第147話 『50連勝』
「さぁぁぁぁぁぁ!!」
実況の声が会場中へ響く。
「本日のメインイベント!!」
「五十連勝中!!」
「地下リング絶対王者ぁぁぁ!!」
「バリントォォォォン!!」
ドォォォォォン!!
大歓声。
金網の向こうから現れたのは。
身長二メートルを超える巨漢。
全身が筋肉。
右目には大きな傷。
拳だけで人を殺せそうな男だった。
「うおおおおお!!!」
「バリントン!!」
「今日も勝てぇぇぇ!!」
実況。
「対するは!」
「本日初参戦!!」
「謎の挑戦者!!」
「ユーマァァァァァァ!!」
歓声は少ない。
ほとんどが笑っていた。
「ガキじゃねぇか。」
「一瞬で終わるぞ。」
「賭ける価値もねぇ。」
ユーマはリングへ上がる。
バリントンが見下ろした。
「ガキ。」
「死ぬぞ。」
ユーマは笑う。
「やってみろ。」
実況が叫ぶ。
「現在のオッズはこちらぁぁ!!」
巨大なモニターへ映し出される。
バリントン 1.2倍
ユーマ 50倍
会場が笑いに包まれた。
「五十倍!!」
「誰が賭けるんだよ!!」
「一瞬で終わる!」
レイ達は迷わなかった。
レイ。
「ユーマ。」
「三万。」
ロキ。
「全額だ。」
リリム。
「負けたら承知しないからね!」
三人は。
ユーマへ。
全額ベットした。
オヤジも震える手で全財産を置く。
「頼む……。」
「勝ってくれ……。」
実況が手を上げた。
「それでは!!」
「ルール説明!!」
リング中央。
ディーラーが口を開く。
「この試合は。」
「何でもあり。」
「殴る。」
「蹴る。」
「投げる。」
「魔法。」
「全て自由です。」
ユーマ。
「なるほど。」
ディーラーは続ける。
「ただし。」
「武器、防具、アイテムの持ち込みは禁止。」
レイ。
「ほう。」
「試合中。」
「アイテムボックスがランダムで出現します。」
「中に入っている武器、防具、アイテムは自由に使用可能。」
「制限時間なし。」
「勝敗は。」
「降参。」
「または。」
「死亡。」
静まり返る会場。
実況が叫ぶ。
「ファァァァイトォォォォ!!!!」
ゴングが鳴った。
カァァァン!!
その瞬間だった。
「死ねぇぇぇぇぇ!!!」
バリントンが突っ込む。
巨大な拳。
空気を裂きながら振り下ろされた。
観客。
「終わった。」
「一撃だ。」
だが。
ユーマは消えた。
「なっ!?」
風歩。
一瞬で懐へ潜り込む。
バリントンが目を見開く。
「速っ……!」
ユーマ。
「遅ぇ。」
腰を落とす。
拳を握る。
「おらぁぁぁぁぁぁ!!!」
渾身の。
アッパー!!
ドゴォォォォォォン!!
バリントンの身体が浮く。
そのまま。
金網まで一直線。
ドォォォォォン!!
リング全体が揺れた。
静寂。
実況。
「な……。」
「なんだ今のはぁぁぁぁぁ!!」
観客も言葉を失う。
「バリントンが……。」
「吹っ飛んだ……。」
レイは腕を組む。
「やっぱりな。」
ロキ。
「力量差はユーマの方が上か。」
リリム。
「当然!」
バリントンはゆっくり立ち上がる。
口元の血を拭いた。
そして。
笑った。
「面白ぇ。」
その時。
ゴゴゴゴ……
リングの床が開く。
アイテムボックス。
実況。
「きたぁぁぁぁぁ!!」
「第一アイテムボックス!!」
バリントンが飛び付く。
箱を開けた。
中から現れたのは。
拳銃。
観客。
「銃だぁぁぁ!!」
実況。
「大当たり!!」
「拳銃です!!」
バリントンはニヤリと笑う。
銃口をユーマへ向けた。
「終わりだ。」
パン!!
乾いた銃声。
ユーマは咄嗟に横へ跳ぶ。
弾丸が頬をかすめる。
パン!!
パン!!
パン!!
連続で放たれる銃弾。
ユーマは風歩で避け続ける。
「くっ!」
「速ぇ!!」
パン!!
パン!!
攻撃する隙がない。
避けるだけで精一杯だった。
実況が興奮して叫ぶ。
「まさかの展開!!」
「拳だけでは圧倒していたユーマ選手!!」
「しかし!!」
「アイテム一つで戦況がひっくり返ったぁぁぁぁ!!」
ユーマは歯を食いしばる。
「武器ガチャかよ……。」
「厄介だな。」
その時。
リングの床が。
再びゆっくりと開き始めた。
第二のアイテムボックスが。
ユーマの目の前へ現れる――。




