表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
氷戦の街 グラディア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
115/153

第115話 『価値観の違い』

医務室。


静かな部屋だった。


先程までの歓声が嘘のように。


ロキはベッドで眠っている。


悪魔契約の代償。


魔力の枯渇。


そして肉体への負担。


医者はカルテを閉じた。


「命に別状はない。」


ユーマがほっと息を吐く。


「よかった。」


医者は続ける。


「だが。」


「魔力の消耗が異常だ。」


「普通なら死んでいてもおかしくない。」


部屋の空気が少し重くなる。


リリムも腕を組む。


ルアも真顔だった。


医者はロキを見る。


「あの力は二度と使わせるな。」


「命を削る。」


そう言い残し。


部屋を出ていった。


扉が閉まる。


静寂。


ユーマはロキを見る。


そして。


レイへ視線を向けた。


「なぁ。」


レイ。


「なんだ。」


「悪魔契約ってなんなんだ。」


レイは少し黙る。


そして。


静かに答えた。


「禁術だ。」


ユーマ。


「禁術。」


レイは頷く。


「悪魔契約。」


「力を借りる魔法じゃない。」


「自分自身を悪魔へ近付ける魔法だ。」


ユーマの表情が変わる。


リリムも眉をひそめた。


レイは続ける。


「一度使えば。」


「少しずつ侵食される。」


「そして。」


「戻れなくなる。」


沈黙。


ルアが目を閉じる。


「使ったのね・・・。」


小さな声だった。


「最悪だわ。」


ユーマは頭を抱える。


「馬鹿じゃねぇのか・・・。」


「なんでそんなもん使うんだよ。」


誰も答えなかった。


理由は全員知っている。


怒の番人。


復讐。


それだけだ。


その時だった。


「・・・。」


ベッドの上でロキが動く。


ゆっくりと目を開けた。


ユーマが立ち上がる。


「おっ。」


「起きたか。」


ロキは天井を見る。


数秒。


そして。


口を開いた。


「勝ったか。」


全員沈黙。


ユーマ。


「そこかよ。」


ロキは身体を起こす。


まだ少しふらついている。


だが。


気にしていない。


ユーマは椅子へ腰掛ける。


そして。


真面目な顔になった。


「ロキ。」


ロキ。


「なんだ。」


「お前。」


「アレック殺す気だっただろ。」


部屋が静まり返る。


ロキは少しだけ黙った。


そして。


答えた。


「だから何だ。」


その瞬間。


ユーマの顔が変わる。


「は?」


低い声。


リリムが驚く。


ルアも目を見開く。


ユーマが怒るのは珍しい。


だが。


今は違った。


「だから何だじゃねぇだろ!!」


医務室へ怒声が響く。


ロキもユーマを見る。


ユーマは立ち上がった。


「勝負は終わってた!!」


「アレックは負けてた!!」


「なんで殺そうとした!!」


ロキは答える。


迷いなく。


「弱いからだ。」


ユーマ。


「・・・。」


ロキ。


「負けたからだ。」


「この街はそういう場所だ。」


静かな声。


だが。


本気だった。


ユーマは拳を握る。


「違うだろ。」


ロキ。


「何がだ。」


ユーマ。


「強さってのはそんなもんじゃねぇだろ。」


ロキの表情が変わる。


少しだけ。


ほんの少しだけ。


苛立った。


「お前に何が分かる。」


ユーマ。


「分かる。」


ロキ。


「分からない。」


ロキは立ち上がる。


そして。


ユーマを見る。


真っ直ぐ。


「母親を殺されたことあるのか。」


沈黙。


ユーマは答えない。


答えられない。


ロキは続ける。


「ないだろ。」


「なら俺に説教するな。」


空気が凍る。


ユーマも言葉を失った。


ロキはそのまま歩き出す。


「俺は俺のやり方でやる。」


扉へ向かう。


誰も止めない。


止められない。


そして。


ロキは部屋を出ていった。


バタン。


扉が閉まる。


沈黙。


長い沈黙。


ユーマは椅子へ座る。


頭を掻く。


「なんだよ・・・。」


小さく呟いた。


「なんだよそれ・・・。」


リリムも何も言わない。


ルアも黙っている。


レイだけが静かだった。


だが。


その表情は暗い。


昔を思い出しているようだった。


その時。


闘技場から実況の声が響く。


『お待たせしましたぁぁぁ!!』


『続いての試合!!』


歓声。


拍手。


大熱狂。


実況が叫ぶ。


『炎のガンナー!!』


『リリムゥゥゥゥゥ!!』


リリムが立ち上がる。


いつもの笑顔。


「行ってくる。」


ユーマは顔を上げる。


「ああ。」


ルアがニヤリと笑った。


「負けないでよ。」


リリムも笑う。


「誰に言ってるの?」


そう言い残し。


医務室を後にする。


次なる戦いが始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ