第40話 『ミア』
ラグナシア編もいよいよクライマックス!
ユーマが見つけた攻略法。
新スキル【風の手】。
そして追い詰められた哀の番人。
果たして、この戦いの結末は――。
それでは第40話をお楽しみください!
「任せなさい!」
リリムが前へ飛び出す。
AK-1010を構える。
銃口の先には。
哀の番人。
「魔炎鳥!!」
轟音。
巨大な炎の鳥が生まれる。
翼を広げながら空を駆ける。
熱風が街を揺らす。
石畳が溶ける。
建物の窓ガラスが砕ける。
一直線。
番人へ。
同時だった。
ロキも動く。
巨大な斧を握る。
雷が集まる。
空が鳴る。
雲が割れる。
稲妻が落ちる。
全てが斧へ。
収束する。
「トール。」
振り下ろした。
ドゴォォォォォォォォォォォォォン!!!
雷の大槌。
炎の鳥。
二つの必殺技が。
同時に番人へ叩き込まれる。
世界が白く染まった。
轟音。
衝撃。
爆発。
街全体が揺れる。
住民達が耳を塞ぐ。
ユーマも思わず目を閉じた。
そして。
静寂。
煙が晴れていく。
番人は立っていた。
だが。
もう無傷ではなかった。
巨大な翼は半分以上吹き飛んでいる。
腕も砕けている。
全身が裂けている。
再生も遅い。
明らかに瀕死だった。
「ぐっ・・・。」
初めて。
番人が苦しそうな声を漏らした。
ユーマは息を飲む。
勝てる。
そう思った。
その時だった。
番人の胸が裂ける。
ビキビキビキッ。
肉が割れる。
骨が開く。
そして。
中から現れた。
顔。
顔。
顔。
無数の顔。
老人。
子供。
母親。
男。
女。
何百。
何千。
魂だった。
番人の中に閉じ込められていた魂達。
その全員が。
苦しんでいた。
「助けて・・・。」
「苦しい・・・。」
「出して・・・。」
「帰りたい・・・。」
番人は叫ぶ。
「違います!!」
「私は救っているのです!!」
だが。
誰もそんな風には見えなかった。
魂達は泣いていた。
苦しんでいた。
悲鳴を上げていた。
救われてなどいなかった。
ただ閉じ込められていた。
その中で。
ユーマは見つける。
小さな顔。
見覚えのある顔。
ミアだった。
「ミア・・・。」
ミアもユーマを見ていた。
泣いている。
苦しそうだ。
だが。
笑った。
いつもの笑顔で。
あの日と同じように。
ユーマの胸が締め付けられる。
ミアは小さく口を開いた。
「お兄ちゃん。」
ユーマは震える。
返事ができない。
ミアは言った。
「やって。」
その一言だった。
だが。
十分だった。
ユーマは目を閉じる。
そして。
ゆっくり開いた。
覚悟は決まった。
番人は後退る。
初めてだった。
恐怖していた。
「待ちなさい。」
「私は救っているのです。」
「私は間違っていない。」
「私は――」
ユーマが遮る。
「うるせぇ。」
静かな声だった。
だが。
誰よりも強かった。
ユーマはミアの髪飾りを握る。
七色の髪飾り。
ミアが大切にしていたもの。
そして。
空を見上げる。
風の手。
住民達を守り続ける巨大な風。
ロキは雷を集めた。
リリムは炎を集めた。
なら。
自分は何を集める。
答えは決まっていた。
風だ。
全部だ。
ユーマは剣を構える。
「来い。」
風が集まる。
風の手が崩れる。
守っていた風が。
全てユーマの剣へ向かう。
ゴォォォォォォォォォ!!
街中の風が唸る。
建物が揺れる。
木々が揺れる。
住民達が見上げる。
風が。
一本の剣へ集まっていく。
セフィが叫んだ。
「危険です!!」
「身体が持ちません!!」
ユーマは笑う。
「知るか。」
足が震える。
腕が悲鳴を上げる。
視界が滲む。
それでも止めない。
風は集まる。
さらに。
さらに。
もっと。
目が充血する。
血管が浮き上がる。
赤い。
真っ赤だった。
リリムが叫ぶ。
「ユーマ!!」
ロキも異変に気付く。
だが。
止まらない。
ユーマは飛び出した。
地面が砕ける。
一直線。
番人へ。
番人が叫ぶ。
「やめなさい!!」
「私は救済を――」
遅い。
もう遅い。
ユーマは番人の目の前へ辿り着く。
そして。
剣を振り上げた。
ミアを見る。
ミアは笑った。
泣きながら。
笑っていた。
ユーマも笑う。
「ああ。」
そして。
叫んだ。
「真・風切りィィィィィィィィィ!!!」
斬る。
風が走る。
いや。
風ではなかった。
七色だった。
赤。
青。
黄。
緑。
紫。
橙。
藍。
ミアの髪飾りと同じ色。
七色の斬撃が世界を切り裂く。
番人の目が見開かれる。
「そんな・・・。」
次の瞬間。
ズバァァァァァァァァァン!!!
哀の番人は。
真っ二つになった。
世界が静止する。
風が止まる。
声が消える。
そして。
番人の身体がゆっくり崩れ始めた。
終わった。
長かったラグナシアの悲劇が。
ようやく。
終わろうとしていた。
第40話を読んでいただきありがとうございました!
ついにユーマの新必殺技
【真・風切り】
が炸裂!
そして哀の番人との戦いも決着を迎えました。
次回、ラグナシア編エピローグ。
そしてユーマ達の旅は次の街へ――。




