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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
死の森編

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第20話 『化け狸』

盗賊団を倒し、人攫いたちから捕まっていた人々を救い出したユーマとリリム。


第一の街まではあと少し。


死の森も終わりが見えてきた。


だが。


死の森には最後の試練が待っていた――。


それでは第20話をお楽しみください。

盗賊たちを倒した後。


俺たちはアジトの中を調べていた。


「結構溜め込んでるな。」


棚を開ける。


食料。


銀貨。


武器。


盗品らしき物も大量にあった。


「本当に最低ね。」


リリムが小さく呟く。


部屋の奥には女物のアクセサリー。


子供用の靴。


旅人の荷物。


見れば見るほど気分が悪くなる。


俺たちは牢屋を開けた。


中には商人や旅人が閉じ込められていた。


「もう大丈夫だ。」


俺が言うと、みんな安心したようにその場へ座り込んだ。


「ありがとう・・・。」


「助かった・・・。」


頭を下げられる。


なんだか少し照れくさい。


「勇者様だ。」


「いや、勇者じゃない。」


そう答えながらも。


少し嬉しかった。



探索を終える。


今回の戦利品はかなり大きかった。


回復薬 三本。


予備の銃弾 二十発。


銀貨。


保存食。


そして。


「なんだこれ。」


俺は小さな銀色の鍵を拾い上げる。


古びている。


だが妙に作りは綺麗だった。


「捨てる?」


リリムが聞く。


「いや。」


俺は首を振る。


「こういうのは持っとく。」


「なんで?」


「ゲーマーの勘。」


「またそれ。」


リリムが呆れた顔をした。


だが結局。


鍵も持っていくことになった。



翌朝。


俺たちは再び死の森を歩いていた。


盗賊も倒した。


食料も手に入った。


順調だ。


かなり順調だ。


その時だった。


ガサガサ。


茂みが揺れる。


「ん?」


そこから出てきたのは。


一匹の狸だった。


「・・・。」


「・・・。」


「かわいい。」


思わず声が漏れる。


丸い。


小さい。


ふわふわ。


どう見ても普通の狸だ。


狸は首を傾げた。


「ぽん♪」


「かわいい。」


リリムも思わず呟く。


「持って帰る?」


「どこにだよ。」


「知らない。」


「知らないのかよ。」


「でもかわいい。」


「それは分かる。」


狸は嬉しそうに尻尾を振った。


かわいい。


本当にかわいい。


その時だった。


セフィの声が響く。


「逃げてください。」


今まで聞いたことがないほど真剣だった。


俺は振り返る。


「なんだよ急に。」


「今すぐです。」


「だからなんで。」


セフィの顔が青ざめていた。


「レベル10です。」


空気が変わった。


「・・・は?」


俺は狸を見る。


もう一度見る。


どう見ても狸だ。


「レベル10?」


「間違いありません。」


俺は思わずリリムを見る。


リリムも表情が変わっていた。


「・・・最悪。」


「おい。」


「どうした。」


リリムは狸から目を離さない。


「あれ。」


「うん。」


「化け狸。」


「狸じゃねぇか。」


「化け狸よ。」


全然違いが分からない。


だが。


リリムがここまで警戒するのは初めてだった。


「強いのか?」


俺が聞く。


リリムは即答した。


「死の森で一番厄介。」


その瞬間。


狸が笑った気がした。


ボンッ!!


白い煙が上がる。


「うわっ!?」


煙が晴れる。


そこにいたのは。


巨大な熊だった。


三メートルを超える黒い巨体。


鋭い牙。


巨大な爪。


「おいおいおい!」


ボンッ!!


再び煙。


今度は巨大な大蛇。


木々より長い身体がうねる。


「なんなんだよこいつ!」


「だから化け狸。」


リリムが銃を構える。


「変身できるの。」


「便利だな!」


「便利とかそういう話じゃない。」


リリムは珍しく焦っていた。


「こいつの本当に厄介な能力は別。」


「別?」


「そう。」


リリムは息を吐く。


「化け狸はね。」


その時だった。


白い煙が再び上がる。


ボンッ!!


煙が晴れる。


そして。


俺の呼吸が止まった。


そこにいたのは。


見間違えるはずがない。


金色の髪。


優しい瞳。


白い服。


「・・・アリス?」


アリスだった。


完全に。


どう見てもアリスだった。


「ユーマ。」


アリスが笑う。


優しく。


いつものように。


俺の足が止まる。


頭が真っ白になる。


リリムが小さく呟いた。


「始まった。」


「どういうことだ?」


「化け狸は。」


リリムは銃を握りしめた。


「相手が一番信頼している人間になれる。」


俺は言葉を失う。


アリスが俺を見る。


そして。


「助けて。」


そう言った。


剣を握る手が震える。


もし斬ったら。


もし本物だったら。


その時だった。


リリムが地図を広げる。


「ユーマ。」


「・・・。」


「逃げるなら今。」


俺は地図を見る。


第一の街。


あと半日。


だが。


別ルートもあった。


森を大きく迂回する道。


「逃げたら?」


「三日。」


「長いな。」


「でも安全。」


リリムは化け狸を睨む。


「戦うなら今ここ。」


「逃げるなら遠回り。」


アリスが笑う。


優しく。


本当に優しく。


だからこそ。


不気味だった。


俺は剣を握る。


どうする。


戦うのか。


逃げるのか。


【投票】


① 戦う


② 逃げる



あなたならどうする?

第20話を読んでいただきありがとうございました!


死の森最後の試練――化け狸が登場!


その能力は変身。


しかも相手が最も信頼している人物へ姿を変えるという厄介な能力でした。


ユーマの前に現れたのはアリス。


①戦う

②逃げる


果たして彼は無事森を抜けれるのか?

次回、死の森編クライマックス!


あなたの投票で物語が変わる!

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