第19話 『風のコンボ』
風歩を覚醒させ、リリムを救い出したユーマ。
だが戦いはまだ終わっていない。
目の前には盗賊団。
そして親玉。
死の森の夜。
反撃が始まる――。
それでは第19話をお楽しみください。
「燃えるよ?」
リリムの手のひらに炎が灯る。
盗賊たちが一歩後ずさった。
俺も剣を構える。
今度は一人じゃない。
「行くぞ!」
盗賊たちが一斉に襲いかかってくる。
先頭の男が剣を振り下ろした。
遅い。
風歩。
身体が風のように滑る。
男の横へ回り込む。
そして。
「風切り!」
剣を振る。
風の刃が男の胸を斬り裂いた。
「ぐあっ!」
盗賊が吹き飛ぶ。
だが。
その瞬間だった。
俺の頭の中で何かが繋がった。
風歩。
風切り。
そして。
また風歩。
「そういうことか。」
思わず笑う。
ガルド。
あんたこういうことだったんだな。
ゲーマーが新しい技を覚えた時。
真っ先に考えることは一つ。
どう繋げるか。
単発じゃ弱い。
大事なのは連携。
コンボだ。
こちとら鉄拳士シリーズ歴代コンボ数記録保持者だぞ。
一発の威力なんてどうでもいい。
繋がれば勝てる。
俺は再び風歩を発動した。
盗賊の懐へ。
「なっ!?」
驚く男。
遅い。
風切り。
怯む。
さらに横へ。
風歩。
背後へ回る。
そして斬る。
盗賊は何もできず倒れた。
「すご。」
リリムが呟く。
「ゲーム脳なめんな。」
「意味分からない。」
「俺も説明できん。」
そんな会話をしている間にも。
盗賊たちは迫ってくる。
だが。
今度はリリムが動いた。
「邪魔。」
銃声。
バンッ!!
放たれた弾丸が盗賊の足元へ着弾する。
次の瞬間。
ボォォォォッ!!
炎が爆発した。
「ぎゃああああ!」
三人まとめて吹き飛ぶ。
熱風が小屋を揺らす。
「うおっ!?」
「危ないから離れて。」
「今言う!?」
リリムはもう次の弾を装填していた。
銃を使いながら魔法も使う。
まるで砲台だった。
盗賊が突っ込む。
撃つ。
燃える。
吹き飛ぶ。
撃つ。
燃える。
吹き飛ぶ。
容赦がない。
「お前強すぎない?」
「レベル9だし。」
そうだった。
こいつレベル9だった。
「燃えるよ?」
「お前それ好きだな。」
「好き。」
即答だった。
盗賊たちは完全に怯えている。
気持ちは分かる。
俺も少し怖い。
やがて。
残った盗賊たちは逃げ出した。
そして。
最後に立っていたのは。
親玉だった。
大男。
筋肉の塊。
巨大な剣。
レベル8。
強い。
明らかに今までの相手とは違う。
親玉は俺を睨む。
「ガキが。」
剣を構えた。
俺も構える。
その時だった。
リリムが横に来る。
「ねぇ。」
「なんだ。」
「あんた勝てるの?」
普通なら。
無理だと思う。
レベル差もある。
経験も違う。
でも。
俺は笑った。
「ああ。」
「なんで?」
剣を握る。
そして。
親玉を見る。
「ゲーマーの勘だ。」
リリムは数秒黙った。
「意味分からない。」
「だろうな。」
でも。
俺には見えていた。
親玉の動きが。
一回死んだからじゃない。
戦っているうちに分かった。
こいつにもパターンがある。
大振り。
横薙ぎ。
蹴り。
そしてフェイント。
ゲームと同じだ。
敵には必ず癖がある。
親玉が踏み込む。
来た。
大振り。
読めてる。
風歩。
横へ。
剣が空を切る。
「なっ!?」
親玉が驚く。
遅い。
風切り。
腕を斬る。
「ぐっ!」
怯む。
そこからだ。
ここからコンボ。
風歩。
背後へ。
斬る。
振り返る。
風歩。
また横へ。
斬る。
親玉は反撃できない。
繋がった。
コンボだ。
「このガキィ!!」
親玉が怒鳴る。
巨大な剣を振り回す。
だが。
当たらない。
全部見える。
全部読める。
最後。
親玉が大きく踏み込んだ。
全力の一撃。
これも知ってる。
隙が大きい。
俺は息を吸う。
風が集まる。
剣へ。
腕へ。
身体へ。
そして。
「風切り!!」
今までで一番大きな風が走った。
斬撃が親玉を飲み込む。
巨大な身体が吹き飛ぶ。
壁へ激突した。
ドォォン!!
静寂。
親玉は動かない。
勝った。
「はぁ・・・。」
膝をつく。
疲れた。
本当に疲れた。
その瞬間。
身体が光り始める。
「お?」
暖かい。
そして。
頭の中に声が響いた。
レベルアップ。
レベル6。
「おお!」
やった。
初めて自力で強敵を倒した。
リリムが近付いてくる。
そして親玉を見る。
俺を見る。
「本当に勝った。」
「だから言っただろ。」
俺は立ち上がる。
剣を肩へ担ぐ。
「ゲーマーの勘だ。」
リリムは少しだけ笑った。
「やっぱり意味分からない。」
死の森の夜。
こうして。
俺たちは初めての共闘で勝利を掴んだ。
第19話を読んでいただきありがとうございました!
ユーマの新たな戦い方――コンボ戦術がついに誕生!
そしてリリムとの初共闘も大成功!
レベルも6になり、少しずつ冒険者らしくなってきたユーマ。
次回、盗賊団のアジトを調べる二人。
そこには思わぬ発見が待っていました――。




