第116話 『炎と嫉妬』
『続いて第六試合ィィィィィ!!』
実況の声が響く。
観客席も盛り上がっている。
先程のロキの試合。
その余韻はまだ残っていた。
だが。
氷闘祭は止まらない。
『炎のガンナー!!』
『リリムゥゥゥゥゥ!!』
歓声。
リリムが闘技場へ現れる。
赤髪が揺れる。
腰には愛用の二丁拳銃。
Fire Eagle。
背中には大型ライフル。
AK2020。
堂々とした足取りで中央へ向かう。
対戦相手は大柄な剣士。
バルク。
レベル55。
本戦出場者らしい強者だった。
実況。
『試合開始ィィィィィ!!』
ゴングが鳴る。
バルクが突撃する。
大剣を振り上げる。
「うおぉぉぉぉ!!」
だが。
リリムはため息を吐いた。
「遅い。」
指を鳴らす。
「フレアブースト。」
炎が身体を包む。
身体能力が一気に上昇する。
次の瞬間。
消えた。
バルク。
「なっ!?」
気付いた時には背後。
リリムは腰のFire Eagleを抜いていた。
「バイバイ。」
パンッ!!
たった一発。
ドォォォォォン!!
バルクが吹き飛ぶ。
闘技場の壁へ激突。
そのまま気絶。
沈黙。
実況。
『はやぁぁぁぁぁい!!』
『勝者ァァァァァ!!』
『リリムゥゥゥゥゥ!!』
歓声。
ユーマも思わず立ち上がる。
「はえぇ・・・。」
レイも頷く。
「本気ですらないな。」
リリムは銃をくるりと回してホルスターへ戻した。
「雑魚だったわね。」
試合時間。
十数秒。
圧勝だった。
『続いて第七試合ィィィィィ!!』
観客席が再び沸く。
『炎姫!!』
『漆黒の美女!!』
『ルアァァァァァ!!』
大歓声。
ルアが闘技場へ現れる。
長い黒髪。
妖艶な笑み。
圧倒的な存在感。
男達の歓声が飛ぶ。
「ルアさぁぁぁん!!」
「愛してるぅぅぅ!!」
「結婚してくれぇぇぇ!!」
ユーマ。
「人気すげぇな。」
リリム。
「うるさいわね。」
機嫌が悪そうだった。
対戦相手は魔法使い。
だが。
結果は最初から決まっていた。
実況。
『試合開始ィィィィ!!』
魔法使いが杖を掲げる。
しかし。
ルアは手を前へ出した。
「邪魔。」
黒に近い深紅の炎。
ドォォォォォォン!!
巨大な爆発。
魔法使いは吹き飛び。
そのまま場外。
実況。
『勝者ァァァァァ!!』
『ルアァァァァァ!!』
歓声が響く。
圧勝。
ルアは黒髪をかき上げる。
そして。
観客席を見上げた。
正確には。
ユーマを。
ニヤリ。
嫌な予感がした。
ルア。
「ユーマ。」
ユーマ。
「ん?」
ルアは微笑む。
「私が優勝したら。」
少し間を置く。
「彼氏にしてあげてもいいわよ?」
観客席。
「おおおおおおおおお!!」
「羨ましいぞぉぉぉ!!」
「代われぇぇぇ!!」
ユーマ。
「え?」
固まる。
「マジで?」
ルアは肩をすくめる。
「光栄に思いなさい。」
「私に選ばれるんだから。」
観客席がさらに盛り上がる。
ユーマ。
「お、おぉ・・・。」
ルアはさらに続けた。
視線はリリムへ。
「それに。」
「隣のお子ちゃまの。」
「ファイヤーガールより。」
ニヤリ。
「私を見ておきなさい。」
ピクッ。
リリムの眉が動く。
「あ?」
ルアは楽しそうだった。
「強い男には。」
「強い女がお似合いでしょ?」
ユーマ。
「いや俺まだ何も――」
その瞬間。
なんか熱い。
ユーマ。
「ん?」
お尻が熱い。
「なんか尻熱くね?」
さらに熱い。
「あれ?」
振り返る。
リリム。
満面の笑み。
指先から炎。
「気のせいじゃない?」
ユーマ。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!?」
お尻が燃えていた。
ユーマが飛び跳ねる。
「熱っ!!」
「熱い熱い熱い熱い!!」
観客席大爆笑。
リリムは笑顔だった。
「知らない。」
「勝手に燃えたんじゃない?」
ユーマ。
「勝手に燃えるかぁぁぁ!!」
ルアはクスクス笑う。
「ふふ。」
「分かりやすいわね。」
リリム。
「何が。」
ルア。
「別に?」
完全に煽っていた。
リリムの額に青筋が浮かぶ。
「気に食わない。」
ボソッと呟く。
ユーマ。
「聞こえてるぞ。」
リリム。
「別に。」
ルア。
「可愛い反応。」
リリム。
「燃やすわよ。」
ルア。
「やってみなさい。」
バチッ。
火花が散る。
ユーマはまだお尻を押さえていた。
「やめろやめろ。」
「横からユーマ取ろうとしてんじゃねぇ!」
リリム。
「誰も取ろうとしてない!!」
ルア。
「自意識過剰ね。」
ユーマ。
「ひでぇ!」
観客席は再び大爆笑。
レイは頭を押さえていた。
「騒がしいな・・・。」
ロキがいないからか。
少しだけ。
いつもの空気が戻っていた。
そして。
実況の声が再び響く。
『さぁ!!』
『次の試合へ参りましょう!!』
氷闘祭本戦。
まだまだ終わらない。




