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レベル1の『〇〇』 〜あなたが選ぶ転生物語〜  作者: 矢部夏 泡太
氷戦の街 グラディア編

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第108話 『炎と炎』

ロキは振り返らなかった。


実況の歓声も。


観客の声も。


ユーマ達の存在すら。


今のロキには関係なかった。


ただ真っ直ぐ。


闘技場へ向かって歩いていく。


その背中を見送りながら。


ユーマは頭を掻いた。


「大丈夫かよ、あいつ。」


レイは小さく息を吐く。


「放っておけ。」


ユーマ。


「でもよ。」


レイ。


「今は何言っても聞かねぇよ。」


その言葉に。


全員が少しだけ黙った。


ロキの背中はもう見えなくなっていた。


ユーマは肩をすくめる。


「とりあえず。」


「俺達も勝ち星集めるか。」


リリムが笑う。


「そうね。」


「私はあと五勝。」


レイ。


「俺はあと二勝。」


ユーマ。


「お前早すぎるんだよ。」


ルア。


「私もあと五勝。」




数十分後。


グラディア中央市場。


予選参加者達があちこちで戦っている。


その中で。


三人の戦士がリリムの前へ立ちはだかった。


剣士。


盾使い。


そして魔法使い。


見るからに連携型。


剣士が笑う。


「女一人か。」


盾使い。


「楽勝だな。」


魔法使い。


「勝ち星いただき。」


リリムはため息を吐く。


「はぁ。」


そして。


ユーマ達を振り返った。


「見てなさい。」


ユーマ。


「おう。」


リリムは右手を前へ出す。


「フレアブースト。」


炎が灯る。


だが。


攻撃しない。


炎はそのまま。


リリム自身へ吸い込まれていく。


ユーマが首を傾げた。


「ん?」


リリムの身体が赤く輝く。


筋肉。


神経。


魔力。


全てが活性化される。


ドンッ!!


地面が砕ける。


次の瞬間。


リリムの姿が消えた。


剣士。


「なっ!?」


気付いた時には。


リリムは背後にいた。


回し蹴り。


ドゴォォォン!!


剣士が吹き飛ぶ。


ユーマ。


「速っ!?」


リリムは笑う。


「だから言ったでしょ。」


「私の炎は燃やすだけじゃない。」


今度は腰の銃を抜く。


Fire Eagle。


巨大な二丁拳銃。


「フレアブースト。」


炎が流れ込む。


銃身が赤く輝いた。


「銃も強化。」


パンッ!!


一発。


盾使いの盾が粉砕。


二発目。


盾使い戦闘不能。


魔法使いは顔を青くした。


「ば、化け物・・・!」


リリム。


「失礼ね。」


最後の一発。


パンッ!!


魔法使いも吹き飛んだ。


実況腕輪が反応する。


【リリム 3勝】


観客が沸く。


ユーマは目を丸くした。


「つえぇ・・・。」


レイも頷く。


「かなりな。」


リリムは髪をかき上げる。


「当然。」


少し得意げだった。




その時だった。


遠くで爆発音。


ドゴォォォォォン!!


地面が揺れる。


ユーマ。


「なんだ!?」


全員がそちらを見る。


黒煙。


炎。


悲鳴。


どう考えても普通じゃない。


ユーマ達は急いで向かった。




そして。


見つけた。


そこには。


ルアが立っていた。


長い黒髪が風になびく。


美しい。


だが。


それ以上に危険だった。


周囲には五人の参加者。


全員満身創痍。


ルアはため息を吐く。


「邪魔。」


右手を前へ出す。


黒に近い深紅の炎。


リリムとは違う。


破壊の炎。


純粋な攻撃の炎。


ルアが拳を握る。


炎も握られる。


「消えなさい。」


ドォォォォォォン!!


巨大な爆発。


五人まとめて吹き飛んだ。


ユーマ。


「うわっ。」


レイ。


「相変わらずだな。」


リリムは無言だった。


実況腕輪が反応する。


【ルア 5勝】


観客席が大歓声に包まれる。


「ルアだぁぁぁ!!」


「本戦決定!!」


「炎姫!!」


ルアは振り返る。


そして。


ユーマ達を見つけた。


「あら。」


ニヤリ。


「見てたの?」


リリム。


「別に。」


即答。


ルア。


「そう。」


クスッと笑う。


そして。


わざとらしく言った。


「まだまだね。」


「私の方が上。」


ピクッ。


リリムの眉が動く。


ユーマは嫌な予感しかしなかった。


リリムは笑う。


だが。


全く目が笑っていない。


「次会ったら。」


ルア。


「ん?」


リリム。


「燃やす。」


沈黙。


そして。


ルアが大笑いした。


「あはははは!!」


「気に入ったわ!!」


リリム。


「私は気に入らない。」


火花。


バチバチだった。


ユーマは頭を抱える。


「面倒くせぇ・・・。」


レイは苦笑する。


「始まったな。」


予選はまだ続く。


だが。


本戦進出者は増え始めていた。


【ロキ 本戦進出】


【ルア 本戦進出】


そして。


ユーマは自分の腕輪を見る。


【ユーマ 1勝】


沈黙。


ユーマ。


「やべぇ。」


リリム。


「ん?」


ユーマ。


「俺まだ一勝なんだけど。」


全員が吹き出した。

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