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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
女と男の街 ローゼンベルク編

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第47話 『男街の英雄』

前回、ローゼンベルクの王であり喜の番人が初めて姿を現しました。


女性を称え。


男を見下す。


あまりにも偏ったスピーチ。


当然――


ユーマは大激怒。


リリムも「あいつ今頃怒ってるだろうな」と苦笑いしていました。


そして今回。


ついに男街の不満が爆発します。


果たしてユーマ達はどう動くのか。


それでは第46話をお楽しみください!

ローゼンベルクへ来て三日。


ユーマはすでに限界だった。


「おい。」


「何だ。」


ロキが振り返る。


ユーマは周囲を指差した。


「男しかいねぇ。」


「そうだな。」


「おかしくねぇ?」


「おかしくない。」


「おかしいだろ!」


今日も男。


明日も男。


右を見ても男。


左を見ても男。


酒場も男。


宿も男。


働いているのも男。


ユーマは頭を抱えた。


「何しに来たんだ俺・・・。」


ロキは呆れた顔をした。


「魔王を倒しにだろ。」


「そうだった。」


その時だった。


広場の方から怒号が聞こえた。


「ふざけるな!!」


「もう限界だ!!」


「壁を壊せ!!」


ユーマとロキが顔を見合わせる。


ただ事ではない。


二人は急いで声の方へ向かった。



男街中央広場。


大勢の男達が集まっていた。


数百人はいる。


皆怒っていた。


その中心に立つ青年。


短い茶髪。


鋭い目。


二十歳前後。


ユーマと同じくらいの年齢だろう。


だが。


その場にいる誰よりも存在感があった。


「聞け!」


青年が叫ぶ。


「このままでいいのか!?」


歓声。


「よくねぇ!」


「ふざけんな!」


「俺達は奴隷じゃねぇ!」


男達が拳を突き上げる。


青年は続けた。


「俺達は人間だ!」


「家畜じゃない!」


「壁の向こうへ行く権利がある!」


大歓声。


ユーマは近くの男へ聞いた。


「あいつ誰?」


男は答える。


「ジャックだ。」


「男街のリーダーさ。」


「リーダー?」


「ああ。」


男は頷く。


「俺達の希望だ。」


ジャックは壁を指差した。


巨大な内壁。


女街を囲む壁だ。


「壊すぞ!!」


歓声。


男達が動き出す。


石。


木材。


工具。


ありったけを持って壁へ向かう。


ユーマは嫌な予感がした。


「まずくないか?」


ロキも同意した。


「ああ。」


そして。


その瞬間だった。


空気が変わる。


静寂。


誰もが動きを止める。


城の方向。


ゆっくりと歩いてくる人影。


白いマント。


金髪。


整った顔立ち。


喜の番人だった。


男達の顔から血の気が引く。


ジャックも固まった。


喜の番人はため息を吐いた。


「やはり。」


静かな声だった。


「これだから男は醜い。」


誰も反論できない。


喜の番人は続ける。


「少し優しくしてやれば。」


「すぐ勘違いする。」


一人の男が石を投げた。


「黙れ!!」


石は。


番人の頬に当たった。


沈黙。


ユーマの背筋に寒気が走る。


喜の番人はゆっくり頬を触る。


そして。


笑った。


「そうか。」


次の瞬間。


ズバッ!!


赤い線が走る。


前列にいた男達。


五人。


身体がずれた。


そして。


崩れ落ちる。


真っ二つだった。


「・・・え?」


誰かが呟いた。


理解できなかった。


一瞬だった。


喜の番人は剣すら抜いていない。


男達は悲鳴を上げる。


「に、逃げろ!!」


「化け物だ!!」


パニック。


地獄だった。


喜の番人は冷たく言う。


「死にたいのなら勝手に死ね。」


「私の視界に入るな。」


そして。


手を掲げた。


地面が揺れる。


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・


土が割れる。


石が集まる。


男達は絶望した。


現れたのは。


巨大なゴーレム。


レベル15。


一体。


二体。


三体。


四体。


五体。


「掃除しておけ。」


喜の番人は興味を失ったように背を向けた。


男達は逃げる。


叫ぶ。


泣く。


ジャックも歯を食いしばっていた。


「くそ・・・!」


ゴーレムが拳を振り上げる。


そして。


振り下ろした。


ドォォォォン!!


男達が吹き飛ぶ。


誰も止められない。


その時だった。


シュッ。


風が走る。


ゴーレムの身体が斜めにずれた。


ユーマが剣を振り抜いていた。


「風切り!」


ゴーレムが崩れる。


同時。


ドゴォォォォン!!


雷が落ちた。


ロキの斧。


「トール。」


二体目が吹き飛ぶ。


男達は呆然とした。


「・・・え?」


「倒した?」


「嘘だろ・・・」


ユーマは剣を構える。


「ロキ!」


「ああ。」


二人は駆け出した。



戦闘は数分で終わった。


最後のゴーレムが崩れ落ちる。


静寂。


誰も喋れなかった。


ユーマ達だけが立っている。


ジャックが近付いてくる。


「助かった。」


ユーマは肩をすくめた。


「気にすんな。」


ジャックは少し笑った。


そして。


頭を下げた。


深く。


「頼む。」


ユーマが驚く。


「え?」


ジャックは顔を上げた。


その目は真剣だった。


「俺達を助けてくれ。」


男達も集まってくる。


「頼む・・・。」


「俺達じゃ無理なんだ。」


「もう限界なんだ・・・。」


ユーマは黙った。


ジャックが続ける。


「俺は旅人だった。」


「恋人と一緒にこの街へ来た。」


ユーマの目が動く。


「恋人?」


「ああ。」


ジャックは壁の向こうを見る。


「選ばれた。」


「王城の住人に。」


静寂。


「それっきりだ。」


「俺は今も探してる。」


ユーマは何も言えなかった。


ミアが頭をよぎった。


ジャックは言う。


「頼む。」


「俺達を救ってくれ。」


ユーマは拳を握る。


そして答えた。


「分かった。」


ロキが横を見る。


「軽く受けるな。」


ユーマは笑った。


「放っておけねぇだろ。」


その頃。


女街。


豪華な宿。


リリムはベッドへ倒れ込んでいた。


「ふかふか・・・。」


リンリンは窓際。


ランランは机。


二人とも武器図鑑を読んでいる。


相変わらずだった。


その時。


近くの女性達の会話が聞こえた。


「聞いた?」


「男街で暴動があったらしいわ。」


「ゴーレムも出たとか。」


「二人の旅人が倒したらしい。」


リリムは即答した。


「あいつらだ。」


想像できた。


絶対そうだ。


そして。


コンコン。


部屋の扉が叩かれた。


静かになる。


扉が開く。


そこに立っていたのは。


黒い燕尾服。


白い手袋。


長い黒髪を後ろで束ねた女性だった。


美しい。


そして隙がない。


完璧な執事だった。


女性は深々と頭を下げる。


「リリム様。」


リリムは首を傾げる。


「はい?」


女性執事は静かに告げた。


「お迎えに参りました。」


「・・・え?」


周囲の女性達がざわつく。


「まさか・・・。」


「嘘・・・。」


女性執事は続けた。


「王城より迎えの者です。」


「ご同行ください。」


沈黙。


そして。


女性達が叫んだ。


「選ばれたのよ!!」


「キャーーーー!!」


「王城よ!!」


「王城の住人!!」


「羨ましい!!」


リリムは固まった。


「・・・は?」


女性達は興奮している。


「王様に選ばれたの!!」


「おめでとう!!」


「人生勝ち組じゃない!!」


リンリンとランランも驚いていた。


「すごい!!」


「武器庫見放題じゃん!!」


「そこなの!?」


リリムは叫んだ。


女性執事は表情を変えない。


「ご準備を。」


「馬車がお待ちです。」


リリムは完全に混乱していた。


そして。


「えええええええええええええええ!?」

第46話を読んでいただきありがとうございました!


ローゼンベルク編、少しずつ街の全貌が見えてきましたね。


男街。


女街。


そして王城。


それぞれが完全に分断された歪な社会。


そんな中でユーマ達は男街の人々から助けを求められることになりました。


さらにラストでは――


まさかのリリムが王城へ招待!?


本人だけが状況を理解していません。


果たして王城で何が待っているのか。


そしてユーマ達はどうやってリリムと合流するのか。


次回もお楽しみに!

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