリンの死体は回収された。


子供たちは家へ帰された。


俺は一人、村の外れに座っていた。


夕日が沈み始めている。


「……。」


情けなかった。


本当に情けなかった。


俺は何もできなかった。


助けるつもりだった。


でも現実は違う。


吹き飛ばされて終わりだった。



「ちなみに。」


セフィが隣に浮かぶ。


「今のゴブリン。」


「うん。」


「レベル3です。」


「……は?」


「レベル3。」


俺は固まった。


「たった3?」


「たった3です。」


「俺は?」


「レベル1です。」


沈黙。


現実は厳しい。



その時。


アリスが隣に座った。


「落ち込んでる?」


「まあ。」


俺は苦笑する。


「何もできなかったからな。」


アリスは少し考える。


そして言った。


「でも。」


「ん?」


「飛び出したじゃない。」


「え?」


「普通は怖くて動けないよ。」


アリスは夕日を見ながら続けた。


「私は強いから戦えた。」


「でもユーマは違う。」


「……。」


「それでも助けようとした。」


アリスは笑った。


「私はすごいと思う。」



俺は空を見上げた。


レベル1。


戦闘経験なし。


武器なし。


仲間なし。


何もない。


でも。


何もできないままは嫌だった。


本当に嫌だった。



【投票】


何もできなかったユーマ。


次回どうする?


① 勇者になることを決意する


② もう一度村長の話を聞く


あなたならどちらを選びますか?

第4話を読んでいただきありがとうございます!


ついにユーマは「レベル1の現実」を知りました。


ゲームと違い、モンスターは怖く、戦いは命懸けです。


そしてアリスの強さも少しだけ見えてきました。


次回、ユーマはどんな答えを出すのでしょうか?


① 勇者になることを決意する


② もう一度村長の話を聞く


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①かな、はよ勇者になってくれ
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