第13話 『旅立ちの日』
前回、ユーマはレベル3ゴブリンとの戦いに勝利!
レベル5へ到達し、ガルドから最終試験合格を告げられました。
そして次なる目的地は――ギルド。
ついにミスト村を旅立つ時がやってきます。
それでは第13話をお楽しみください。
翌朝。
俺はガルドと一緒に村の外れへ向かっていた。
「で。」
俺は聞く。
「ギルドって何なんだ?」
ガルドは少しだけ驚いた顔をした。
「知らんのか。」
「異世界初心者だからな。」
「意味が分からん。」
「俺も分からん。」
ガルドはため息を吐いた。
「まあ見れば分かる。」
そう言って前を指差す。
森を抜けた先。
木造の大きな建物が見えた。
看板には大きく文字が書かれている。
ギルド。
「おお。」
思わず声が漏れた。
もっと巨大な城みたいなものを想像していた。
意外と普通だ。
「入るぞ。」
ガルドが扉を開けた。
中には多くの人がいた。
剣を持つ男。
槍を持つ女。
ローブ姿の老人。
酒を飲んでいる大男。
様々だ。
「おぉ……。」
完全にRPGだ。
ちょっと感動した。
「受付はあっちだ。」
ガルドが指差す。
俺は慌てて付いていく。
受付には大柄な男性が座っていた。
髭面。
強そう。
怖そう。
「おう。」
男が言う。
「新人か。」
「そうらしい。」
俺は答えた。
「そうらしいってなんだ。」
ガルドが呆れている。
男は書類を取り出した。
「名前。」
「ユーマ・カミサキ。」
「レベル。」
「5。」
男は頷いた。
「問題なし。」
早い。
めちゃくちゃ早い。
登録はすぐ終わった。
木製の小さなプレートを渡される。
表には名前。
裏にはレベル。
冒険者証らしい。
「失くすなよ。」
「はい。」
俺は大事にしまった。
「ところで。」
俺は聞いた。
「ギルドって結局何なんだ?」
受付の男は笑った。
「新人らしい質問だな。」
「そうなのか?」
「ああ。」
男はギルドの中を見渡した。
「ここは冒険者の拠点だ。」
「拠点?」
「情報を集める。」
「武器を買う。」
「防具を買う。」
「仲間を探す。」
「休む。」
「街へ向かう準備をする。」
「そういう場所だ。」
なるほど。
思っていたのとは少し違う。
だが。
確かにその方が便利そうだった。
「各街にもギルドはある。」
受付の男が続ける。
「困ったらギルドへ行け。」
「なるほど。」
「大体なんとかなる。」
雑だな。
でも嫌いじゃない。
その時だった。
ふと視線を感じた。
横を見る。
一人の少女がいた。
黒いフード。
赤い髪だけが少し見えている。
俺と同じくらいの年齢だろうか。
壁にもたれながらこちらを見ていた。
目が合う。
その瞬間。
少し驚いた。
鋭い目だった。
まるで野良猫みたいな警戒心。
近寄るなと言っているような目。
でも。
瞳だけは不思議だった。
綺麗だった。
吸い込まれそうなくらい。
赤とも金とも見える不思議な色。
なぜだろう。
初めて会ったはずなのに。
少しだけ目が離せなかった。
だが。
少女はすぐに視線を逸らす。
そして何事もなかったように歩き去っていった。
「なんだあいつ。」
俺は思わず呟く。
「見てましたね。」
セフィが言う。
「見てねぇ。」
「見てました。」
「見てねぇって。」
「三秒くらい見てました。」
「数えるな。」
気付けば少女の姿は消えていた。
不思議な奴だった。
ギルドを出る。
するとガルドが何かを差し出してきた。
剣だった。
鉄の剣。
鞘付き。
ちゃんとした武器。
俺は目を丸くする。
「これ。」
「持っていけ。」
ガルドが言った。
「卒業祝いだ。」
俺はしばらく言葉が出なかった。
「いいのか?」
「レベル5にもなったのに竹刀じゃ格好つかん。」
俺は剣を受け取る。
重い。
でも。
不思議と手に馴染む。
「ありがとう。」
ガルドは鼻で笑った。
「死ぬなよ。」
それだけだった。
でも。
それがガルドらしかった。
村へ戻る。
旅支度を終える。
荷物は少ない。
鉄の剣。
着替え。
少しの食料。
それだけだ。
村の入口へ向かう。
そこにはアリスがいた。
「来ると思った。」
俺は笑う。
「私も。」
アリスが笑う。
少しだけ沈黙。
「もう行くんだね。」
「ああ。」
「早いなぁ。」
「そうか?」
「うん。」
アリスは少し寂しそうだった。
「ちゃんと帰ってきてね。」
「当たり前だろ。」
「約束。」
俺は頷く。
「約束だ。」
アリスは安心したように笑った。
「行ってらっしゃい。」
「ああ。」
「行ってくる。」
俺は歩き出した。
後ろは振り返らない。
振り返ったら。
なんとなく行けなくなる気がしたからだ。
「セーブしますか?」
セフィが聞く。
「ああ。」
緑色の光が舞う。
「あと。」
「なんだ。」
「失恋する前に戻れますね。」
「うるせぇ。」
本当に腹立つ妖精だった。
ミスト村が少しずつ小さくなっていく。
俺は鉄の剣を握った。
レベル5。
冒険者。
風属性。
そして。
魔王討伐。
俺の物語は。
ここから始まる。
第13話を読んでいただきありがとうございました!
ミスト村編完結です!
次回から第一の街編スタート!
そしてギルドで見かけた謎の少女との再会もあるかもしれません。
ユーマの冒険はここから本格的に始まります!




