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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
女と男の街 ローゼンベルク編

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第45話 『喜の番人』

ついにローゼンベルクへ到着したユーマ達。


しかし街へ入った瞬間、


女性と男性で別々に行動することになってしまいました。


美しい女街へ向かったリリム。


そして男達だけが集められた男街へ向かったユーマとロキ。


同じ街なのに全く違う二つの世界。


そんな中、ついにこの国を支配する王――


喜の番人が姿を現します。


それでは第45話をお楽しみください!

カーン。


カーン。


カーン。


鐘の音が街中に響く。


男達は手を止めた。


女達は空を見上げる。


ユーマも。


ロキも。


リリムも。


自然と城へ視線を向けていた。


城の最上階。


巨大なバルコニー。


そこに一人の男が姿を現す。


金髪。


白いマント。


整った顔立ち。


まるで絵本から飛び出してきた王子様のようだった。


その瞬間。


女街から歓声が上がる。


「キャァァァァ!!」


「王様ぁぁぁ!!」


「素敵ぃぃぃ!!」


ユーマは顔をしかめた。


「何だあれ。」


王はゆっくり両手を広げる。


そして。


優雅に微笑んだ。


「皆さん。」


静寂。


「ごきげんよう。」


歓声。


「この国の王でもあり。」


一呼吸。


「そして。」


男は微笑む。


「喜の番人でもある私から。」


ユーマの眉が動いた。


堂々と言った。


番人だと。


王は続ける。


「ありがたいスピーチをくれてやろう。」


女達は歓声を上げる。


男達は黙っていた。


喜の番人は満足そうに頷く。


「まずは女性達よ。」


歓声。


「今日も美しい。」


さらに歓声。


「今日も素晴らしい。」


拍手。


「この国は女性によって支えられている。」


「女性こそ希望。」


「女性こそ未来。」


「女性こそ幸福そのものだ。」


女達はうっとりしていた。


中には涙を流している者までいる。


喜の番人はさらに続ける。


「男達よ。」


空気が変わる。


男街は静まり返った。


「女性に感謝しろ。」


「女性に尽くせ。」


「女性を守れ。」


「女性を汚すな。」


ユーマの眉間に皺が寄る。


喜の番人は笑った。


「貴様ら男にできることは。」


少し間を置く。


「働くことだけだ。」


男達は俯いていた。


誰も反論しない。


「それ以外に価値はない。」


ユーマの手が剣の柄を握る。


ギリッ。


音が鳴った。


隣ではロキも斧を握っていた。


「・・・。」


無言だった。


だが明らかに機嫌が悪い。


一方その頃。


女街。


リリム達もスピーチを聞いていた。


豪華な広場。


美しい噴水。


花壇。


石畳。


まるで別世界だった。


喜の番人の声が響く。


「女性は素晴らしい。」


「女性は美しい。」


歓声。


拍手。


歓喜。


だが。


リリムは全く笑っていなかった。


むしろ。


少しだけ口元が緩む。


「?」


リンリンが首を傾げる。


だがリリムは答えない。


城の向こう。


男街の方向を見つめる。


そして小さく呟いた。


「あいつ。」


「今頃怒ってるだろうな。」


思わず笑ってしまった。


きっと。


顔を真っ赤にしている。


剣を握っている。


文句を言っている。


そんな姿が簡単に想像できた。


「ふふっ。」


リリムは小さく笑った。


その頃。


予想通り。


ユーマは怒っていた。


「何なんだよあいつ。」


ロキが斧を肩へ担ぐ。


「とりあえず。」


「やるか?」


物騒だった。


ユーマも少し考える。


そして首を振った。


「いや。」


「今は無理だ。」


「女性達もいる。」


「巻き込む。」


ロキは舌打ちした。


「ちっ。」


だが反論はしない。


喜の番人は満足そうに微笑んでいる。


そして。


両脇へ視線を向けた。


そこには二人の女性が立っていた。


豪華なドレス。


緊張した表情。


まだ若い。


二十歳前後だろう。


喜の番人は大きく手を広げた。


「本日。」


「新たな王城の住人が決定した。」


歓声。


悲鳴にも近い歓喜。


「彼女達はこれより。」


「王城で暮らすこととなる。」


さらに歓声。


女性達は泣いていた。


感動して。


羨ましがって。


憧れて。


喜んでいた。


喜の番人は満足そうに頷く。


「盛大に祝うがいい。」


歓声。


拍手。


歓喜。


まるで祭りだった。


そして。


喜の番人は最後に言った。


「それでは皆さん。」


静寂。


「今日も素晴らしい一日を。」


大歓声。


スピーチは終わった。


ユーマはため息を吐く。


「何じゃあいつは。」


ロキも珍しく頷いた。


「ああ。」


「気に入らん。」


場面は変わる。


女街。


宿屋。


リリムは目を丸くしていた。


「・・・。」


広い部屋。


ふかふかのベッド。


豪華な料理。


窓から見える美しい街並み。


リンリンはベッドへ飛び込んだ。


「やばい!」


ランランも飛び込む。


「天国!」


リリムも椅子へ腰掛ける。


テーブルには肉料理。


スープ。


ケーキ。


果物。


並びきらないほどだった。


「何なのここ・・・。」


ラグナシアとは別の意味で異常だった。


そして。


ふと窓の外を見る。


城。


その向こう。


男街。


「ユーマ達。」


「大丈夫かしら。」


ローゼンベルク。


その全貌が少しずつ見え始めていた。

第45話を読んでいただきありがとうございました!


ついに喜の番人が登場しました。


ラグナシアの哀の番人とは違い、


こちらは最初から正体を隠していません。


むしろ堂々と名乗っています。


ですが、堂々としているからこそ厄介そうですね。


そして同じ街なのに、


男街と女街でここまで環境が違うとは・・・。


ユーマが怒るのも当然かもしれません。


一方リリムは豪華な宿と料理を満喫中。


羨ましいですね。


さて、次回からはさらにローゼンベルクの実態が明らかになっていきます。


この街に隠された歪みとは何なのか。


そしてユーマ達はどう動くのか。


お楽しみに!


次回もよろしくお願いします!

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