第145話 『最初のゲーム』
「お客様。」
「ゲームはいかがですか?」
ディーラーが深々と頭を下げる。
ユーマはニヤリと笑った。
「その前に。」
「ちょっと会いたい奴がいる。」
そう言って。
一直線にカジノの奥へ歩き出した。
「あ、おい!」
リリムが慌てて追いかける。
その先。
黄金の階段。
最上階。
誰が見ても分かる。
一番豪華なVIPルーム。
ガラス越しに一人の男が座っていた。
金色のスーツ。
羽毛をあしらった豪華なマント。
ワイングラスを片手に。
足を組み。
街を見下ろしている。
楽の番人。
ユーマは拳を握った。
「あいつだ。」
レイの表情も変わる。
「バンを殺した奴。」
ロキ。
「……。」
ユーマは走り出した。
「てめぇぇぇぇぇ!!!!」
その瞬間。
ザッ!!
黒服のスタッフが一斉に立ちはだかる。
「申し訳ございません。」
「こちらより先は立入禁止です。」
ユーマ。
「どけ!!」
スタッフ。
「できません。」
ユーマ。
「ぶっ飛ばすぞ!!」
スタッフは表情一つ変えない。
「それでも通されるのであれば。」
「全スタッフで対応いたします。」
その数。
数十人。
全員が武装していた。
その時だった。
パチン。
指を鳴らす音。
楽の番人がこちらを見る。
そして。
ニコリと笑った。
「おや。」
「人間の皆さん。」
「元気そうですねぇ。」
ユーマ。
「てめぇ!!」
「バンを殺しやがって!!」
楽の番人はワイングラスを揺らした。
「えぇ。」
「あれは少々遊び過ぎました。」
「反省しております。」
全く反省している顔ではない。
ユーマ。
「今すぐ降りてこい!!」
「ぶっ飛ばしてやる!!」
楽の番人は笑う。
「私と?」
「勝負したいんですか?」
ユーマ。
「当たり前だ!!」
楽の番人は立ち上がる。
「もちろん構いません。」
「ですが。」
指を一本立てた。
「この街には。」
「ルールがあります。」
ユーマ。
「ルール?」
楽の番人。
「私は。」
「JPステージ。」
「つまり。」
「ジャックポット。」
「最後のゲームです。」
「私へ挑戦するには。」
「1000万ゴールド。」
「集めてください。」
「それが。」
「グランドカジノのルールですよ。」
ユーマ。
「1000万だぁ!?」
リリム。
「無茶苦茶じゃない!」
楽の番人は微笑む。
「ルールも守れない方とは。」
「遊べません。」
パチン。
再び指を鳴らす。
金色の光が舞う。
そして。
楽の番人の姿は消えた。
ユーマ。
「逃げやがった!!」
スタッフ達は一斉に頭を下げる。
「それでは。」
「ゲームをお楽しみください。」
ユーマは舌打ちした。
「くっそ……。」
レイが肩を叩く。
「まずは1000万だ。」
ロキ。
「やるしかねぇ。」
その時。
ディーラーが歩み寄ってくる。
「お客様。」
「初めての方にはこちらがおすすめです。」
指差した先。
『ハイ&ロー』
ユーマ。
「ハイアンドロー?」
ディーラーはカードを取り出す。
「ルールは非常に簡単です。」
一枚のカードをめくる。
『5』
「現在の数字は5。」
「次のカードが。」
「これより高いか。」
「低いか。」
「当てるだけ。」
ユーマ。
「それだけ?」
「めっちゃ簡単じゃねぇか!」
ディーラー。
「その通りです。」
「初心者向けですね。」
レイ。
「運だけだな。」
ロキ。
「だからこの街なんだろ。」
ディーラーが微笑む。
「最低ベット。」
「1000ゴールド。」
ユーマは残金を見る。
10000ゴールド。
「よし。」
「1000ゴールド賭ける!!」
ディーラー。
「ありがとうございます。」
カードは5。
ユーマは考える。
「5なら……。」
「高い!!」
ディーラー。
「Highですね。」
カードをめくる。
『8』
ディーラー。
「High。」
「おめでとうございます。」
チャリン。
2000ゴールド。
ユーマ。
「おっしゃぁぁぁ!!」
リリム。
「勝った!」
レイ。
「まずは一勝。」
ユーマは笑いが止まらない。
「簡単じゃねぇか!!」
ディーラー。
「続けられますか?」
ユーマはニヤリと笑う。
「もちろん。」
「もう一回だ!!」
欲望の街。
ゴールドラッシュ。
その誘惑は。
静かに。
ユーマ達へ牙を剥き始めていた。




