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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
金と欲望の街 ゴールドラッシュ編

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144/153

第144話 『人生を賭ける場所』

ギィィィィ……


巨大な黄金の扉がゆっくり開く。


ユーマ達は一歩足を踏み入れた。


「うわぁ……。」


思わず声が漏れる。


天井には巨大なシャンデリア。


壁には金細工。


床には真っ赤な絨毯。


どこを見ても高級感しかない。


生演奏まで流れている。


「すっげぇ……。」


ユーマは辺りを見渡した。


スーツ姿の男達。


豪華なドレスを着た女性達。


笑顔。


歓声。


拍手。


まるで王宮の舞踏会だった。


「これ全部ギャンブルなのか……。」


リリムも目を丸くする。


「おしゃれなところね。」


レイ。


「酒も料理も一流だな。」


ロキ。


「本当にカジノか?」


その時だった。


「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


一人の男が立ち上がる。


周囲から拍手が起きた。


「すげぇ!!」


「当てやがった!!」


美女達が男の元へ駆け寄る。


「おめでとうございます♡」


「500万ゴールド獲得です♡」


ジャラジャラジャラ!!


黄金のコインが山積みにされる。


男は笑いが止まらない。


「やった……!!」


「やったぞぉぉぉぉ!!!!」


ユーマ。


「500万……。」


リリム。


「夢あるじゃん!!」


レイ。


「一気に人生逆転か。」


ロキ。


「悪くねぇ。」


ユーマは拳を握る。


「よし!」


「俺も500万稼ぐぞ!!」


その瞬間だった。


「…………。」


少し離れたテーブル。


一人の男が膝をついていた。


顔面蒼白。


震えている。


「う……。」


「うそだ……。」


「終わった……。」


静かに二人の黒服が近付く。


「お客様。」


「現在の借金。」


紙を見る。


「一億二千万ゴールドになります。」


男。


「ま、待ってくれ……。」


「次なら勝てる……。」


「絶対取り返せる!!」


黒服。


「規則です。」


「地下帝国へご案内いたします。」


男は叫ぶ。


「嫌だ!!」


「まだ勝てる!!」


「あと一回だけ!!」


「頼む!!」


必死に床へしがみつく。


しかし。


ズルズルズル……


黒服は容赦なく引きずっていく。


「離せぇぇぇぇ!!!!」


「俺は負けてねぇぇぇぇ!!!!」


「まだ終わってねぇぇぇぇ!!!!」


叫び声だけが響いた。


そして。


静かになった。


ユーマは呆然と立っていた。


「お、おい……。」


「誰か助けねぇのかよ……。」


周囲を見る。


誰も見ていない。


いや。


見慣れていた。


ゲームを続ける者。


酒を飲む者。


笑う者。


さっきまで男が座っていた席。


もう次の客が腰を掛けていた。


何事もなかったかのように。


ディーラーが笑顔で言う。


「それでは次のゲームを始めます。」


カランッ。


ボールが回る。


歓声。


笑い声。


さっきの男など。


最初から存在しなかったように。


ユーマは信じられなかった。


「なんだよ……。」


「この街……。」


店員が近付いてくる。


「何かございましたか?」


ユーマ。


「あいつ!」


「あんな目に遭ってんだぞ!?」


店員は首を傾げた。


「ですが?」


ユーマ。


「ですがって……。」


店員は微笑む。


「ルールに負けただけです。」


「それだけですよ。」


ユーマは言葉を失った。


リリムも辺りを見回す。


「あいつら……。」


「今の見たよね……?」


レイ。


「ああ。」


リリム。


「なんで普通に遊べるの?」


セフィが静かに答えた。


「慣れるんです。」


全員がセフィを見る。


「毎日見ていれば。」


「これが普通になります。」


ゾッとした。


この街では。


人生が終わることさえ。


日常だった。


ユーマは巨大なカジノを見渡す。


笑う者。


泣く者。


夢を見る者。


絶望する者。


全員が。


ゴールドに人生を賭けていた。


ユーマは小さく笑う。


「でもよ。」


拳を握る。


「俺なら勝てる。」


レイは即答した。


「死亡フラグだな。」


ロキ。


「間違いねぇ。」


リリム。


「地下帝国予約ね。」


セフィ。


「私もそう思います。」


ユーマ。


「お前らぁぁぁぁぁ!!」


その声を聞いても。


誰一人振り向かない。


この街では。


誰かの人生など。


誰も興味がなかった。


その時。


一人のディーラーがユーマ達へ微笑んだ。


「お客様。」


「最初のゲームはいかがですか?」


ユーマ達は顔を見合わせる。


欲望の街。


ゴールドラッシュ。


いよいよ。


人生を賭けたゲームが始まろうとしていた。

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