第117話 『倒せない』
そして試合は進み。
ついに準々決勝まできたユーマたち。
『準々決勝第一試合ィィィィィ!!』
実況の声が闘技場へ響く。
観客席も大盛り上がりだった。
ベスト8。
ここから先は本物の強者しか残っていない。
実況が叫ぶ。
『風の剣士!!』
『ユーマァァァァァ!!』
歓声。
ユーマが闘技場へ現れる。
カゼマサを肩に担ぎながら歩く。
そして。
対戦相手側を見る。
実況。
『対するはぁぁぁ!!』
『謎の少女!!』
『ミーシャァァァァァ!!』
観客席が沸く。
そして。
小さな少女が現れた。
ツインテール。
小柄。
可愛らしい服装。
どう見ても子供だった。
ユーマ。
「・・・。」
沈黙。
実況。
『ミーシャ選手!!』
『レベル58!!』
ユーマ。
「高っ!?」
会場から笑いが起きる。
ユーマはミーシャを見る。
ミーシャも見上げる。
にこっ。
可愛い。
どう見ても子供。
ユーマ。
「いやいやいや。」
「おかしいだろ。」
実況。
『それでは!!』
『試合開始ィィィィィ!!』
ゴング。
ミーシャが走る。
速い。
意外と速い。
ユーマも驚く。
「おっ。」
カゼマサを構える。
だが。
ミーシャは目の前まで来ると。
急に立ち止まった。
そして。
ウルウルした目で見上げる。
「お兄ちゃん・・・。」
ユーマ。
「ん?」
ミーシャ。
「やめて?」
ウルウル。
ユーマ。
「・・・。」
沈黙。
観客席。
「やれぇぇぇ!!」
「斬れぇぇぇ!!」
ユーマ。
「無理だろ。」
会場爆笑。
再開。
ミーシャが氷魔法を放つ。
氷の槍。
ユーマが避ける。
「普通に強ぇじゃねぇか!」
そして。
今度こそ攻撃しようとする。
カゼマサを振り上げる。
だが。
ミーシャ。
「ひっ・・・。」
涙目。
「お兄ちゃん・・・。」
「痛いのやだ・・・。」
ユーマ。
「ぐっ・・・。」
止まる。
観客席。
「甘ぇぇぇ!!」
「やれぇぇぇ!!」
ユーマ。
「お前ら鬼か!?」
会場爆笑。
さらに数分後。
ユーマは追い詰めていた。
あと一歩。
本当にあと一歩。
勝てる。
だが。
ミーシャはぺたんと座り込んだ。
そして。
涙を浮かべる。
「お兄ちゃん・・・。」
「怖い・・・。」
ユーマ。
「うっ・・・。」
ミーシャ。
「やめて?」
上目遣い。
ウルウル。
ユーマ。
「・・・。」
カゼマサを下ろす。
実況。
『おぉっと!?』
ユーマ。
「無理。」
観客席。
「はぁぁぁ!?」
ユーマ。
「無理だって!!」
「俺の負けだ!」
実況。
『まさかのぉぉぉぉ!!』
『棄権宣言だぁぁぁぁ!!』
観客席大ブーイング。
ユーマ。
「だって子供だぞ!?」
「お前ら正気か!?」
リリム。
「馬鹿ね。」
ルア。
「馬鹿ね。」
レイ。
「馬鹿だな。」
全員一致だった。
ユーマは肩を落とす。
「負けた・・・。」
実況。
『勝者!!』
『ミーシャァァァァァ!!』
歓声。
ミーシャが立ち上がる。
そして。
ニヤリ。
笑った。
ユーマ。
「ん?」
次の瞬間。
ボンッ!!
煙。
会場が静まる。
煙が晴れる。
そこにいたのは。
筋肉ムキムキ。
髭面。
四十代くらいの大男。
ユーマ。
「・・・。」
沈黙。
男は低い声で笑った。
「悪いな坊主。」
「これも戦略だ。」
ユーマ。
「・・・。」
数秒停止。
そして。
闘技場中に響く声で叫んだ。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
観客席大爆笑。
リリムは腹を抱えている。
ルアも珍しく声を出して笑った。
レイですら口元を押さえている。
ユーマ。
「先に言えよぉぉぉぉぉぉ!!」
男。
「聞かれなかったからな。」
ユーマ。
「聞くわけねぇだろ!!」
会場は笑いに包まれた。
そして。
実況が叫ぶ。
『続いて準々決勝第二試合!!』
『リリムゥゥゥ!!』
『ルアァァァァァ!!』
観客席がさらに沸く。
炎と炎。
因縁の対決が。
ついに始まろうとしていた。




