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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
氷戦の街 グラディア編

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第114話 『悪魔契約』

闘技場が静まり返る。


誰も動けなかった。


ロキの身体から放たれる黒い雷。


禍々しい魔力。


先程までとは別人だった。


アレックが後退る。


本能が叫んでいた。


危険だと。


逃げろと。


ロキはゆっくり顔を上げる。


そして。


消えた。


「なっ――」


次の瞬間。


アレックの目の前。


ドォォォォォォォン!!


黒雷が炸裂した。


アレックの身体が吹き飛ぶ。


観客席が悲鳴を上げる。


「速い!!」


「見えなかった!!」


「なんだあれ!?」


ロキは止まらない。


黒雷を放つ。


一発。


二発。


三発。


闘技場が破壊されていく。


アレックは必死に大地の壁を展開する。


だが。


意味がなかった。


ドゴォォォォォン!!


大地壁が砕け散る。


「馬鹿な・・・!」


アレックの顔から余裕が消える。


ロキは言葉を発しない。


ただ。


攻撃する。


ただ。


破壊する。


ただ。


蹂躙する。


黒い雷が闘技場を駆け巡った。


ユーマは拳を握る。


「ロキ・・・。」


リリムも笑っていない。


ルアも真顔だった。


レイだけが冷静に見ている。


だが。


その表情は険しい。


アレックは膝をついた。


全身傷だらけ。


杖も折れている。


立つことすらできない。


勝負は終わっていた。


誰の目にも明らかだった。


だが。


ロキは止まらない。


黒雷を纏ったまま。


ゆっくりとアレックへ近付く。


アレックは動けない。


ロキはケラノウスを握る。


その刃へ黒雷が集まる。


観客席がざわつく。


「おい・・・。」


「まさか・・・。」


「やめろ・・・。」


ロキは振り上げる。


完全な殺意。


完全な暴走。


その瞬間だった。


ドォン!!


一つの影が闘技場へ飛び込んだ。


ユーマだった。


「ロキ!!」


続いて。


リリム。


ルア。


レイ。


四人同時。


観客席から飛び降りる。


まるで一瞬だった。


ユーマはロキの前へ立つ。


「もういいだろ!!」


怒鳴る。


「勝負はついてる!!」


ロキの瞳が揺れる。


だが。


止まらない。


黒雷がさらに膨れ上がる。


リリムが舌打ちした。


「完全に飛んでるわね。」


ルア。


「最悪。」


レイは何も言わない。


静かに近付く。


そして。


ロキの懐へ潜り込んだ。


ロキが反応する。


だが。


一瞬遅い。


レイは小瓶を取り出した。


眠り薬。


修行中から持ち歩いている非常用。


レイはそれをロキの口へ無理やり流し込む。


ロキの身体が震える。


黒雷が暴れる。


闘技場全体が揺れる。


ユーマ。


「効け・・・!」


数秒。


沈黙。


そして。


黒雷が消え始めた。


少しずつ。


少しずつ。


悪魔の紋様が消える。


翼も消える。


赤い瞳も元へ戻る。


ロキの身体から力が抜けた。


ガクッ。


倒れる。


ユーマが受け止めた。


ロキはもう起きていない。


静かな寝息だけが聞こえる。


観客席も静まり返っていた。


誰も声を出せない。


実況すら言葉を失っている。


そして。


しばらくして。


震える声で告げた。


『し・・・』


『勝者・・・』


沈黙。


『勝者ァァァァァァ!!』


『ロキィィィィィィィ!!』


歓声が爆発する。


だが。


ユーマ達は笑っていなかった。


アレックは救護班へ運ばれる。


ロキは眠ったまま。


ユーマはその顔を見る。


そして。


小さく呟いた。


「お前・・・。」


「何やってんだよ・・・。」


歓声の中。


誰も答えなかった。

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