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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
氷戦の街 グラディア編

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第122話 『邪魔者』

「よう。」


ニヤリ。


「邪魔者。」


グランの背筋が凍る。


目の前にいるのはロキだった。


見た目は。


だが。


中身が違う。


本能が警鐘を鳴らしていた。


危険。


逃げろ。


戦うな。


それでもグランは怒の番人第一弟子。


戦士だった。


戦斧を構える。


「ふざけるな。」


「何者だ。」


ロキは首を傾げる。


「何者?」


そして笑った。


「さぁな。」


「俺も知らねぇ。」


黒雷が指先で弾ける。


「だが。」


「お前より強いことだけは確かだ。」


グランが地面を蹴る。


速い。


今までと同じなら。


ロキは反応できない。


だが。


今回は違った。


ロキは動かない。


避けない。


防がない。


グランの戦斧が振り下ろされる。


その瞬間。


黒雷。


ドォォォォォン!!


グランが吹き飛んだ。


観客席が静まり返る。


誰も何が起きたのか分からない。


ユーマですら見えなかった。


「は・・・?」


レイの表情が険しくなる。


「まずい。」


ロキはゆっくり歩く。


グランへ。


グランは起き上がる。


口から血を吐きながら。


「馬鹿な・・・。」


「今何を・・・。」


ロキは笑う。


「知らねぇ方が幸せだぜ?」


次の瞬間。


消えた。


グランの目の前。


黒雷を纏った拳。


ドゴォォォォォン!!


グランの身体が地面へ叩きつけられる。


闘技場が陥没した。


実況も言葉を失う。


怒の番人第一弟子。


その強者が。


全く相手になっていない。


ロキはグランの首を掴む。


持ち上げる。


グランは抵抗する。


だが。


力が入らない。


ロキはその目を覗き込む。


「弱いな。」


グラン。


「ぐっ・・・。」


ロキ。


「お前本当に弟子か?」


グランの額に青筋が浮く。


だが何もできない。


圧倒的だった。


その時。


ロキの身体の奥から声が聞こえる。


ロキだった。


『やめろ・・・。』


悪魔が笑う。


「お?」


『やめろ・・・。』


「まだいたのか。」


『身体を返せ・・・。』


悪魔はケラケラ笑う。


「嫌だね。」


「せっかく面白くなってきたんだ。」


黒雷がさらに膨れ上がる。


観客席にも恐怖が広がる。


ユーマは立ち上がる。


「おい・・・。」


「ロキじゃねぇ・・・。」


レイも頷く。


「ああ。」


「もうロキじゃない。」


悪魔は観客席を見上げた。


そして。


ユーマを見つける。


目が合う。


ニヤリ。


「お前。」


「面白そうだな。」


ユーマの背筋が凍った。


悪魔は笑う。


そして視線を移した。


その先。


観客席最上段。


怒の番人。


番人もまた。


静かにこちらを見ていた。


悪魔の笑みが深くなる。


「見つけた。」


「お前だな。」


闘技場の空気が変わる。


誰もが理解した。


もう大会どころじゃない。


何かが始まろうとしていることを。

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