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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
救済と癒しの街 ラグナシア編

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第41話 『旅立ち』

長かったラグナシア編もついに最終話です。


哀の番人との戦い。


ミアとの別れ。


そして新たな仲間。


ユーマ達の旅はここで終わりません。


それではラグナシア編最終話をお楽しみください!

哀の番人が真っ二つになる。


七色の風が空へ舞う。


静寂。


誰も動かない。


誰も声を出せない。


ユーマは荒い息を吐いた。


「はぁ・・・。」


剣を握る手が震える。


足も震える。


全身が痛い。


視界もぼやける。


セフィが叫ぶ。


「魔力枯渇です!」


「ユーマさん!」


「倒れます!!」


ユーマは笑った。


「知ってる・・・。」


身体が前へ傾く。


倒れる。


その瞬間だった。


柔らかい感触。


ユーマの身体が誰かに支えられた。


リリムだった。


ユーマを抱き止めている。


その顔は少し怒っていた。


少しだけ泣きそうだった。


そして一言。


「馬鹿。」


ユーマは笑う。


何か返そうとした。


だが。


その前に意識が途切れた。


・・・


・・



目を開ける。


白い天井。


知らない匂い。


柔らかいベッド。


ユーマは瞬きをした。


「・・・あれ?」


身体を起こそうとして。


激痛。


「いててて・・・。」


病院だった。


窓から光が差し込んでいる。


横を見る。


椅子。


そこには。


リリムがいた。


腕を組みながら寝ている。


ユーマは少し笑った。


その時。


リリムの目が開く。


数秒固まる。


そして。


「やっと起きた!!」


勢いよく立ち上がる。


次の瞬間。


ドンッ!!


背中を叩かれた。


「心配したぞ!!」


「いってぇぇぇぇぇぇ!!」


ユーマは悲鳴を上げた。


傷口に響く。


リリムは少し笑う。


「生きてるみたい。」


「死ぬかと思った・・・。」


「私も。」


そう言った後。


少しだけ気まずそうに目を逸らした。


ユーマもそれ以上は言わなかった。


代わりに聞く。


「街は?」


リリムは頷いた。


「助かった。」


「住民達の洗脳も解けた。」


「老化も戻った。」


そう言いながら。


自分の手を見せる。


以前まで浮いていた皺はない。


若いままだ。


ユーマも腕を見る。


元通りだった。


「あれ全部。」


「番人の呪いだったんだろうね。」


ユーマは大きく息を吐いた。


終わったんだ。


本当に。


リリムがニヤリと笑う。


「そうだ。」


「レベル見てみな。」


ユーマは首を傾げる。


そして確認した。


レベル8。


だった場所。


そこには。


レベル15。


「はぁぁぁぁぁ!?」


病院中に響く声だった。


リリムが笑う。


「うるさい。」


「いやいやいや!!」


「上がりすぎだろ!!」


「私も15。」


「ロキも15。」


ユーマはさらに驚く。


哀の番人。


レベル20。


さすがボスだった。


その時。


ユーマは気付く。


「ロキは?」


リリムは呆れた顔をした。


「あいつ?」


「今いない。」


「どこ行った?」


「修業。」


ユーマは固まる。


「は?」


リリムは肩をすくめる。


「朝から出てった。」


「もっと強くなるとか何とか。」


ユーマは笑った。


「あいつ。」


リリムも笑う。


「たぶん。」


「ユーマの成長に嫉妬した。」


「絶対認めないだろうけど。」


確かに。


ロキなら認めない。


絶対に。


数日後。


ユーマとリリムは一軒の家を訪れていた。


ミアの家だった。


扉が開く。


父親。


母親。


二人とも痩せていた。


だが。


もう正気だった。


ユーマは頭を下げる。


深く。


「ごめんなさい。」


父親が驚く。


「何がだい?」


「あの時。」


「殴ったこと。」


沈黙。


父親は目を閉じる。


そして首を横に振った。


「いや。」


「殴られて当然だった。」


声が震えていた。


「俺は・・・。」


「俺はミアを・・・。」


その先が続かない。


母親も涙を流している。


洗脳が解けたからこそ。


現実が重い。


苦しい。


逃げられない。


父親は顔を覆った。


「なんであんなこと・・・。」


ユーマは何も言えない。


言葉が見つからない。


だが。


父親はやがて顔を上げた。


涙を拭う。


そして言う。


「それでも。」


「生きるよ。」


ユーマが顔を上げる。


父親は笑った。


悲しそうに。


でも前を向いて。


「ミアの分まで。」


母親も頷く。


ユーマは胸が熱くなった。


そして。


ポケットから取り出す。


七色の髪飾り。


ミアの髪飾り。


父親と母親は息を呑む。


ユーマは両手で差し出した。


「預かってました。」


母親が震える手で受け取る。


そして。


泣いた。


声を上げて。


抱き締めるように。


髪飾りを胸に抱いた。


ユーマとリリムは何も言わなかった。


それが一番だと思った。


そして。


旅立ちの日。


ラグナシアの門。


多くの住民達が集まっていた。


皆笑顔だった。


手を振っている。


「ありがとう!」


「助かった!」


「また来てくれ!」


ユーマも手を振り返した。


リリムも振る。


少し照れながら。


そして。


ロキ。


腕を組んで立っていた。


ユーマは笑う。


「なぁ。」


ロキを見る。


「お前どうすんの?」


ロキは眉をひそめる。


「何がだ。」


「この街だけの予定だったろ?」


「そうだな。」


「魔王倒しに行くんだろ?」


ロキは頷く。


ユーマは笑った。


「じゃあさ。」


剣を肩に担ぐ。


「一緒に行こうぜ。」


正式な誘いだった。


ロキは少しだけ黙る。


そして。


鼻で笑った。


「勘違いするな。」


やっぱり。


そう来る。


「お前について行くわけじゃない。」


「行き先が同じなだけだ。」


ユーマは吹き出した。


「素直じゃねぇな。」


「うるさい。」


ロキはそっぽを向く。


リリムも笑った。


「結局来るんじゃん。」


「違う。」


「同じ方向なだけだ。」


誰も信じなかった。


門の向こう。


新しい道。


新しい街。


新しい冒険。


ユーマは空を見上げる。


ミアの顔が浮かんだ。


そして。


少しだけ笑う。


「行こうぜ。」


リリムが頷く。


「うん。」


ロキは先に歩き出す。


「置いていくぞ。」


「待てって!」


ユーマが走る。


リリムも追い掛ける。


三人の背中が遠ざかる。


ラグナシアの住民達が手を振る。


いつまでも。


いつまでも。


三人は振り返らない。


前だけを見る。


こうして。


ラグナシア編は幕を閉じた。


そして。


三人の旅は。


まだ始まったばかりだった。




【ラグナシア編 完】




ラグナシア編、完結です!


ここまで読んでいただきありがとうございました!


ミアとの出会いから始まり、


哀の番人との戦い、


そして別れまで。


ユーマ達にとっても大きな経験になった街だったと思います。


個人的には、


「お兄ちゃん。やって。」


のシーンが一番印象に残っています。


そして今回から、


ロキが正式にパーティーメンバーとなりました!


ユーマ、リリム、ロキ。


三人の冒険はここからさらに大きく動き出します。


次の街にはどんな番人が待っているのか。


魔王とは何者なのか。


そしてユーマのセーブ能力の秘密とは――。


まだまだ物語は続きます。


改めまして、


ラグナシア編を最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!



応援メッセージ、コメント、スタンプ待ってます!

次への活力になります!


次章もお楽しみに!



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