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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
死の森編

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第17話 『人攫い』

死の森で初めての夜を迎えたユーマたち。


昼間は賑やかだったリリムも、夜になるとどこか静かだった。


だが。


死の森はモンスターだけが危険な場所ではなかった――。


それでは第17話をお楽しみください

夜。


死の森は静かだった。


静かすぎるほどに。


俺は小さな焚き火の前で横になっていた。


セフィは俺の肩の上で眠っている。


少し離れた場所では。


リリムが見張りをしていた。


「先に寝ていいわよ。」


そう言われたのを覚えている。


そして。


気付けば眠っていた。



ガサッ。


何か音がした。


俺はゆっくり目を開く。


辺りは真っ暗だった。


焚き火もほとんど消えかかっている。


「ん……。」


寝返りを打つ。


その時だった。


違和感を覚えた。


静かすぎる。


いや。


違う。


いつも聞こえるものが聞こえない。


「……リリム?」


返事はなかった。


俺は体を起こす。


周囲を見回す。


いない。


焚き火の近くにも。


木の陰にも。


どこにも。


「リリム?」


少し大きな声で呼ぶ。


返事はない。


セフィも目を覚ました。


「どうしました?」


「リリムがいない。」


セフィは周囲を見る。


そして少し表情を変えた。


「本当ですね。」


「トイレか?」


「30分以上ですか?」


「……。」


言われてみればそうだった。


妙な胸騒ぎがする。


俺は立ち上がる。


その時だった。


地面に何かが落ちているのを見つけた。


赤い髪。


正確には。


赤い髪を留めていた小さな紐だった。


「これ。」


俺は拾い上げる。


リリムのものだ。


間違いない。


「ユーマ。」


セフィが言う。


「争った跡があります。」


見る。


草が踏み荒らされている。


足跡もある。


一つじゃない。


複数。


「……まさか。」


胸騒ぎが確信に変わる。


「攫われた。」


俺は鉄の剣を握った。



その頃。


死の森の奥。


古びた小屋。


「だから言ったじゃない。」


リリムは椅子に縛られていた。


手も足も縄で固定されている。


目の前には男たち。


いかにも盗賊。


そんな連中が五人。


「大人しくしてろ。」


「嫌。」


即答だった。


盗賊が眉をひそめる。


「状況分かってるか?」


「分かってる。」


「なら黙れ。」


リリムは少し考えた。


そして。


「燃えるよ?」


盗賊たちは顔を見合わせた。


「なんだこいつ。」


「知らねぇ。」


リリムは真顔だった。


「本当に燃える。」


「黙れ。」


「後で後悔する。」


「黙れ。」


「燃える。」


「黙れって!」


盗賊が怒鳴った。


リリムは少し不満そうだった。


そして。


ボッ。


小さな火が手のひらに現れる。


「うおっ!?」


盗賊たちが飛び退いた。


「ほら。」


「消せ!」


「燃えるよ?」


「だから消せ!」


小屋の中は一瞬で大騒ぎになった。


だが。


所詮は小さな火。


縄を焼き切るには時間が足りない。


その前に盗賊たちに取り押さえられた。


「このガキ!」


「熱い!」


「だから言ったのに。」


反省する気はなさそうだった。



一方その頃。


俺は足跡を追っていた。


森の中を走る。


息が切れる。


でも止まれない。


「ユーマ。」


セフィが言う。


「かなりの人数です。」


「分かってる。」


「危険です。」


「分かってる!」


俺は叫ぶ。


分かっている。


レベル5だ。


相手が盗賊なら大人だ。


勝てる保証なんてない。


でも。


足は止まらなかった。


「面倒な奴だと思ってたんだけどな。」


思わず呟く。


「燃やすよしか言わねぇし。」


「そうですね。」


「うるさいし。」


「そうですね。」


「でも。」


俺は前を見る。


「放っとけねぇだろ。」


セフィは少しだけ笑った。



やがて。


森の奥に小屋が見えた。


明かりが漏れている。


人の声も聞こえる。


俺は物陰に身を隠した。


窓から中を見る。


いた。


リリムだ。


縛られている。


しかも。


めちゃくちゃ暴れている。


「燃えるよ?」


「黙れ!」


「だから燃えるって言ってるの。」


「だから黙れ!」


元気そうだった。


少し安心した。


少しだけ。



その時だった。


ガサッ。


俺の足元で枝が折れる。


しまった。


全員の視線がこちらを向いた。


沈黙。


数秒。


そして。


「お客様だ。」


大柄な男が立ち上がった。


盗賊の親玉らしい。


男はニヤリと笑う。


「なるほど。」


「……。」


「仲間を助けに来たってわけか。」


俺は剣を握る。


親玉はリリムの髪を掴んだ。


「返してほしいか?」


「離せ。」


「簡単だ。」


男は笑う。


「持ってるもん全部置いていけ。」


俺は黙る。


親玉は続けた。


「武器。」


「金。」


「食料。」


「全部だ。」


「そしたら返してやる。」


リリムが言う。


「信じちゃダメ。」


「黙れ。」


頭を叩かれる。


「痛い。」


「黙ってろ。」


リリムは睨み返す。


「燃やすよ?」


「黙れって言ってるだろ!」


小屋の中に怒鳴り声が響いた。


俺は剣を握る。


どうする。


持ち物を渡すのか。


それとも――。


【投票】


① 持ち物を差し出す


② 差し出さない


あなたならどうする?

第17話を読んでいただきありがとうございました!


死の森の夜。


モンスターではなく、人攫いが現れました。


そしてまさかのリリム誘拐!


……されたにも関わらず、相変わらず「燃えるよ?」を連発するリリムでした。


一方のユーマも、自分では気付いていませんが、思った以上にリリムのことを心配している様子。


果たしてユーマはリリムを助け出せるのでしょうか?


そして盗賊の要求に対する答えは――?


次回、第18話。


ユーマの選択が運命を分ける!


【投票】


① 持ち物を差し出す


② 差し出さない


あなたの投票で物語が変わる!

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