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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
ラグナシア編

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第24話 『通行証』

ラグナシアで活動するためには通行証が必要だった。


その発行条件は――三人パーティ。


こうして不本意ながらもパーティを組んだユーマ、リリム、ロキ。


まずは通行証発行のため、ラグナシアを回ることになる。


だがその途中。


彼らはこの街で最初の出会いを果たす。


それでは第24話をお楽しみください。

「通行証は発行してやる。」


ギルド長はそう言った。


「やった。」


ユーマは思わずガッツポーズをする。


しかし。


「ただし。」


嫌な予感しかしない。


「手続きがある。」


やっぱりだ。


「市場、教会、噴水広場。この三箇所でスタンプを貰ってこい。」


「役所かよ。」


思わずツッコむ。


ギルド長は豪快に笑った。


「街を知るための決まりだ。」


なるほど。


観光も兼ねてるのか。


「じゃあ行くか。」


俺が言う。


リリムは頷く。


ロキは無言だった。


市場へ向かう途中。


ふと思い出した。


「そういえば。」


ユーマはロキを見る。


「お前レベルいくつなんだ?」


ロキは少しだけ俺を見る。


「8。」


「え?」


思わず足が止まった。


「8?」


「ああ。」


「俺も8なんだけど。」


「そうか。」


「そうかじゃねぇ!」


ユーマは思わず叫んだ。


「どう見てもお前の方が強そうなんだけど!」


ロキは肩をすくめる。


「レベルが全てじゃない。」


かっこいいこと言いやがる。


その横で。


リリムが少しだけ胸を張った。


「私は10。」


「お前が一番高いのかよ。」


「当然。」


少し得意そうだった。


なんか腹立つ。


市場へ着く。


そこは想像以上だった。


色とりどりの果物。


見たこともない魚。


大きな肉の塊。


商人たちの威勢の良い声。


歩いているだけで楽しい。


スタンプを貰う。


一つ目終了。


「次。」


リリムが歩き出す。


目的がある時だけ行動が早い。


ユーマたちは教会へ向かった。


街の中心にある大きな白い建物。


近付くほどその大きさに圧倒される。


「ここか。」


ユーマが見上げる。


セフィが肩の上へ現れた。


「ちなみに。」


「なんだ?」


「ここがラグナシアのセーブポイントです。」


「教会だったのか。」


「はい。」


なるほど。


つまり。


今後死んだらここまで戻される可能性があるってことだ。


「便利なんだか不便なんだか。」


ユーマは苦笑した。


教会の中へ入る。


静かだった。


外の賑やかさが嘘みたいに。


その時だった。


子供の泣き声が聞こえる。


見ると。


男の子が膝を擦りむいていた。


母親が困った顔をしている。


そこへ一人の女性が近付いた。


長い銀色の髪。


優しそうな微笑み。


白い服。


まるで物語に出てくる聖女だった。


女性は膝をつく。


そして。


傷に触れた。


淡い光。


すると。


傷が消えた。


完全に。


跡形もなく。


男の子が目を丸くする。


周囲から歓声が上がった。


「女神様だ!」


「女神様!」


人々が集まってくる。


女性は困ったように笑った。


「大袈裟ですよ。」


「すげぇ・・・。」


ユーマは呟いた。


本当に治った。


魔法か。


リリムも見ている。


「優しい人だね。」


珍しく真面目な感想だった。


女性は一人一人に笑顔を向ける。


老人にも。


子供にも。


旅人にも。


本当に優しそうだった。


ユーマたちはスタンプを貰い。


教会を後にした。


最後は噴水広場。


大きな噴水の周りには人が集まっている。


そこで最後のスタンプを押してもらった。


「終わったぁ!」


ユーマは思わず伸びをした。


「疲れた。」


リリムも珍しく同意する。


「これで通行証発行できるな。」


その時だった。


キャァァァァァ!!


悲鳴。


広場の奥。


人々が慌てて逃げている。


「なんだ!?」


俺たちは走った。


そして見た。


水路から飛び出してきた魚のモンスター。


全長二メートルほど。


鋭い牙。


青黒い鱗。


レベル4。


アクアバイトだ。


その前には。


一人の少女。


十歳くらい。


転んだのか。


立てずにいる。


「た、助けてぇぇぇ!!」


魚が飛びかかる。


まずい。


ユーマは剣へ手を伸ばした。


だが。


その瞬間だった。


横を風が通り抜ける。


ロキだ。


一歩。


ただ一歩踏み込んだだけだった。


次の瞬間。


斧が振られる。


ドンッ!!


鈍い音。


魚のモンスターは吹き飛んだ。


そのまま地面へ叩き付けられる。


動かない。


終わりだった。


一撃。


たった一撃。


「・・・え?」


俺は固まった。


同じレベル8。


なのに。


なんだ今。


俺だったら普通に戦っていた。


ロキは何事もなかったように斧を肩へ担ぐ。


「終わった。」


それだけだった。


少女が立ち上がる。


目をキラキラさせながら。


「すごい!!」


ロキを見る。


「お兄ちゃんすごい!!」


ロキは少し顔をしかめた。


「別に。」


「ありがとう!!」


少女は今度はユーマを見る。


「お兄ちゃんもありがとう!」


「いや、俺何もしてないけど。」


「ありがとう!」


リリムを見る。


「お姉ちゃんも!」


「うん。」


リリムは少し嬉しそうだった。


少女は胸を張る。


「私はミア!」


元気な子だった。


「ユーマ。」


「リリム。」


「ロキ。」


順番に名乗る。


するとミアは満面の笑みになった。


「助けてくれたお礼する!」


「いや、別にいいって。」


ユーマは言う。


だがミアは首を振った。


「ダメ!」


強かった。


「お母さんに怒られるもん!」


「怒られるのかよ。」


「うん!」


元気よく頷く。


そして。


「ご飯もあるよ!」


その瞬間。


リリムが反応した。


「行く。」


早かった。


ものすごく早かった。


「絶対ご飯だろ。」


「違う。」


絶対ご飯だ。


ミアは笑う。


「じゃあ決まり!」


こうして。


ユーマたちはミアの家へ向かうことになった。


まだ知らない。


この出会いが。


ラグナシアの真実へ繋がっていくことを。


第24話を読んでいただきありがとうございました!


ミア登場!


そしてロキの実力がついに明らかに。


同じレベルなのに圧倒的な差。


ユーマはこの壁をどう乗り越えるのか。


次回、ミアの家で待つ出会いとは――?

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