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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
氷戦の街 グラディア編

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第113話 『禁じられた力』

「ロキ選手ダウゥゥゥン!!」


実況の声が響く。


観客席がざわつく。


「終わりか・・・?」


「まさかロキが・・・。」


「アレック強ぇ・・・。」


闘技場。


ロキは地面へ倒れていた。


身体は痛む。


視界もぼやける。


だが。


ロキは立ち上がろうとした。


その瞳に映るのは。


アレックではない。


怒の番人。


ただ一人。


それだけだった。


「まだだ・・・。」


ロキが呟く。


「俺は・・・。」


「まだ負けられねぇ・・・。」


アレックが杖を構える。


「終わりだ。」


「これ以上続けても――」


ロキは聞いていなかった。


ゆっくりと胸元へ手を入れる。


そして。


一冊の魔導書を取り出した。


黒い表紙。


不気味な紋章。


観客席がざわつく。


レイが目を細めた。


「・・・。」


ルアの表情も変わる。


「まさか。」


ロキは魔導書を開く。


ペラ。


ペラ。


ペラ。


ページをめくる。


アレックも警戒する。


観客席のユーマが叫ぶ。


「おいロキ!」


「何やってんだ!?」


返事はない。


ロキはただページを探していた。


そして。


一枚のページで手が止まる。


その瞬間――


脳裏に声が響いた。



修行時代。


雷鳴の谷。


大魔法使いの前。


若きロキが立っていた。


大魔法使いは険しい表情で言う。


「ロキよ。」


「この魔法はお前にはまだ早い。」


ロキ。


「なんでだよ。」


大魔法使い。


「コントロールできん。」


「心を飲まれる。」


「使うな。」


「いいな?」


ロキは鼻で笑った。


「誰がこんな野蛮な魔法使うかよ。」


「趣味悪すぎだろ。」


大魔法使い。


「絶対だぞ。」


「絶対に使うな。」



場面が現在へ戻る。


ロキは魔導書を見つめた。


そして。


小さく呟く。


「先生・・・。」


風が吹く。


「すまん。」


魔導書が黒く輝く。


アレックの顔色が変わる。


「何だ・・・?」


観客席も静まり返る。


ロキはゆっくりと詠唱した。


「悪魔契約。」


その瞬間だった。


ドォォォォォォォォォン!!!


黒い雷が天へ突き抜ける。


闘技場が揺れた。


観客席から悲鳴が上がる。


「な、なんだ!?」


「魔力だと!?」


「馬鹿な・・・!」


ロキの身体を黒雷が包み込む。


髪が逆立つ。


瞳が紅く染まる。


皮膚には黒い紋様。


背中から禍々しい雷の翼が広がった。


まるで。


悪魔。


そのものだった。


ユーマが立ち上がる。


「ロキ・・・。」


リリムも言葉を失う。


レイは険しい表情になる。


ルアが呟いた。


「最悪ね・・・。」


アレックが初めて後退る。


本能が告げていた。


危険だと。


絶対に近付いてはいけないと。


ロキはゆっくり顔を上げる。


その瞳には。


もう何も映っていなかった。


怒りだけが残っていた。

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