表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
死の森編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/52

第21話 『攻略法』

死の森最後の試練。


レベル10の化け狸。


その能力は、相手が最も信頼する人物へ姿を変えること。


①戦う

②逃げる


投票の結果は0票

ですので作者の意向により①に決定!


ユーマとリリムは、この厄介な魔物を倒し、第一の街へ辿り着けるのか――。


それでは第21話をお楽しみください。

「戦う。」


俺は剣を握った。


リリムも銃を構える。


目の前には化け狸。


今はアリスの姿をしている。


嫌な予感しかしない。


「セフィ。」


「はい。」


「一応セーブだけしとけ。」


セフィは少し驚いた顔をした。


「珍しいですね。」


「嫌な予感がする。」


「分かりました。」


緑色の光が舞う。


「セーブ完了です。」


俺は息を吐いた。


ボス前セーブ。


ゲーマーの基本だ。


「行くぞ。」


化け狸が笑った。


アリスの顔で。


優しく。


まるで本物みたいに。


戦いは最悪だった。


アリスの姿をした化け狸へ剣を振るう。


だが。


どうしても一瞬躊躇してしまう。


その隙を狙われる。


巨大な爪。


吹き飛ばされる。


血を吐く。


立ち上がる。


また戦う。


また死ぬ。


何度も。


何度も。


何度も。


何度も死んだ。


20回は死んだだろうか。

だが、攻略法が見つからない。


化け狸は姿を変え続ける。


アリスになり。


巨大な熊になり。


大蛇になり。


またアリスになる。


リリムも苦戦していた。


化け狸は今度は俺の姿になっている。


「くっ・・・!」


リリムの銃が止まる。


撃てない。


一瞬でも迷えば終わる。


だが。


迷う。


俺と同じように。


「なんなんだよこいつ・・・。」


俺は荒く息を吐いた。


レベル10だから強いんじゃない。


能力が厄介すぎる。


その時だった。


ふと昔やったゲームを思い出した。


幻影系のボス。


変身系のモンスター。


そういう敵には必ず共通点があった。


本体を暴けばいい。


俺は記憶を辿る。


そして思い出した。


盗賊のアジトで見つけたアイテム。


「あ。」


閃光弾だ。


「そうか!」


俺は立ち上がる。


「リリム!」


「なによ!?」


「閃光弾撃てるか!?」


リリムはポーチを探る。


そして頷いた。


「一発だけある!」


「それだ!」


ようやく見つけた。


攻略法を。


再び化け狸へ向かう。


化け狸はアリスの姿になっていた。


「ユーマ。」


優しい声。


本物みたいな笑顔。


胸が痛くなる。


でも。


俺は剣を握った。


「ごめん。」


アリスを見る。


真っ直ぐ見る。


「アリスはそんな顔しない。」


化け狸が動いた。


巨大な爪が迫る。


避けない。


俺は前へ飛び込んだ。


胸を貫かれる。


激痛。


視界が揺れる。


それでも。


俺はその腕を掴んだ。


両手で。


全力で。


「捕まえた・・・!」


化け狸が暴れる。


離れようとする。


だが離さない。


絶対に。


「リリム!!」


俺は叫んだ。


「今だぁぁぁ!!」


リリムが銃を構える。


「任せて!」


銃声。


次の瞬間。


閃光弾が炸裂した。


轟音。


白い光が森を包む。


化け狸が悲鳴を上げた。


そして。


変身が解ける。


小さな狸の姿。


今しかない。


「風切り!!」


風の刃が直撃する。


化け狸は吹き飛んだ。


だが。


立ち上がる。


まだ終わらない。


「マジかよ!」


レベル10。


一撃じゃ足りない。


その時だった。


リリムが前へ出た。


炎が集まる。


銃口へ。


赤い炎。


黒い炎。


二つの炎が混ざり合う。


「魔炎鳥。」


銃声が響いた。


放たれた弾丸は巨大な炎の鳥へ姿を変える。


翼を広げ。


燃えながら空を駆ける。


そして。


化け狸へ突撃した。


ドォォォォォン!!


爆炎。


熱風。


衝撃波。


森が揺れる。


化け狸は地面を転がった。


だが。


まだ生きている。


膝をつきながら。


それでも立ち上がる。


「しぶとすぎるだろ・・・。」


俺は荒く息を吐いた。


その時。


燃え盛る炎を見て気付く。


火は風で大きくなる。


だったら。


「リリム!」


「なによ!」


「火を貸せ!」


「はぁ!?」


「いいから!」


リリムは一瞬だけ戸惑った。


だが。


すぐに手のひらへ炎を生み出す。


俺はその炎へ剣を向けた。


風を纏う。


もっと。


もっとだ。


風を集めろ。


「行くぞ!!」


リリムが笑った。


「燃えるよ!!」


炎が風へ乗る。


巨大な炎の刃になる。


俺は全力で剣を振り抜いた。


「これが!!」


風が唸る。


炎が荒れる。


「俺とリリムの!!」


化け狸が目を見開く。


「風切りだぁぁぁぁぁ!!」


巨大な炎の斬撃が森を切り裂く。


直撃。


轟音。


爆発。


そして静寂。


化け狸は倒れていた。


もう動かない。


完全に。


終わった。


「勝った・・・。」


俺はその場へ座り込む。


身体中が痛い。


でも。


笑いが止まらなかった。


リリムも隣へ座る。


「疲れた。」


「俺も。」


その時。


身体が光り始めた。


レベルアップ。


レベルアップ。


「おお!?」


レベル6から8へ。


二つも上がった。


リリムも驚いている。


「私も上がった。」


レベル9から10へ。


「やったな。」


「やった。」


俺たちは顔を見合わせた。


少しだけ笑う。


死の森で出会った二人。


最初はただの同行者だった。


でも今は違う。


確実に。


仲間になっていた。


「そういえば。」


俺はふと思い出した。


「なんだ?」


「あの化け狸。」


「うん。」


「リリムと戦う時、俺の姿になってたよな。」


リリムが少し固まった。


「・・・そうね。」


「なんでだろうな。」


その瞬間。


セフィが俺の肩へ飛んできた。


そして耳元で小さく囁く。


「化け狸は、一番信頼している相手に変身できるんですよ。」


「・・・え?」


俺の顔が熱くなる。


思わずリリムを見る。


リリムも真っ赤だった。


目が合う。


すぐ逸らす。


気まずい。


ものすごく気まずい。


沈黙。


数秒。


誰も何も言わない。


そして。


セフィがニヤニヤしながら言った。


「とりあえずセーブしておきますね。」


緑の光が舞う。


「セーブ完了です。」


「今するな!」


「燃やすわよ!!」


二人の声が綺麗に重なった。


セフィは楽しそうに笑っていた。


その頃。


死の森の奥。


十数匹の化け狸が群れを作っていた。


森を走り回り。


獲物を探している。


だが。


その前に一人の青年が立っていた。


青い髪。


鋭い目。


巨大な斧。


青年は化け狸たちを見る。


感情はない。


ただ静かに。


一言だけ呟いた。


「グングニル。」


空が光る。


次の瞬間。


轟音。


無数の雷が落ちた。


化け狸たちは悲鳴を上げる暇すらない。


一瞬で全滅した。


青年は振り返らない。


巨大な斧を肩へ担ぐ。


そして。


ただ前へ歩き出した。


まるで。


誰かを探しているように。

第21話を読んでいただきありがとうございました!


死の森の主・化け狸撃破!


そしてユーマとリリムの絆も少しだけ深まったようです。


さらに謎の青髪の青年も登場。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ