第46話 『二つの世界』
ローゼンベルクへ到着したユーマ達。
男街と女街に分けられたことで、それぞれ別行動を取ることになりました。
豪華な女街を満喫するリリム達。
そして男街の実態を探るユーマ達。
同じ街なのに見える景色はまるで違うようです。
それでは第46話をお楽しみください!
「・・・。」
リリムはベッドへ飛び込んだ。
ふかふか。
沈む。
気持ちいい。
「やばい。」
リンリンも飛び込む。
「これやばい。」
ランランも飛び込む。
「住みたい。」
三人はしばらくベッドを堪能した。
部屋は広い。
窓からは美しい街並みが見える。
机。
ソファ。
大きな浴室。
どれも高級品ばかりだった。
「本当に宿なのこれ。」
リリムが呟く。
テーブルの上には料理まで並んでいる。
肉料理。
スープ。
焼き菓子。
果物。
見たこともないような豪華さだった。
「最高!」
リンリンはすでに肉を頬張っていた。
「うまっ!」
ランランも幸せそうに頬を緩める。
「女に生まれて良かった・・・。」
「そこまで?」
リリムは苦笑した。
食事を楽しんでいると。
同じ宿に泊まっていた女性達が話しかけてきた。
皆若い。
十代後半から二十代前半くらいだろう。
「旅人さん?」
「珍しいわね。」
「どこから来たの?」
気さくな人達だった。
しばらく談笑した後。
リリムは気になっていたことを聞く。
「あの王様。」
「何なの?」
女性達は顔を見合わせた。
そして。
全員が笑顔になった。
「素晴らしい王様よ。」
「この国を豊かにしてくれたの。」
「女性が安心して暮らせる国を作ってくれたんだから。」
本気だった。
誰も疑っていない。
「みんな王様が大好きなの?」
「もちろん!」
即答だった。
「私なんて王様の演説を聞くたび泣いちゃう。」
「わかる!」
「かっこいいもんね!」
盛り上がっている。
リリムは少しだけ引いた。
「あの両脇にいた人達は?」
すると女性達の目が輝いた。
「あぁ!」
「選ばれた人達ね!」
「王城の住人よ!」
リリムは首を傾げる。
「王城?」
「そう!」
「王様が不定期に選ぶの!」
「選ばれたら王城で生活できるのよ!」
女性達は羨ましそうだった。
「豪華な食事!」
「最高の部屋!」
「綺麗なドレス!」
「夢みたいな生活!」
「私も選ばれたい!」
「私も!」
盛り上がる。
リリムは聞く。
「選ばれた人達は帰ってくるの?」
女性達は笑った。
「帰ってこないわ!」
「だって楽しすぎるんだもの!」
「帰る理由なんてないじゃない!」
「そっか。」
リリムは納得したような顔をする。
だが。
少しだけ引っかかった。
帰ってこない。
それだけ聞くと妙な話だ。
しかし。
今は深く考えなかった。
「私は武器庫行きたい!」
リンリンが突然言った。
「私も!」
ランランも続く。
「王城の武器庫!」
「伝説の武器!」
「名剣!」
「古代兵器!」
目が輝いていた。
リリムは呆れる。
「そこなの?」
「そこ。」
「そこ。」
即答だった。
一方その頃。
男街。
ユーマとロキは酒場にいた。
薄暗い。
酒臭い。
男しかいない。
女街とは別世界だった。
「乾杯。」
ユーマが水を掲げる。
「酒飲めないからな。」
「子供だな。」
ロキは酒を飲んでいた。
その時。
隣のおっさんが笑った。
「旅人か?」
「そう。」
ユーマは頷く。
「この街のこと教えてくれよ。」
「王様とか。」
おっさんの表情が曇った。
「王様か。」
そしてため息を吐く。
「最悪だよ。」
ユーマは身を乗り出した。
「だよな!?」
「やっぱおかしいよな!?」
おっさんは苦笑する。
「今のスピーチ聞けば分かるだろ。」
「男は価値なし。」
「女は最高。」
「そんな国だ。」
酒場の男達も苦笑していた。
慣れているのだろう。
ユーマは聞く。
「でも何で誰も反抗しないんだ?」
「できねぇんだよ。」
おっさんは酒を飲む。
「力も金も全部王城が握ってる。」
「俺達は働くだけだ。」
「働いた金の大半は税金。」
「王城への上納金さ。」
ユーマは眉をひそめた。
「きつくね?」
「きつい。」
即答だった。
「しかも女街へ自由に行けない。」
「結婚も難しい。」
「子供も減る。」
周囲の男達も頷く。
「出生率は年々下がってる。」
「跡継ぎもいない。」
「家を継ぐ奴もいない。」
「若い男はどんどん街を出ていく。」
ユーマは黙った。
おっさんは空になったグラスを見つめる。
「十年後か。」
「二十年後か。」
「わからねぇ。」
「でも。」
静かに言った。
「このままじゃこの街は滅びる。」
酒場は静まり返っていた。
誰も反論しない。
できないのだ。
皆分かっているから。
ユーマは拳を握った。
「何だよそれ。」
「おかしいだろ。」
ロキも珍しく頷く。
「ああ。」
「おかしい。」
ローゼンベルク。
美しい街だった。
だが。
その内側は少しずつ腐り始めていた。
第46話を読んでいただきありがとうございました!
今回はローゼンベルクの現状を知る回でした。
女街から見れば理想郷。
男街から見れば地獄。
同じ国なのにここまで見え方が違うのは面白いですね。
そして王城へ選ばれた女性達。
誰も帰ってこないそうですが・・・。
きっと豪華な生活が楽しすぎるだけですよね!
たぶん。
次回もお楽しみに!




