第143話 『ドレスコード』
「よし!!」
ユーマは立ち上がった。
「じゃあそのグランドカジノってところに行くか!!」
ギルド長。
「待て。」
ユーマ。
「ん?」
ギルド長はユーマ達を上から下まで見た。
そして。
大きくため息を吐いた。
「その格好で行くつもりか?」
ユーマ。
「何が悪い。」
ギルド長。
「全部だ。」
即答だった。
ユーマ。
「はぁ!?」
レイ。
「どういうことだ?」
ギルド長。
「ドレスコードも知らんのか。」
ロキ。
「ドレスコード?」
ギルド長。
「グランドカジノではな。」
指を立てる。
「男はスーツ。」
「女はドレス。」
「それ以外は入場禁止だ。」
ユーマ。
「持ってねぇよ!!」
ギルド長。
「買え。」
ユーマ。
「高いだろ!!」
ギルド長はニヤリと笑った。
「街で買うとな。」
「俺のところなら安いぞ。」
ユーマ。
「なんか怪しいな・・・。」
数分後。
ギルドの奥の更衣室。
そして。
ドォォォォォン!!
ユーマ。
黒のスーツ。
赤いネクタイ。
長いコートを羽織っている。
レイ。
青を基調としたスーツ。
氷の結晶を模した銀の装飾。
ロキ。
黒紫のスーツ。
怪しさ満点。
裏社会のボスみたいだった。
リリム。
真紅のドレス。
肩を出したデザイン。
炎のような模様が入っている。
セフィ。
小さな妖精用ドレス。
本人は満更でもなさそうだった。
全員。
見違えるほど格好良かった。
ユーマ。
「どうだ。」
レイ。
「悪くない。」
ロキ。
「似合ってるな。」
リリム。
「私は嫌。」
ユーマ。
「なんでだよ。」
リリム。
「動きにくい。」
ギルド長は腕を組む。
「なかなか様になってるじゃねぇか。」
ユーマ。
「・・・。」
沈黙。
そして。
ユーマ。
「くっそぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ギルド長。
「どうした。」
ユーマ。
「何が安いだよ!!」
袋を振り回す。
「五万ゴールドもしたじゃねぇか!!」
「ぼったくりオヤジがぁぁぁぁぁ!!」
ギルド長。
「安いだろ。」
ユーマ。
「どこがだ!!」
残金。
一万ゴールド。
リリム。
「私もこんな格好嫌だ!!」
「おっさん!金返せ!!」
ギルド長。
「返さん。」
ロキ。
「落ち着け。」
レイ。
「これがないと始まらないんだろ。」
ギルド長は少し真面目な顔になる。
「一つだけ忠告してやる。」
ユーマ。
「なんだよ。」
ギルド長。
「ギャンブルは引き時が大事だ。」
空気が少し変わる。
ギルド長。
「勝っても。」
「負けても。」
「まだいける。」
「次で取り返せる。」
「そう思った時点で終わりだ。」
ユーマ達は黙って聞く。
ギルド長。
「グランドカジノでは。」
「一瞬で金持ちになれる。」
「だが。」
「破滅するのも一瞬だ。」
ユーマ。
「破滅したらどうなるんだよ?」
ギルド長。
「地下帝国送りだ。」
全員が顔を上げる。
ギルド長。
「借金が返せるまで働かされる。」
リリム。
「それなら返せばいいじゃない。」
ギルド長は鼻で笑った。
「普通の借金ならな。」
「だが。」
「グランドカジノでできる借金は桁が違う。」
「普通に働いて返せる額じゃねぇ。」
ユーマ。
「どれくらいだよ。」
ギルド長。
「億単位。」
沈黙。
レイ。
「・・・。」
ロキ。
「終わってんな。」
ギルド長。
「多くの人間は地下帝国で一生を終える。」
「死ぬまで働いても返せねぇ。」
リリムはユーマを見る。
そして真顔で言った。
「ユーマ。」
ユーマ。
「ん?」
リリム。
「お前地下帝国行ってこい。」
ユーマ。
「なんでだよ!!」
レイ。
「向いてる。」
ロキ。
「才能あるな。」
セフィ。
「適性ありますね。」
ユーマ。
「お前らぁぁぁぁぁ!!!」
ギルド長は笑う。
「まぁせいぜい気を付けることだ。」
「ゴールドラッシュでは。」
「夢を見るのは自由だ。」
「だが。」
「夢を見る代償は高いぞ。」
ユーマ達はギルドを出た。
そして。
目の前に現れる。
巨大な建物。
いや。
もはや城だった。
黄金の柱。
宝石で彩られた壁。
眩い光。
何百人もの客が出入りしている。
入口には豪華な赤い絨毯。
上を見上げる。
巨大な看板。
『ゴールドラッシュ・グランドカジノ』
ユーマは思わず息を呑んだ。
「でっけぇ・・・。」
リリム。
「これ全部カジノ?」
レイ。
「信じられんな。」
ロキ。
「嫌な予感しかしねぇ。」
セフィ。
「ここから始まるんですね。」
ユーマはニヤリと笑った。
残金一万ゴールド。
だが。
本人は全く気にしていない。
「よーし!!」
拳を握る。
「一攫千金だ!!」
そして一行は。
巨大なカジノの扉へと足を踏み入れた。




