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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
氷戦の街 グラディア編

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123/153

第123話 『悪災』

「見つけた。」


悪魔の視線。


その先にいるのは。


怒の番人。


観客席最上段。


巨大な身体。


圧倒的な存在感。


怒の番人は腕を組んだまま動かない。


ただ。


静かに見ていた。


悪魔は笑う。


「ククク・・・。」


「面白い。」


「実に面白い。」


グランが歯を食いしばる。


「てめぇ・・・!」


悪魔は首を傾げる。


「あ?」


まるで今気付いたかのように。


グランを見る。


「まだいたのか。」


その言葉。


観客席が静まり返る。


怒の番人第一弟子。


本来なら優勝候補。


その男が。


完全に格下扱いされていた。


グランが吠える。


「ふざけるなぁぁぁ!!」


全身の魔力を解放する。


地面が砕ける。


戦斧が唸る。


最後の一撃。


全てを込めた渾身の攻撃。


「砕けろぉぉぉ!!」


戦斧が振り下ろされる。


悪魔は避けない。


防がない。


ただ。


右手を上げた。


パシッ。


止まった。


巨大な戦斧が。


片手で。


観客席から悲鳴が上がる。


グラン自身も目を見開く。


「な・・・。」


悪魔は笑った。


「遅い。」


ドゴォォォォォン!!


黒雷。


グランの身体が吹き飛ぶ。


壁へ激突。


さらに貫通。


闘技場外まで飛ばされた。


実況が震える声で叫ぶ。


「グ・・・グラン選手戦闘不能ォォォ!!」


だが。


誰も歓声を上げない。


勝敗などどうでもよかった。


全員が感じている。


何かがおかしい。


目の前にいる存在が。


危険すぎる。


悪魔は実況へ視線を向けた。


実況が凍り付く。


「ひっ・・・。」


悪魔は笑う。


「安心しろ。」


「お前は興味ねぇ。」


そして。


空を見上げる。


怒の番人。


そこしか見ていない。


ロキの声が響く。


『やめろ・・・。』


『頼む・・・。』


悪魔。


「うるせぇな。」


『身体を返せ。』


「嫌だ。」


『これは俺の身体だ。』


悪魔は笑う。


「違う。」


「もう半分は俺のだ。」


黒雷が膨れ上がる。


ロキの悲鳴が響く。


だが。


誰にも聞こえない。


聞こえるのは悪魔だけ。


悪魔はケラケラ笑う。


「お前さ。」


「俺を呼んだのは誰だ?」


『・・・。』


「力が欲しかったんだろ?」


『・・・。』


「復讐したかったんだろ?」


『・・・。』


「なら最後まで責任持て。」


ロキは何も言えなかった。


悪魔は満足そうに笑う。


そして。


怒の番人を見る。


「待ってろ。」


「今行く。」


その瞬間。


黒雷が天へ伸びた。


ドォォォォォォォォォン!!


闘技場全体が揺れる。


観客席から悲鳴。


観客達が逃げ始める。


実況も机を捨てて走った。


大会は完全に崩壊した。


ユーマが立ち上がる。


「ロキ!!」


叫ぶ。


だが。


悪魔は振り返らない。


もう聞いていない。


レイが剣を抜く。


「止めるぞ。」


ユーマ。


「勝てるのかよ。」


レイは少し黙る。


そして。


正直に答えた。


「分からん。」


その答えに。


ユーマは拳を握った。


闘技場の中央。


悪魔は笑う。


怒の番人を見ながら。


まるで。


長年探していた獲物を見つけたかのように。

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